婚約した信頼する男に裏切られ風俗に売られた「やばい」お嬢様が全てを失って人生が絶望!

如月奈穂

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第9話 二人の心と想いは通じ合っている

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ゼノンの没落後、マリアベルはアルディスと共に、ローズテリアの喧騒から離れた静かな場所で、新たな生活を始めた。アルディスは、無理に過去を忘れさせようとはせず、ただ彼女が心の傷を癒し、自分自身を取り戻すまでの時間を優しく見守り続けた。

新しい生活は、穏やかで静かだった。朝は鳥のさえずりで目覚め共に食卓を囲む。日中は、マリアベルが情報屋として培ってきた経験と、生まれ持った聡明さを活かしアルディスの事業を手伝った。アルディスは、彼女の才能を高く評価し重要な仕事を任せるようになった。

「マリアベル、君の洞察力は素晴らしい。私が見落としていた点を見抜いてくれた」

アルディスは、書類に目を落としながら褒めるように言った。マリアベルは、アルディスの言葉に以前のような冷たい印象ではなく、暖かい感情を感じるようになっていた。

「アルディスこそ、常に冷静で的確な判断を下されます。私など、足元にも及びません」

マリアベルは控えめに微笑んだ。二人は、仕事を通して互いの能力を認め合い、尊敬し合うようになっていった。そして、共に過ごす時間の中で言葉を交わさずとも通じ合う深い絆が育まれていった。

夜になると、二人は暖炉の火を囲み静かに語り合った。マリアベルは、過去の苦しみを少しずつアルディスに話せるようになっていた。アルディスは誠実な顔で聞いてくれていた。 注意深く耳を傾け、時折、相槌をうちながら和やかな言葉をかけた。

「辛かったな」

たった一言だったが、その言葉には、マリアベルの心に深く響く強い愛情があった。マリアベルは、アルディスの暖かさに触れるたび、凍てついていた心がゆっくり溶けていくのを感じた。

かつてのゼノンへの激しい憎しみは、いつの間にか薄れ代わりに、穏やかな愛情が彼女の心を満たしていくようになっていた。アルディスの瞳の奥に隠された優しさ、そして、彼女を大切に想う気持ちが、マリアベルの寂しい心の隙間を埋めていった。

ある朝、マリアベルは、アルディスにそっと寄り添い言った。

「アルディス、あなたに出会えて、本当によかったです」

アルディスは、赤くなって戸惑ったように目を伏せたが、すぐにマリアベルの目を見つめ返し珍しく真剣な顔になった。

「私もだ、マリアベル。君は、私の人生に光をもたらしてくれた」

マリアベルは、過去の苦しみがあったからこそ、今の幸せを深く噛み締められることを知った。絶望の底を見たからこそ、アルディスとの穏やかな日々が、どれほど幸せかを理解できた。

そして、マリアベルはアルディスと共に、新たな未来を築き始めるのだった。過去の影は消え去ることはないかもしれないが、二人の間には、それを乗り越えるだけの強い絆があった。隠された秘密があるアルディスと、過去に傷ついたマリアベル。二人は、互いを温め合い支え合いながら、新しい世界を創造していく。その未来は希望に満ち溢れていた。
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