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魔国編
16 新たなる主へ
しおりを挟む玄武と白虎を見つめ何を言えばいいのかわからないまま私は只々二体を見つめ続けた
フワリと…サキが白虎の横へ降り立ちその背中を軽く撫で言葉をかけた
「『古来に召喚された娘の友よ、貴方の悲しみ、絶望は永き眠りの間癒やされなかったのね。そして彼女の大切な人を守る為に自らの身を削り力を使った』」
『我は頼まれたのだ』
「『彼女もまた頼まれた者よ』」
『そんな筈はない、マオは我に頼んだのだ !!』
「『そんな貴方を滅びぬようにと玄武に頼み、貴方の力が無くなり眠ったその後を朱雀や青龍に頼んだのよ』」
『我が滅びれなかったのは…』
「『召喚された娘が望んだの』」
『儂はお主が無茶をするから助けてほしいと頼まれたわい』
『ヴルゥゥゥ…我は…』
『誰か一部欠けてもあの場所を、国を守護することを頼まれたのよ』
『僕もだよ』
『我は…』
サキの中の誰かや玄武、スフィニア、シャオロンに言われた事に、どんどん頭を垂れていってしまう白虎…
きっと白虎は真緒と共に消えたかったのかもしれない。共にこの世界に来て置いて行かれる…それはどれだけ悲しくて寂しくて辛いことだったのだろうか
確定されている未来のことなど誰もわかるはずもない…
そんなものにすがりつく事など白虎は出来なかったのだろう、だからこそ頼まれた勇者が生きている間力を尽くしたのだと今なら分かる、私を拒んだのも本来なら力を使い切り真緒の元へ行きたかったから…
私は白虎の元へ歩いていきそっと俯いている頭に手を置いた
「ウォンティ」
ビクリと白虎の体が震えた
私は気にせず頭に触れたまま話し続けた
「真緒は私が貴方の封印された魔石を見つける時力を使い過ぎて深い眠りに落ちているから魔力を多く送ってほしいと頼まれたわ。この世界を守る為に私達に貴方達の封印を解いて守って欲しいって…」
『………』
「ねぇ、ウォンティ。私達はこれから真緒が死ぬまで過ごしてきた世界樹の元へ行こうと思うの」
『マオが…生きていた場所』
「うん。ねぇ、ウォンティ…もしかしたらそこに真緒が貴方達をこの世界に残した理由の何かがあるかもしれない。もしなかったとしても真緒が生きた場所でこれから未来生きる事ができると思う。だから、私の事が嫌でも構わないから…真緒が望んだこの世界を…守る事、を手伝って…」
『グルルルルル…』
怒りの唸りではなく何か諦め覚悟した唸り声が聞こえた
『分かった…この命消えゆくまで我はマオが生きた地で生きよう』
「これからよろしくね…ウォンティ」
『致し方ない』
『意地を張っておっても仕方ないからのぅ』
『グルゥゥゥ !! 黙れ玄武のジジイ !!』
『ほっほっほ、マオにお主が一番融通効かぬから宜しく頼むと言われたからのぅ』
『我は幼子ではないわ !!』
『お止めなさい、主が見ているのですよ』
『白虎のおじちゃん相変わらず怖いね』
『黙れ !! 1人前にもなれぬ蜥蜴が !!』
『僕はトカゲじゃなくて龍だもん !!』
『ほっほっほ、元の和になったわぃ』
白虎が玄武に歯向かい、朱雀が仲裁に入り青龍が怖がり白虎に絡まれる
そしてそんな皆を守りまとめるのが玄武…
「玄武…いいえ、ラングリース」
『なんじゃ ??』
「まだ何にもできない、ダメダメな私だけれどもこれからよろしくね」
『気楽にの、まだ時間はある急ぐことはなかろうて。おいお主ら…』
シン…明らかにさっきまでと違う空気を四神は醸し出し四神の視線は私に注がれた
『地球より先代主と共にこの世界に来た儂等、四神は新たなる主にマリアン・カーリヒルトを望む』
『…望む』
『望みます』
『新たな主 !? 僕の新しい主 !! よろしくねマリアン !!』
言い終わると嬉しそうに私の周りを回るシャオロン、肩に乗るスフィニア、よいしょっと掛け声をし体を縮め手のひらサイズになった玄武、フンと機嫌悪そうにそっぽを向きながら子虎サイズになり足元に来るウォンティ
「これからよろしくね」
と小さい声でまた言えば其々体を突いて返事をくれた
私は嬉しくて少しだけ涙ぐんでしまった
その様子をサキの中の誰かは愛おしそうに先程まで白虎と共に立っていた場所で眺めていたのだった
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