翠碧色の虹

T.MONDEN

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随筆十五:借りたら返しましょう!

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心桜「こんちわー! つっちゃー!」
七夏「あ、ここちゃー☆ いらっしゃいです☆」
笹夜「こんにちは♪ 心桜さん♪」
心桜「笹夜先輩! 前回はどうされたのですか?」
笹夜「あ、すみません。ちょっと所用がありまして・・・」
心桜「笹夜先輩も、お忙しそうですよね」
笹夜「いえ、そんな事は・・・ただ、日によるかしら?」
心桜「ま、それはあるよねっ!」
七夏「ここちゃー! 冷茶どうぞです☆」
心桜「おっ! いつもありがと。つっちゃー! んじゃ、あたしからはこれっ!」
笹夜「まあ、お便りかしら?」
心桜「っそ!」
七夏「お便り、ありがとうございます☆」
心桜「早速、読んでみるねっ!」
七夏「はい☆」
心桜「えーっと、ペンネーム『禁煙ポパイ』さん」
笹夜「あら? 禁煙パイポ・・・かしら!?」
七夏「え!?」
心桜「いや、本当に『禁煙ポパイ』って・・・」
七夏「ぽぱい・・・」
笹夜「ポパイ・・・」
心桜「いやーいいねいいね! 禁煙ポパイ!」
七夏「えっと・・・」
心桜「なかった? 何故かモンスターから追われているパックマンが、パワーボールを食べて反撃する・・・みたいなヤツ!」
笹夜「あ、ゲームのお話かしら?」
心桜「笹夜先輩! 知ってるんですか? 意外かも!?」
笹夜「詳しくは分かりませんけど・・・」
心桜「んで、ポパイはパックマンのパワーボールが『ほうれん草』になっているんだよ」
七夏「ほうれんそう☆ おひたしとか胡麻和えが美味しいです☆」
笹夜「ほうれん草は健康的ですね♪」
心桜「確かに、ほうれん草を食べるのは健康的なんだけど・・・」
七夏「???」
心桜「ハマキ吸ってる時点でアウトォッ!!!」
七夏「ひゃっ☆」
笹夜「心桜さんっ!」
心桜「あはは! あーーー本題に入るね!『ココナッツさん、笹夜さん、こんにちは。私は友達に頼まれてお金を貸したのですけど、その友達からお金が帰ってきません。貸した金額は大した事がないのですけど、これって返してほしいと伝えるべきでしょうか?』・・・お金の貸し借りかー・・・結局、相手次第だね」
七夏「相手次第!?」
心桜「っそ。これに関しては三種類の人に分けられる。お金を貸す人、お金を借りる人、お金を借りるだけの人・・・」
七夏「え!? お金を借りるだけの人って!?」
心桜「文字どおり、返さない人だよ。ついでにお金を返さない人も、三種類に分けられそうだね。返し忘れてる人、返せない人、返す気のない人」
七夏「えっと・・・」
心桜「いずれにしても、返さないのは問題だよ」
笹夜「そうですね。返す人は、こちらが何も言わなくても、すぐに返しに来ます」
心桜「そだね。返し忘れている人も、話せばごめんっと言って返してくれる事が多いかな」
七夏「返せない人は・・・」
笹夜「返せない人は、返せるようになったら、返しに来るかどうか・・・かしら?」
心桜「問題は、返す気のない人・・・こういう人にお金を貸してはダメだね・・・貸す方は、それを見極める力が問われるよね」
七夏「見極められなかったら・・・」
笹夜「貸さない方がいいと私は思います」
七夏「その人が困っていたとしても?」
笹夜「相手や状況にも依りますけど、他に方法が無いかを考えて、お金を貸す事は最終手段とする事かしら?」
心桜「そだね。金額に関わらず、貸した方は貸した事を絶対に忘れないよ! 例え一円でもね。返さない人は大きく信用を損なう事になるよ」
笹夜「貸した人は、なかなか返してと言いにくい事もあるでしょうから、借りた人は催促された時点でお金の扱い方に関しては失格・・・かしら?」
心桜「笹夜先輩、なかなか手厳しいですなぁー」
七夏「でも、笹夜先輩なら、困ってたら貸してくれると思います」
笹夜「七夏ちゃんや、心桜さんなら、迷う必要はないですので♪」
心桜「んじゃ、笹夜先輩、お金貸して!!!」
七夏「こ、ここちゃー!!!」
笹夜「え!? えーっと・・・」
心桜「笹夜先輩、迷ってません?」
笹夜「す、すみません・・・」
七夏「こ、ここちゃーっ!! 笹夜先輩っ! すみませんっ!!」
笹夜「いえいえ」
心桜「ま、冗談はともかくとして、お金の貸し借りは、貸す側が覚悟を決めなければならないのが、現実の残念なところなんだよ」
七夏「困っている人を信用できない考え方はちょっと・・・」
笹夜「七夏ちゃん、お金を貸す事が必ずしも人を助ける事にはなりません」
七夏「え!?」
笹夜「例えば、賭け事で失ったお金を取り返したいという理由で、お金を貸してと言われたら、それは人助けと言えるかしら?」
七夏「あ・・・」
笹夜「お金の利用目的も、よく考える事が大切です。例えば、お金を貸すのではなく、相手がそのお金で得ようとしている事を支援する事」
心桜「支援ですか?」
笹夜「ええ。例えば、街でお金に困っている人から声を掛けられました。その人は列車で帰りたいけど、お金が足りないと話しています。貸してほしい金額はそれ程高額ではありません。この場合、お金を貸しますか?」
