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中等部・合宿編
47話 命の対価。
しおりを挟む言葉を失い、ただ佇む、二人の男の姿がある
だが、その周りでは、騒がしく人間が口々にはなしていた。
それは、海に隣接する、ある港の大きな倉庫
倉庫内一面を見渡せる、2階に設置された、休憩部屋。
細長い作り、約5m×12mの部屋
出入り口は、倉庫内1階に繋がる階段と倉庫外部地上に繋がる階段がある
休憩室兼、事務所に使われていて机が4つほど並べられ椅子も数個あった。
その奥に和室、仮眠室に使われてただろう
押入れ付きの畳部屋8畳の部屋がある
今は、ただ1人、九重静香が拉致され監禁されていた。
すでに撤退準備は粗方終了していたが
いくつか困ったことが起こっていた
その1つが
脱出手段である
2階の部屋から外を蔦って、降りる階段があるのだが
そのドアが、どうやっても開かないのだ
外に面した窓があるが、そのガラスも、外に繋がるドアも
どうやっても、壊れないし、割れないのである
それは、たぶん侵入者が港に現れた時からである
色々調べても見たが、仕組みがわからないのである
そう、魔法の痕跡すら無いのだから
そして、もう1つ
妨害電波である
それにより外部との連絡が取れなくなっていた
妨害電波が出ていたのは、分かってはいたが
それを自分達のチーム力なら、すぐに解除できると思っていた
だが、それも未だに解除ができないのである。
そして今、この部屋に出入りできる唯一の扉
それは、倉庫1階に続く階段に通じるのだった。
沈黙を続ける、2人の男、高津と島崎と
その騒がしい部下達は2階のこの部屋に閉じ込められていたのだ
ユーリの言葉ではないが
なぜ逃げないと言われても、逃げる手段が無いのだから。
実働部隊であった、小宮の敗北と、その部下の死
護衛部隊であった、鷲尾の敗北は
侵入者に自分達が、負けた事を示し、最悪殺される事を示してもいた。
そんな事があったがため、高峰が、コートの男に勝った事や
ユーリの出現と、それにより禍々しい姿になった魔物の存在は
確実に侵入者に勝てると、高津は喜び、叫んでもいたのだった
そして2階に取り残された、高津達にとって、2人は救いだった。
そんな、協力者の2人
ユーリと高峰は、戦闘を途中に、この場を去ったのだ
高津この男、この数時間でどれだけの、感情をさらけ出したのだろう
そして今その感情は絶望にちかい。
それに反して島崎は、ずっと冷静を保っていた
部下たちの話にも耳を傾け対応していた
混乱する部下たちを落ち着かせててもいたし
何かあれば、細かく部下に指示していた
その島崎は、すでに諦めていた
後は、ただ2階に登ってくる侵入者を怒らせない事だけである
怒らせれば、全員殺される可能性があるからだ
それには、この高津を・・・
どうにかしなければならなかった・・。
そして、それを行う前に
いや、どうするかも考え倦ねていたが
そんなことお構いなしに唯一の出口となった
その扉が開かれた。
初めに、部屋に入ってきたのは
笑いを模した黒い仮面の男
髪をワックスで立たせ、見るからに攻撃的であった
ボロボロのスカジャンは
すでに、汚れと埃で、元の黒色はみてとれなかった
すでに部屋の入口から反対の位置に固まってい高津達数名を確認すると
無言で部屋の中央まで歩き、そこに置かれていた机に腰を掛ける。
その後から入ってきたのは
ひょっとこお面の男である
ロングコートを脱ぎ捨て今は上半身裸である
そこには、高峰に付けられた刀傷が幾つも見られ
そこからは血が流れ全身が血だらけで
なぜ未だ生きているのかが不思議なくらいの姿でもあった
入ってくるなり、いや、既に階段を上がってくる時からだろう
「しぬ~」「もうだめだぁ~」「侍反則くせ~」「なんで階段あるねん」
「待てや雷帝」「足上がらね~」「階段で俺をころすきかぁ~」
「風呂はいりて~」「エスカレーターにしろや~」・・・・・・・
あと、色々と叫んでいたのだ
そして、黒い仮面の男の近くまで来て、近くの椅子に座り
「しぬぅ~~~~~」・・・と
最後に一言残し
炎天下、真夏のビル街で
さっきまで外回り営業をして来たような疲れきった態度
足元はふらつき、倒れそうでドアや、机を、手すり変わりにして
レンが座っている、机近くまで進み
死にそうなサラリーマンの如く
椅子に座り上半身を机に投げ出した。
一瞬の静寂の後
戦いの後だから、衣服の汚れはあるが
この場の絶対の支配者、そんな威圧
王の風格すら漂わす「雷帝・レイ」と名乗った黒い仮面の男が、話を切り出す
「皆さん初めまして
ワレは、雷帝・レイ
さて話をしようか!
