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消えた靴と学園の謎
その21
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「どうした、ユウジ? 何か面白いことでもあったのか? あるいは私の顔が面白いとでも?」
昼休みになり、昨日と同じく二人だけで大食堂にやって来たユウジとレイだったが、いざテーブルに着いて食事を開始しようとしたところで、彼は思わず笑みを浮かべてしまう。それをレイは指摘したのだった。
「いや・・・ちょっと悩み事があったんだけど、レイの顔を見たら悩んでもしょうがないと思ってさ」
「君のような平凡な人間でも悩み事があるんだな・・・と言うのは冗談だが、私の顔を見て消えたのなら良かったよ。ちなみに悩みとは私達の関係のことかな?」
「・・・そう。レイに隠しても仕方がないから、はっきり言うけど、君と付き合っているって噂がもうクラス中に知れ渡っているみたいでさ。あまり目立ったことのない俺からすると、何かと注目を浴びるのは・・・初めてで戸惑っているんだ」
勘の鋭いレイに下手な隠し事は無意味であるし、信頼を損なうだけなのでユウジは正直に告げる。
「ああ、そういうことか! なるほど・・・私は幼少の頃からこういった事態はいつものことなので当たり前と思っていたが、ユウジは慣れていなんだな・・・」
ユウジの告白にレイは驚いたように頷く。おそらく、幼い頃から目立つ存在だった彼女からすれば注目を浴びるのは当然のことなのだろう。今更、特別他人の目など気にするようなことではないし、むしろそれがあったからこそ、今のレイの性格やメンタルの強さに至っていると思われた。
「いや、済まなかった。私としてはユウジと付き合っていることにすれば、二人きりで行動するにも不自然ではないし、邪魔が入らないと思ったからなんだが、独断だったな・・・」
もっとも、レイは自分の常識と他者、ユウジが持つ常識に齟齬があることを理解すると詫びを告げる。事実を受け入れ、素早く考えを改めることが出来るのも彼女の強さの一つだ。
「・・・もし、ユウジがこれ以上目立ちたくないと思うなら。・・・捜査のことは解消しようか?」
続けてレイは顔を強張らせながらユウジに提案を行う。
「ははは、俺が解消なんて望んでいないと知っている癖に、そんな提案をするなんてレイは意地悪だな! しかもなかなかの演技派だ!」
「ふふふ、やはり見破られてしまったか。思った通りの反応してくれて嬉しいよ! それでこそユウジだ!」
苦笑を浮かべて指摘するユウジにレイは顔の緊張を解くと、いつもの口角を僅かに上げる笑みが浮かべる。この二人、男女としてはともかくユーモアのセンスに関しては既に阿吽の間柄である。
「とは言え、あまり目立ちすぎるのも捜査には良くないな・・・」
お互いの意志を確認したところでレイはユウジの不安を再び取り上げる。
「いや、俺も考えたんだけど客観的に見れば、やはり俺達が普通に付き合っていることにした方が一番合理的なんだ。校内を二人で動き回っても、イチャついているだけで事件の捜査をしているとは思われないし、俺も嬉しいし」
「うむ、最善だったと理解してくれたようだな。それに正直だ。そうすると取れる対策は一つなのだが・・・」
「ああ、注目を浴びる視線に俺も慣れることにするよ。レイとこうして一緒に食事を出来るメリットに比べれば、些事ってやつさ!」
先程レイと対面した時点で決意したことをユウジは声に出して告げる。彼女のような美少女は多くはないが、探せば世の中にはそれなりにいる。また、面白い変わり者も同じく存在しているだろう。だがレイほど可愛らしくて面白い変人はいない。目立つことは不本意だが、彼女との関係がただのクラスメイトに戻ってしまうくらいなら、その程度のことは受け入れると覚悟を決めたのだ。
「では、ユウジが覚悟を決めたようだし、とりあえず食事を片付けよう。昨日の続きはその後だな」
