わたしの王子の願いごと

高橋央り

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48. 私の王子様だよ!

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「いや、完成というか、元の感じに皮膚とかも戻すのには、
時間が掛かって…。ま、助かったっちゃあ、助かったんだけど。
生きてるような、人間ではないような…。

だから、何て言ったらいいか分からず…。
今日の美菜の研究発表だけはこっそり聞きに来たんだ…」

そう言った皇真は、左前腕を外し、
右手で持って、ロボットであることを見せた。


「ね…、ここは特にロボだろ…はは。
まあ、だいたい半分くらいがバイオロボットなんだけど」

皇真は腕を戻しながら続ける。

「家でも問題になっててね…。完全に死んだことになってるし…。
ほとんど違法な研究と治療?……だし…」

美菜は外れた腕に少し驚いたが、もはやそんなことはどうでもいいと思った。

見た目は完全に人間だし、中身も半分は人間ってことだし、
あの頃のままの皇真さんだし、それにやっぱり大好きな人だから
胸が温かくなっている。


美菜は、皇真が目の前で、優しい声を零しながら立っているだけで、
心から幸せの涙が溢れるように感じた。

「俺様としては、とにかく美菜や地球を見守る
スーパーセクシーヒーローにでもなろうかなって…」

美菜は、頭を横に振って無意識に言う。

「わ、私の王子様だよ!」

「え…」

皇真は少し固まり、静かに下を向く。

長いまつ毛を見て、また美菜はドキッとした。
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