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第六章 多々良さん探し 開始
美少女のために生きたい(1)
しおりを挟むウサギの失踪についての謎は、当に解けている。
問題は、なぜ、偶然にも体育館の裏にウサギのぬいぐるみがあって、その片目がシャープペンで刺されていて、なおかつ同じペンを持ったツバキさんが近くに立っていたのか、という事だ。
すべてを偶然と言い切ってしまうのには、無理がある繋ぎ方だと思う。
問題はまだある。
『多々良さん』はなぜ自殺をしようと考えたのか。
ツバキさんが起こした事件とは何なのか。
否定も肯定もしなかったツバキさんの言葉を全て信じるなら、僕の『ツバキさんがこの町で事件を起こした』という推測は合っているわけで。
単純に考えて、この二つが何かしらの関連性を持っている気がする。ツバキさんが起こした事件の余波、または結果が原因で、『多々良さん』は自殺をしようとした。
今までツバキさんや小菊さん、それからマリちゃんに貰った情報を統合して、一番きれいな形になるのが、この答えだと思う。
では、ツバキさんは、一体どんな事件を起こしたのか。
「もういっそ、当人に聞けば?」
飲食的で短絡的な僕は口に出す。
近所の牛丼屋で食べたばかりだから、しばらく黙っていると思っていたのだが。
自室に一人、誰もいないところに向かって声を発するのは空しいが、口に出すことで考えが整理されることも多くある。
小学生の時に買ってもらった学習机に頬杖をつき、やりもしない数学の宿題ページを開き、考え込む。
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