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第2章 ようこそ、放課後変身部へ!
第9話 理想の子
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「じゃあ、次はカラコンだね」
「うん!」
今日の目的は、ウィッグとカラコンの購入。
コスメもちょっと見たいけど、家にいっぱいあるし、さすがにそこまでのお金はない。
ウィッグと同様、カラコンもかなりの品揃えだ。普段使いできそうな落ち着いた色味の物から、コスプレ用の高発色の物まである。
「僕が使ってるのはこれだよ。透明感もあるし、綺麗に発色するから」
そう言って、蓮さんは翡翠色のカラコンを指差した。一箱10個入りの、ワンデーコンタクトだ。
近寄って、じっと蓮さんの目を覗き込む。綺麗な色だけれど、派手すぎない上品さがある。
コンタクトを試着することはできないし、蓮さんのおすすめを買ってみるのがいいかもしれない。
「委員長、色はもう決めてるの?」
「赤かピンクかなって。どっちにするかをまだ悩んでるんだよね」
蓮さんが愛用しているシリーズには、赤もピンクもある。どちらも綺麗で、すぐに決めることはできない。
「ピンクの方が優しい印象になりそうだね。でも、委員長には赤も似合うと思うよ」
「……うーん」
「まあ、カラコンは消耗品だし、直感で選んでいいんじゃないかな」
「だよね」
とはいえ、すぐには決まらない。
だって、最初に選ぶ物って、絶対すごく記憶に残るから。だから、ちゃんと納得できる物を選びたい。
結局私は10分くらい悩んで、赤いカラコンを買うことにした。
「すごくいいと思う。きっと、委員長によく似合うよ」
ウィッグをかぶり、カラコンを入れた自分を想像してみる。
自惚れかもしれないけれど、すごく可愛い気がした。
「早く、変身した委員長がみたいな」
「蓮さん……」
「委員長の好きをたくさん詰め込んだ姿、本当に楽しみにしてるから」
期待されるのは、得意じゃなかったはずだ。プレッシャーを感じて、不自由になってしまうから。
でも、どうしてだろう。蓮さんがくれる言葉は、ちっとも嫌じゃない。
「期待してて」
「うん。期待してるね」
家に帰ったら、ウィッグをかぶってみよう。ちょっともったいないけど、カラコンだって入れてみよう。
ヘアセットもして、メイクもして……写真だって、いっぱい撮っちゃおう。
想像するだけで楽しくなって、私は思わず笑ってしまった。
◆
鞄を放り出し、ウィッグとカラコンを持って鏡の前に座る。
「とりあえず、かぶってみようかな」
ウィッグをかぶる前に、地毛をウィッグネットに入れないといけない。私は髪が長いから、結構大変な作業だ。
なんとか地毛をウィッグネットの中に入れ、頭の上にウィッグをのせてみる。
のせただけで完成、とはならない。頭の形に合うようにウィッグの裏についたアジャスターを調整しなければいけないし、カットもしていないから、前髪だって長いまま。
だけど鏡に映る自分を見て、私は最高にときめいた。
「可愛い……!」
もちろん、まだ違和感は満載だ。でも、感動せずにはいられない。
私も、ちゃんと変身できるんだ……!
どきどきする。慌ててクリアコンタクトを外し、赤のカラコンをつけてみた。
ピンクの髪に、赤い瞳。物語から飛び出てきたみたいに、可愛い女の子。
それが、今の私。
「楽しすぎる」
最高に可愛くて、最高にときめく。
ヘアセットとメイクをしたら、どれだけ可愛くなっちゃうんだろう。
好きな格好をするって、こんなに幸せなことだったんだ。
「あ、そうだ。部活ネームとか、性格も決めていいんだよね」
おしとやかで、女の子らしい性格? それとも、意外と元気系? もしくは、お嬢様キャラとか?
