ただ、隣に。

１ クラス替え

　　「ねむ～、っていうか俺クラスどこ？」
　　「お前３組だってよ。離れたな。って言っても隣だけど」
　　「マジで？」

　高校２年生に上がり、初めて登校した日の朝。
　自分で確認をすればいいものの、なんとなく眠たい目をこすりながら、隣にいる友達に貼り出された紙に自分の名前がどこにあるのか聞いてみた。


　　「まじまじ」


　俺の学校では勉強の進み具合によってクラスが分かれるシステムになっていて、いくつかあるクラスの中でも俺は一番上の特進クラスに居る。
　そしてその特進クラスは、更に３つに分かれている。
　少人数制で、１クラスの人数はわずかに20人。まるでどこかの塾のようだ。

　
　　「なんだよ。つまんね。昼メシの時そっちに行くわ」
　　「あぁ～・・・うん」
　　「何？来てほしくない？」
　　「いや、そういうんじゃなくて・・・」


　なんだよ？と思いながら友達のほうを見ると、俺の名前がある方向をじっと見つめていた。

　　「かずき・・・お前さ、倉田千秋って知ってる？」
　　「倉田千秋？知ってるよ？性格悪いやつだろ？家がボンボンでお父さんが医者の」
　　「うん」
　　「それがどうかした？」
　　「お前、同じクラスだぞ」
　　「は？」