「了解!」
お互いの意志を確認し合ったことで、ユウジとレイは本格的に食事へと手を出した。
昼休みになり、昨日と同じく二人だけで大食堂にやって来たユウジとレイだったが、いざテーブルに着いて食事を開始しようとしたところで、彼は思わず笑みを浮かべてしまう。それをレイは指摘したのだった。
「いや・・・ちょっと悩み事があったんだけど、レイの顔を見たら悩んでもしょうがないと思ってさ」
「君のような平凡な人間でも悩み事があるんだな・・・と言うのは冗談だが、私の顔を見て消えたのなら良かったよ。ちなみに悩みとは私達の関係のことかな?」
「・・・そう。レイに隠しても仕方がないから、はっきり言うけど、君と付き合っているって噂がもうクラス中に知れ渡っているみたいでさ。あまり目立ったことのない俺からすると、何かと注目を浴びるのは・・・初めてで戸惑っているんだ」
勘の鋭いレイに下手な隠し事は無意味であるし、信頼を損なうだけなのでユウジは正直に告げる。
「ああ、そういうことか! なるほど・・・私は幼少の頃からこういった事態はいつものことなので当たり前と思っていたが、ユウジは慣れていなんだな・・・」
ユウジの告白にレイは驚いたように頷く。おそらく、幼い頃から目立つ存在だった彼女からすれば注目を浴びるのは当然のことなのだろう。今更、特別他人の目など気にするようなことではないし、むしろそれがあったからこそ、今のレイの性格やメンタルの強さに至っていると思われた。
「いや、済まなかった。私としてはユウジと付き合っていることにすれば、二人きりで行動するにも不自然ではないし、邪魔が入らないと思ったからなんだが、独断だったな・・・」
もっとも、レイは自分の常識と他者、ユウジが持つ常識に齟齬があることを理解すると詫びを告げる。事実を受け入れ、素早く考えを改めることが出来るのも彼女の強さの一つだ。
「・・・もし、ユウジがこれ以上目立ちたくないと思うなら。・・・捜査のことは解消しようか?」
続けてレイは顔を強張らせながらユウジに提案を行う。
「ははは、俺が解消なんて望んでいないと知っている癖に、そんな提案をするなんてレイは意地悪だな! しかもなかなかの演技派だ!」
「ふふふ、やはり見破られてしまったか。思った通りの反応してくれて嬉しいよ! それでこそユウジだ!」
苦笑を浮かべて指摘するユウジにレイは顔の緊張を解くと、いつもの口角を僅かに上げる笑みが浮かべる。この二人、男女としてはともかくユーモアのセンスに関しては既に阿吽の間柄である。
「とは言え、あまり目立ちすぎるのも捜査には良くないな・・・」
お互いの意志を確認したところでレイはユウジの不安を再び取り上げる。
「いや、俺も考えたんだけど客観的に見れば、やはり俺達が普通に付き合っていることにした方が一番合理的なんだ。校内を二人で動き回っても、イチャついているだけで事件の捜査をしているとは思われないし、俺も嬉しいし」
「うむ、最善だったと理解してくれたようだな。それに正直だ。そうすると取れる対策は一つなのだが・・・」
「ああ、注目を浴びる視線に俺も慣れることにするよ。レイとこうして一緒に食事を出来るメリットに比べれば、些事ってやつさ!」
先程レイと対面した時点で決意したことをユウジは声に出して告げる。彼女のような美少女は多くはないが、探せば世の中にはそれなりにいる。また、面白い変わり者も同じく存在しているだろう。だがレイほど可愛らしくて面白い変人はいない。目立つことは不本意だが、彼女との関係がただのクラスメイトに戻ってしまうくらいなら、その程度のことは受け入れると覚悟を決めたのだ。
「では、ユウジが覚悟を決めたようだし、とりあえず食事を片付けよう。昨日の続きはその後だな」
「了解!」
お互いの意志を確認し合ったことで、ユウジとレイは本格的に食事へと手を出した。
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