嫌いな雪でも

ひな

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「あー。もう勉強、飽きた!」

受験生のくせに、まだ1時間しか勉強をしていないのに、ギブアップのポーズをする綾香に、

「ばか!まだ、綾香の家に来て、ちょっとしかやってねーだろ。」

家庭教師の潤は、教科書を、丸めて、ポンと頭を叩くと、

「雪って、残酷だよね。降っている間は、白くて、綺麗なのに、下に落ちると、汚くて、人に踏まれちゃうし。」

突然、ため息混じりに言った。

「お前さ、ほんとなんなの?早く勉強意欲取り戻せよ~。俺、雪普通に、綺麗で、好きだよ~。」

受験生特有の、全てのことを、悪く思ってしまう奴なのか。と思いつつ、頭を撫でながら、言った。

「ねぇ、先生!コンビニで、飲み物、奢ってくれたら、やる気出そう!」

そう言いながら、潤の手を引っ張り、家を出た。

 コンビニで、潤が、書い終わるのを外で、待っていると、雪が降ってきて、ぼーっと見ていると、

「アツ!」

ホットココアを、潤が、綾香の頬へあて、

「ほらよ。頼まれてた、飲み物。」 
 
すこし、凍えた声で言ってきたので、

「ありがと。」

と、受け取り、家へ帰るために、歩き出し、

「ねぇ、もう一個、頼んでも良い?」

そう聞くと、めんどくさそうに、首を縦に振った。

「ねぇ、第一志望の大学に受かったら、私と、付き合って。」

そう言うと、

「絶対に、受験合格しろよ。」

潤は、段々と耳を赤くしながら言った。

 


 そして、合格発表が終わった後、まだ、寒い風を浴びながら、潤から、キスをして、ペアリングを二人でつけて、写真を撮った。
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