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1章

3話

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車で、家に帰る時に、

「両親に、どう説明するの?」

沙織に、尋ねられて、その問いに、答えられずにいると、

「龍くんの、両親は厳しいの?」

社長に言われ、

「はい...」

と、気まずそうに答えた。

「じゃあ、僕が、両親を、説得するよ。家まで案内してね。」

 思いやりで、言ってくれている社長の言葉に、自分で、説得する方が、良いよな。でも、俺が、言ったら、両親と言い争いになるだけだし。本当は、良くないことだけど、社長にお願いすることにし、家まで、案内した。

「ただいま。」

「お邪魔します。」

ドアを開け、二人で中に入ると、

「あら、お客様来るの?」

母が、慌てて、玄関まできた。

「いらっしゃいませ。あれ、もしかして、西条先生ではありませんか!」

驚いたのが、束の間、すごく笑顔になった母は、

「あなた、西条先生、いらっしゃったわよ。」

そういって、父を呼び、

「どうぞ、上がってください。龍、客間に通してあげて。」

お客様専用のスリッパを出した。

「え!知り合いだったんですか?」

龍が、とても驚いた顔で、そう尋ねると、

「ああ。実は、昔、高校の教師をしていたんだよ。その時の教え子だ、君の両親は。」

そう、教えてくれた。この人、一体何者なんだ?と、すこし、戸惑いつつ、案内すると、

「西条先生!お久しぶりです。」

いつも、顰めっ面の父が、まるで、無邪気な学生のような顔をしながら、急足で、客間に入った。

「久しぶりだね。たくましくなったね。」

そんな父の背中を、昔を懐かしむように、ポンと、叩きいた。

「龍と、なぜ一緒に、家にいらっしゃったのですか?」

お茶を持ってきた、母が尋ねると、

「実はね、僕、男性アイドルグループを育てているんだ。そして、龍くんには、是非、うちの会社に来てほしいと思っていて、ご両親に、ご挨拶をしたいと、思ってな。」

熱いお茶を啜って、飲みながら言った。
 すると、長い沈黙が走り、背筋に緊張が走った。

「龍は、どうしたいんだ?」

その沈黙を父が破り、少し鋭い目をして龍を見た。いつもなら、その目つきをされると、自分の本心を隠してしまう。そんな彼だったが、

「所属したいと、思っているよ!」

そう言い切ったが、

「気持ちはわかった。しかし、学業は、どうするんだ?」
「そうそう。両立出来ないんじゃないの?」

すぐに、反対された。

「両立できるように、努力する。だから、お願い!」

少し、目を潤ませながら、泣きそうになるのを我慢して、両親の目を見て訴えかけた。

「もし、両立出来なかったら、その時は、辞めなさい。」

 冷酷な言葉だったが、なんとか許しを得た。そして、


[絶対に、学業との両立を果たして、人を感動させるアイドルになる!]

そう、心に誓った。
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