そちらの代表者は誰かな?」
その言葉に、数人の人間の目線が動き
メガネを掛けたオールバックの男に集まる
レンは、そう感じたが、そのメガネの男の後ろから
一人の男が前に進み出る
「お、俺は、高津、今現在ここのトップだ、話は俺がしよう」
高鳴る鼓動を抑え、平常心を装う高津
レンとの間には机があり机で死角になった
高津の足元は震えていた。
黒い仮面の下で一瞬だけ眉が動く
リルの話だと、責任者は、この高津
だが、纏め役、交渉役は、メガネのオールバックの男、島崎だと聞いていた
高津と言う男は、役にたたないバカと、言っていたから
てっきり島崎が出てくる物だとおもっていた
そのため、代表者は誰だと聞いたのだから
まぁ、それはそれか・・・と、ため息を飲み込み話だす
「何度も聞かれるのは不愉快だから
先に言っておくが
ワレと、この、ひょっとこは、十士族とは、無関係だ
あと、この部屋の出入り口は、ロックしてる、逃げ出すことはできんぞ」
逃げられないのだから、今ここに居るのであるし
無関係なのは、すでに鷲尾の部下から、連絡は聞いていた事であり
そこからくる、疑問を高津は聞くのだった
「か、関係ないなら、なぜ俺達を襲う」
「簡単に言うと、俺達も十士族の・・・・・・・
いや、止めておこう
下っ端の、お前達の知らない情報だな
お前達意外にも
十士族を監視していた組織があったと言う事だ
現状で騒ぎを起こしたくない組織にしてみれば
お前達は邪魔でしかない。」
高津を見据え淡々と話す雷帝・レイ
妹の桜の事を言うはずもなく、適当に話を作る
それでも、あながち嘘でもない
紫音は数年前から、十士族に対して
いや、四条と九重の研究に対して
何度も、ちょっかいを出してるし調査している。
そして高津も子供を誘拐し
十士族を脅迫するとしか、大まかな作戦を聞いていなかったのだ
情報漏れを嫌った、上層部が使い捨ての高津に情報を漏らすことはなかった
そうとは言え、これだけの戦力を出してきたのだ
組織も本気であった事はたしかである
「し・・・・・・・・・」
(下っ端?、、、、、俺は幹部だぞ!今回の作戦さえ成功すれば
本部の上層部にだってなれたんだぞ!)
一瞬、高津の口が開きそうになるが、そんな気持ちを、高津はぐっとおさえる
いや、雰囲気に飲まれ言い出せなかったのだろう
「さて、時間も無いので話を戻そう
まず、こちらの妨害で四条の娘の拉致は阻止はしたが
九重の娘は拉致に成功しているな
そして、こちらの要求は
九重の娘を無事に解放する事
それと、お前達の責任者の命
嫌だと言うなら
ここに居る人間は全員死んでもらう事にするが
さぁ、どうする、責任者?」
その言葉を聞き、高津の顔が青から白くなっていく
意識が、0.1秒ほど飛んでいたが、高津にとって、それは数時間にも感じた
そして、すこしよろけ倒れそうになったが
斜め後ろに居た、島崎がそれを支えた、それにすがり、震えた声で
「あ、あの娘は、く、くれてやる
だから俺の命を助けてくれ、た、たのむ」
その言葉を聞き、雷帝・レイは右手で顎を触り
「娘は、ワレに差し出すと
でも、お前の命を助けろと?
で・・・・その対価は?」
「た・・・対価だと?」
高津は対価と言う言葉に、一筋の光をみいだす
どうにか、その対価を提示すれば、生き残れるかもしれないのだ
「ああそうだ、ここで何もしないで帰れば
ワレの名に汚点がつくと言う物
だから、今回の責任者
そうお前の首が欲しいのだ
それに見合う対価だ
金でもいい、情報でもいい、ワレを満足させれるならな」
その言葉を聞き、高津は、たどたどしく、島崎の顔をみる
だが、島崎は眉間にシワを寄せ、首を横に振る
そう、命に見合うだけの対価が無いのだから
今回の軍資金は、まだあるが、それも、たかが数百万である
その島崎の行動に絶望の淵に追いやられた高津の顔は今にも涙がこぼれそうであった
それを机に倒れこみ見ていた、紫音は、ニヤリと笑い
「別にお前の首じゃなくてもいいけどな
身代わりの首でも
そうだ、そこの、女達でもいいぞ」
そうここには高津の部下も居るのだ
部屋から逃げれず、奥の和室に繋がる扉も開かず
この大きな部屋の片隅に高津の部下、島崎以外の6人がいた
その中に、二十歳前後の女性が2人含まれていた
ちなみに、男の1人は、魔物のオーラに負け気絶し横に寝さされていた。
ひょっとこのお面をかぶった男の言葉に
高津達はびっくりする
部屋の隅で抱き合う女性2人は、恐怖でかたまり
高津の部下達は、その仮面の男の言葉に怒りを覚えるが
抵抗すれば、全員殺されるであろう状態では、我慢するしかなかった
それでも、この男の視線から、女性を守ろうと
視線の間に割り込み背中で女性達を守る
「おいおい
そこに立たれちゃ俺の可愛いオモチャの顔が見えないじゃないか?」
島崎と女性の前に立つ男達は、自身の残った勇気を振り絞り
机の上に裸の上半身を投げ出した男を睨みつける
それを楽しむかの用に
すでに、恐怖し心が壊れそうな女性に対し
紫音は言葉にスキルを乗せ
女の幸せが何かを語りだした。
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