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中等部・合宿編
51話 それからの 島崎と部下
しおりを挟むある港の倉庫から2キロほど離れた場所に
港の作業員が、休憩や軽い運動をするための、大きめの公園と休憩所がある。
朝焼けで、公園の木々の影が長く伸びていた
その休憩所に、1つ、また1つと転がるように影が増えていく
それは、全部で20近くの影である
そして今、最後になる影が転がるように出現した。
島崎は死を覚悟し
眠るように意識が消えてしまい・・・・・そ・・・・う・・に
「イタ!」
身体に走る何かの衝撃で、消えそうになった意識が覚醒する
目を開け、周りを見渡すと
「「「島崎さん!」」」
先ほどまで一緒にいた、3人が近寄ってきた
「おまえら!
なぜ?
こ、ここは?」
現状が理解できず叫んでしまった
さすがの、島崎も今の現状に冷静でいられなかったのだ
だが、自分の叫んだ声が、耳に入り、脳が冷静を取り戻させる
そして目に入るのは、十数人近くの人影
あの倉庫にいた高津の部下や護衛で参加していた人間達であった
「島崎さん、自分達も、状況が判断できてないんですが・・・・・」
「何かあるのか?」
「あ、あれを見てください」
この近寄ってきた男の一人が、指をさした先に有ったのは
地上2メートル程の高さに浮遊する、30cm程のかたまり
いや、シルエットから
大きさ30cmほどの、クマのヌイグルミ?であると予想された
【なぜ?】が付いているかと言うと
その全身が包帯で巻かれていたからである
かろうじて、右目と手足の先、後は包帯の隙間から、毛糸だろう茶色い色がみえたのだ
「あれが、自分達やここに居る全員を、出したらしいんです」
「出したとは?」
「はい、先に出された人間と分析した結果、たぶん空間系の魔法だと推測されます」
「く、空間系・・・それはまだ立証すらされてない」
「ですが、それしか・・・」
「なら、あれは・・・」
「あと彼女達が、いません・・・・・」
空間系、リルやミカが使っている、転移にあたる魔法である
これは、空中浮遊と並ぶ
今現在も研究されている魔法であり
【この世界では存在しない魔法】である
空中浮遊は、風系統で人間を浮かすのではなく、空中での位置固定である
先ほど、ユーリが倉庫で空中浮遊してた事にも驚いたが
これは理論的に可能と魔法学者も断言しているし
とある方法で空中浮遊現実にした論文もある
ただ、今はまだ紙1枚を浮かすのが限界でもある論文ではあったが
空間系は全くの未知の魔法である。
島崎は、話の間もそのヌイグルミから目を離さなかった
空間系なら、あの部屋で、部下を消したあの男か・・
いや、そもそも在り得ない魔法など考えても仕方がないし可能性は皆無
ならその部下、このヌイグルミを操っている人物か・・・と
空間系魔法など在りはしないなら
なら姿を消す魔法、これは既に数種類もある
すでに、あの部屋に姿を消した仮面の仲間が・・・。
それか集団睡眠、幻術系魔法?、仮面はそれを防ぐ為か?
それとも、何らかのスキル持ちか?
あの男の微かに聞こえた言葉、手品?
何かの仕掛けがあるのか
同じ過ちを繰り返さないため
すくない情報が頭の中を飛び回る
島崎と3人は、小さな声で状況確認していたが
女性2人の話がでて、言葉が止まる
そんな言葉を失くした4人を見て
くまのぬいぐるみから、声が発せられた
「さて、お話は終わりましたか?」と
「ぬいぐるみが・・・・」
3人の中の1人が、びっくりして反応する、そして後ろにいる数人がザワザワと・・
島崎は先ほど、雷帝と呼ばれた、黒い仮面の言葉を思い出す
「静かに」
そして、静寂が流れる
これ以上仲間を危険に晒さないために、前に出る
「私は島崎、あなたは?仮面の男たちの仲間でしょうか?」
島崎は、仮面の仲間が、このヌイグルミを操っていると確信していたが
話を聞き状況を確認しないことには、何も始まらないと声をかける
傍|(はた)からみれば
ヌイグルミであろう物に、話かけるとかマヌケであるが
ぬいぐるみは静かに話しだした
「そうですね、仮面の男達の仲間だと思って貰って構いません
監視カメラ等あると困りますので、この姿で失礼します
あと、私の事は、くま、又は、おかめとお呼び下さい」
いたって丁寧な口調そして透き通る声だが
何故だろうか、心ここに在らずと島崎は直感的に感じ取る
そして、頭に乗せた仮面は、おかめのお面だと推理できたのだ
その口調、態度から?ヌイグルミなのに?会話の通じる相手だと判断する
あの黒い仮面の男は
全てにおいて威圧的であり、絶対の支配者のオーラがあった
そしてもう1人の仮面の男
あれは・・・表現するなら、悪魔・・・・か
2人とも話の通じる相手ではなかった、なので警戒心は緩めず話をすすめる
「くまさん、お聞きしたいのですが、私達はどういった状況なのでしょうか?」
全員の意見を代表して聞いた・・
くまのヌイグルミに、くまさんと話かける、この言い表せない感覚・・・・
いや、そんな事より、死んだと思った自分達(自分と4人)だが
そして、あそこに居た、女性2人がここにいない事に
「それはですね、九条家の部隊がきましたので
逃げ遅れた人間をこちらに移動させてもらいました
高津は責任者として、あの場に残って貰いました
また、私達は、すでに貴方達に興味が無いので
帰るなり逃げるなり、どうぞご自由にしてください」
私達を、逃がす?彼らは、一体何がしたかったのか・・
島崎の気苦労をよそに、後ろの方で、喜びの声がきこえてくる
島崎は、それを、遮るように、少し大きめの声で、ムイグルミに問う
「それは、ありがたいが、あの場には、女性が2人いたはずなんだが」
「はて?あれは、高津が自分の命と引き換えに
ひょっとこお面の男が貰い受けた物です
すでに、あなた方には関係無いと思いますが」
綺麗な声で答えが出されるが
島崎と3人の男の顔が青くなる
あの男が言葉にした事を思い出す。
そして後ろに控える者達は
その言葉の意味が理解できたものは怒りを覚え
理解できないものは、島崎に目線をうつした、何らかの説明があるものと
3人の男の1人が、怒りを、ぬいぐるみに叩きつける
「お前達は、あの男が言った様な事を、本当にするのか!