七夏「えっと、私は相手の連絡先を教えてもらってから貸します」
笹夜「七夏ちゃん、もし相手の連絡先が偽りだったらどうします?」
七夏「え!? ど、どうしようかな・・・」
心桜「あたしは、とりあえず交番に連れてゆく!」
笹夜「心桜さん、なるほど♪ 確かに交番や派出所、警察署へ相談すれば、ある一定の金額までなら貸してくれます」
心桜「え!? そうなの!?」
笹夜「ええ。でも、その人が『既に交番に相談したけど、ダメだった』って話したらどうしますか?」
心桜「えー、そんな事はないっ! ついでにあたしもお金ないっ! って断る!」
笹夜「心桜さん、正しい選択です♪ 警察官の人に相談してダメなはずがありませんので、その時点で関わらないのが正解です。ただし、身の危険を感じたら、無理はしない事を忘れてはなりません」
七夏「でも、本当に困っていたら・・・」
笹夜「その時はお金ではなく、最寄の駅まで案内して、目的地までの切符を買ってあげる事です」
心桜「なるほど! お金の悪用ができないって事か!!!」
笹夜「そうなりますね。残念ですけど、お金を借りようとする人が、何故お金が必要なのかを偽っている可能性もありますから・・・。心桜さんの話した『貸す側の覚悟』かしら?」
心桜「だね・・・それに、警察署にでも連れてけば、パトカーで家まで送って貰えるかも知れないし」
笹夜「そうですね。自分一人では対処が困難な場合は、すぐに判断してしまわないで誰かに頼る事がとても大切です。七夏ちゃんも気をつけて♪」
七夏「は、はい! ありがとうございます☆」
心桜「あたし、良いこと思いついた!」
笹夜「何かしら?」
心桜「家に帰るんだったら、タクシー乗り場へ連れて行く!」
笹夜「まあ! なるほど♪」
心桜「流石に家にはお金あるだろうし、緊急事態なんだから、多少は高くついても仕方が無いと思うよ」
笹夜「タクシーの運転手さんが、事情をご理解くださるかどうかですけど」
心桜「タクシーの運転手の眼力が問われるわけだね!」
笹夜「そうですね。誰かに相談するという事の一つとして有効な方法ですね♪」
心桜「んでさ、お手紙の禁煙ポパイさんへの回答なんだけど・・・どう?」
七夏「えっと、返してって訊いてみる方がいいかな?」
笹夜「私も七夏ちゃんと同じです♪」
心桜「なんでですか?」
笹夜「返してほしいという意思を伝える事は、とても大切な事です。言わなければ、返してもらえなくても構わないと認めた事になります」
心桜「なるほどねー。でもさ、本来なら借りた方が自主的に返すべきだよね! あたしだったら『3倍返しだっ!!!』」
笹夜「きゃっ!」
心桜「あ、すみませんっ!」
七夏「と、とにかく、返してほしいなって伝える事かな?」
心桜「それでも、返って来なかったら・・・」
七夏「えっと・・・」
笹夜「その人には、二度とお金は貸さない。お友達を続けるかどうかは、その人次第ですけど、今後あまり関わらない方が良いかも知れませんね」
心桜「あっ! あたし、良いこと思いついた!」
笹夜「まあ! 何かしら?」
心桜「その友達に『お金貸して』って言う! 『お金返して』ではなく『お金貸して』って! その友達が行った事と同じ事をすればいいんじゃないかな?」
七夏「ここちゃー凄いです☆」
心桜「お金を借りてた事を忘れたとしても、お金を貸してと頼んだ事まで忘れられるかなー・・・忘れたとしたら、ちょっと神経を疑うよね」
笹夜「なるほど♪ それは私も思いつきませんでした♪」
心桜「何事も、自分に当てはめると、結構刺さるもんだよ! グサッ! ・・・っとね!」
七夏「私も今度から意識しておきます☆」
心桜「そうそう! つっちゃーが一番引っかかりやすいタイプだから、ホント気をつけなされや~」
七夏「はい☆」
心桜「って、事で、あたしたち『ココナッツ』の結論は---」

七夏「貸す前に相談☆」
心桜「お金貸してっ!」
笹夜「貸さない勇気♪」

七夏「ごめんなさい!」
笹夜「すみません!」
心桜「・・・やっぱり・・・こうなるか・・・。いや、もう驚かないよ」
七夏「あ、お便りありがとうございました☆」
笹夜「ありがとうございました」
心桜「ありがとねー! あたしたち『ココナッツ』宛てのお便りはこちら!」
心桜「http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_suiheki_novel.htm#QUESTIONNAIRE」
心桜「んで、本編はこちら!」
心桜「http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_frma_a.htm」
笹夜「心桜さん、また捻じ込んできましたね」
心桜「あははっ! 宣伝も大切なんだよ!」
七夏「どうぞよろしくお願いいたします☆」

随筆十五 完

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随筆十五をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も、どうぞよろしくお願い申しあげます!
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