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迫撃
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「おおっ!どうしたのこれ?」
大袈裟な声に眉をしかめそうになりながら、2課の羽田課長に『いかにも手作りクッキー』ぽいチョコチップクッキーを手渡す。
課に行き渡る程度に焼いたそれは一袋で約30枚ぐらいか。
ついでに1課の所にも差し入れてると、席を外している雪見課長へは後回しになった。
「たいした騒ぎですね」
戻ってきた雪見課長は、私の持つクッキー入りの袋に目を向ける。
「康介、お前んとこのなおちゃん、優しいな。手作りクッキーの差し入れだってよ」
にへ、と笑う羽田課長が1枚袋から取り出すと、小さなサイズなので一口で放り込んでしまう。
「なおちゃん?」
「あ、私の名前です」
「他人行儀だろ?ちゃんと
了承もらったからセクハラじゃないぞ!」
ぴらぴら手を降る羽田課長に、私もまた手を振り返す。
ちゃんと、課の人にも分けれる数を作ったんだけど一人で食べちゃいそうだ。
「なおちゃん?」
呟く雪見課長に顔を向けると、いつにもまして黒い気配を感じてしまう。
黒い気配?
いや、悪い予感?
朝から不穏すぎて堪らない。
でも、心当たりが羽田課長の大声しかないので、羽田課長への視線を遮るように前に立つ。
「あの、料理ができる証拠です」
ばーん!とつきだした紙袋。
胸の前につきだしたそれを、雪見課長は手にとった。
「これ、雪見課長専用ですよ。
課の皆には全体で差し入れ用に作ったんですから」
「専用?」
おかしい、雪見課長がさっきからオウム返ししかしてこない。
「そうですよ。特別に雪見課長用に作ったんですから。おやつの時間にでも食べてみてくださいね」
「ありがとうございます」
にっこりと雪見課長は笑う。
これでお宅訪問は回避されたに違いない。
私もニッコリ笑って席へと戻ろう。
心の使えが取れた私に
「これはお礼をしなければなりませんね」
と、低く呟かれた声は届かなかった。
大袈裟な声に眉をしかめそうになりながら、2課の羽田課長に『いかにも手作りクッキー』ぽいチョコチップクッキーを手渡す。
課に行き渡る程度に焼いたそれは一袋で約30枚ぐらいか。
ついでに1課の所にも差し入れてると、席を外している雪見課長へは後回しになった。
「たいした騒ぎですね」
戻ってきた雪見課長は、私の持つクッキー入りの袋に目を向ける。
「康介、お前んとこのなおちゃん、優しいな。手作りクッキーの差し入れだってよ」
にへ、と笑う羽田課長が1枚袋から取り出すと、小さなサイズなので一口で放り込んでしまう。
「なおちゃん?」
「あ、私の名前です」
「他人行儀だろ?ちゃんと
了承もらったからセクハラじゃないぞ!」
ぴらぴら手を降る羽田課長に、私もまた手を振り返す。
ちゃんと、課の人にも分けれる数を作ったんだけど一人で食べちゃいそうだ。
「なおちゃん?」
呟く雪見課長に顔を向けると、いつにもまして黒い気配を感じてしまう。
黒い気配?
いや、悪い予感?
朝から不穏すぎて堪らない。
でも、心当たりが羽田課長の大声しかないので、羽田課長への視線を遮るように前に立つ。
「あの、料理ができる証拠です」
ばーん!とつきだした紙袋。
胸の前につきだしたそれを、雪見課長は手にとった。
「これ、雪見課長専用ですよ。
課の皆には全体で差し入れ用に作ったんですから」
「専用?」
おかしい、雪見課長がさっきからオウム返ししかしてこない。
「そうですよ。特別に雪見課長用に作ったんですから。おやつの時間にでも食べてみてくださいね」
「ありがとうございます」
にっこりと雪見課長は笑う。
これでお宅訪問は回避されたに違いない。
私もニッコリ笑って席へと戻ろう。
心の使えが取れた私に
「これはお礼をしなければなりませんね」
と、低く呟かれた声は届かなかった。
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