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第1章 少女とアクマ

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 アクマ、ことラビリンスはそれ以上何も言ってこなかった。

 同時に私も何も言わなかった。
 否、言えなかった。

 アクマの恐ろしさに。
 アクマの生に対する感覚に。

 たったあの一言。

『「コロシタ」』

 それがずっと私の頭の中で反響する。

 そして、あの瞳。

『美しい赤い瞳』

 私はあの瞳に魅入ってしまった。

 あの瞳はただ美しかった。
 何かを常に見続けているような気がした。

「オイ、イキテルカ?」

 アクマはそう私に問いかけていた。

 だけど,私の頭の中はそれどころではなかった。

 そして、私は、

「綺麗だった」

 ただそう告げるのだった。

 そう告げる私の瞳もただ永遠の黒い瞳だったらしい。
 それは、ずいぶん経った後にラビリスから告げられたことだった。

※※※

 いつも見てくださってありがとうございます。
 文月千夏ふみづきちなつです。

 あとがきという形にはなりますが、
 次回は少しティア&ラビリス(ラビリンス)パートから離れます。
 では、次回もお楽しみに。
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