この見た目でクールっていうのも、ギャップがあっていいかも。
魅力的な性格はたくさんある。だけど……。
「私がなりたいのは……」
周りの目よりも、自分の気持ちを優先したい。自分の好きを、ちゃんと貫ける自分でありたい。
「……決めた!」
私がなりたい子。私の理想の子。
私が……放課後の間だけ変身できる子。
「よし! メイクもヘアセットも、ちゃんと練習しなきゃ!」
新しい私で、蓮さんや雪さんと会うのが楽しみだ。
本当の意味で、私も放課後変身部の一員になれる気がするから。
「うん!」
今日の目的は、ウィッグとカラコンの購入。
コスメもちょっと見たいけど、家にいっぱいあるし、さすがにそこまでのお金はない。
ウィッグと同様、カラコンもかなりの品揃えだ。普段使いできそうな落ち着いた色味の物から、コスプレ用の高発色の物まである。
「僕が使ってるのはこれだよ。透明感もあるし、綺麗に発色するから」
そう言って、蓮さんは翡翠色のカラコンを指差した。一箱10個入りの、ワンデーコンタクトだ。
近寄って、じっと蓮さんの目を覗き込む。綺麗な色だけれど、派手すぎない上品さがある。
コンタクトを試着することはできないし、蓮さんのおすすめを買ってみるのがいいかもしれない。
「委員長、色はもう決めてるの?」
「赤かピンクかなって。どっちにするかをまだ悩んでるんだよね」
蓮さんが愛用しているシリーズには、赤もピンクもある。どちらも綺麗で、すぐに決めることはできない。
「ピンクの方が優しい印象になりそうだね。でも、委員長には赤も似合うと思うよ」
「……うーん」
「まあ、カラコンは消耗品だし、直感で選んでいいんじゃないかな」
「だよね」
とはいえ、すぐには決まらない。
だって、最初に選ぶ物って、絶対すごく記憶に残るから。だから、ちゃんと納得できる物を選びたい。
結局私は10分くらい悩んで、赤いカラコンを買うことにした。
「すごくいいと思う。きっと、委員長によく似合うよ」
ウィッグをかぶり、カラコンを入れた自分を想像してみる。
自惚れかもしれないけれど、すごく可愛い気がした。
「早く、変身した委員長がみたいな」
「蓮さん……」
「委員長の好きをたくさん詰め込んだ姿、本当に楽しみにしてるから」
期待されるのは、得意じゃなかったはずだ。プレッシャーを感じて、不自由になってしまうから。
でも、どうしてだろう。蓮さんがくれる言葉は、ちっとも嫌じゃない。
「期待してて」
「うん。期待してるね」
家に帰ったら、ウィッグをかぶってみよう。ちょっともったいないけど、カラコンだって入れてみよう。
ヘアセットもして、メイクもして……写真だって、いっぱい撮っちゃおう。
想像するだけで楽しくなって、私は思わず笑ってしまった。
◆
鞄を放り出し、ウィッグとカラコンを持って鏡の前に座る。
「とりあえず、かぶってみようかな」
ウィッグをかぶる前に、地毛をウィッグネットに入れないといけない。私は髪が長いから、結構大変な作業だ。
なんとか地毛をウィッグネットの中に入れ、頭の上にウィッグをのせてみる。
のせただけで完成、とはならない。頭の形に合うようにウィッグの裏についたアジャスターを調整しなければいけないし、カットもしていないから、前髪だって長いまま。
だけど鏡に映る自分を見て、私は最高にときめいた。
「可愛い……!」
もちろん、まだ違和感は満載だ。でも、感動せずにはいられない。
私も、ちゃんと変身できるんだ……!
どきどきする。慌ててクリアコンタクトを外し、赤のカラコンをつけてみた。
ピンクの髪に、赤い瞳。物語から飛び出てきたみたいに、可愛い女の子。
それが、今の私。
「楽しすぎる」
最高に可愛くて、最高にときめく。
ヘアセットとメイクをしたら、どれだけ可愛くなっちゃうんだろう。
好きな格好をするって、こんなに幸せなことだったんだ。
「あ、そうだ。部活ネームとか、性格も決めていいんだよね」
おしとやかで、女の子らしい性格? それとも、意外と元気系? もしくは、お嬢様キャラとか?
この見た目でクールっていうのも、ギャップがあっていいかも。
魅力的な性格はたくさんある。だけど……。
「私がなりたいのは……」
周りの目よりも、自分の気持ちを優先したい。自分の好きを、ちゃんと貫ける自分でありたい。
「……決めた!」
私がなりたい子。私の理想の子。
私が……放課後の間だけ変身できる子。
「よし! メイクもヘアセットも、ちゃんと練習しなきゃ!」
新しい私で、蓮さんや雪さんと会うのが楽しみだ。
本当の意味で、私も放課後変身部の一員になれる気がするから。
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