精神がまともな人間のする事ではないだろう!
お前は、俺達を馬鹿にしてるのか!
黒仮面は強かかった、だがお前らはなんだ
ひょっとこに、おかめだと、馬鹿にするのも程がある
ひょっとこなんて、弱いだけの
おぞましい程の変態かキチガイではないか!」
ぬいぐるみは、可愛く首を横に傾ける仕草をし、答える
「まず、お前達と言われましたが、あれは彼の趣味ですから
もし、するにしても1人でするでしょうし
私に至っては後ろで楽しそうな彼を拝見するくらいです
そして、何を持ってバカにしていると?言われるのか解りませんが
私に致しましては、貴方たちをバカにするつもりはありません
先程も言いましたが、そもそも貴方達に興味はありませんし
そんな物を一々バカにするほど、私は愚かではありませんので
もし、そう感じるのでしたら、何かの思い違いだと思われます
それ以上に、私が思いますに確か本山隆さんでしたね、貴方が言いました
【おぞましい程の変態かキチガイ】
と言いました貴方の方が、それに当たると思うのですが
そこのとは私の方で本人に伝えさしていただきます
まぁ彼、御本人が、この言葉を聞いてどう思うかは、彼しだいですが」
淡々と話す言葉の内容に、本山隆と呼ばれた男は恐怖で絶句する
なぜ名前がバレタ?こいつは俺が誰なのか知っていると言うのか?
なら、今の俺の言葉で怒ったあの男が・・・・・
俺は、何てことを言ったのだ・・・・・・・
あの男が来る・・あの男が俺を狙って・・・
そうして、頭を抱え崩れ落ち地面に頭をこすりつけ泣きじゃくる
島崎も、この部下の発言を止められなかったことに失念をいだくが
今、この場では、このぬいぐるみを操る人物が全てを握っているのだ
その人物の強さは分からないが、本当に空間系の魔法が存在し使えるのなら
いや、あの仮面の男達の仲間であるなら、それなりの強さはあるだろう
機嫌を損なえば、全員が殺される可能性があるのだ
「くまさん、部下の無礼をお許し下さい
それでも、私たちを助けるのなら、できれば
あの彼女らも助けて頂きたいですが」
全員が見守る中、島崎は額に汗を浮かべ冷静に交渉する
にしても、くまのヌイグルミに、くまさん・・・・・
「無礼?何かなされたのですか?その男は?
それと、彼女達を助けろと申しましたが
意味合いが判りませんね、何から助けろと?言われるのでしょうか
あれは、取引によって、すでに彼の物になったのですから
どう扱おうと彼の自由だと思われます
それと、私的には、あなた方も助けた覚えも、ありませんが?」
「何が?何お?ですか?
私達を助けてない?」
「私は仮面の彼らの指示通り動いているだけで御座います
その指示の1つが
あそこに居てはジャマな人間の排除
なので皆様をここに移動させただけの事です
彼女達の事も指示どうりにしているだけです
貴方達が、彼女達の事を、どうしたいのかは解りませんが
私的には彼の決めたことに口を挟むのは避けたいのです
どうしてもと言うのであれば、そうですね
あの方の言葉を使わしてもらいましょう
【その対価は?】でしたでしょうか、どうなされますか?
もし、あの2人に見合う対価を提示されるのでしたら
私の方から、彼に貴方達の言葉をお届けしても構いませんが
用事と話が終わりましたら、帰りますので
早くしませんと、時間はさほど無いと思ってください」
「いや、それは・・・・」
島崎は考える
用事という言葉は何を示しているのか、理解できないが
時間が無い事と、対価に差し出せる物がないのだ
後ろにいる2人の顔を見るが、青い顔で首を振る
そう、そんな彼女らに変わる対価があるなら、すでに差し出していた
元々高津の命の対価として、彼女らが連れて行かれたのだから
阻止できるものなら、初めからしているのだ
3人は向き合うも、言葉はでない、考えるれば考えるほど答えが出てこないのだ
それでも、島崎は考えることを止めない
後ろで話を聞いていた人間も同じである
話の内容から、彼女達2人を助けるために、それに変わる対価を払えと言われても
そんなもの、誰も持っていないのだから
小声で何かを話す声はするが、全員の雰囲気は沈んでいた
そんな事は我知らずと
包帯に巻かれたクマのぬいぐるみは
プカプカと、中に浮いていた。
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