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第5章 トラブルは恋と共に
第25話 タイプじゃないんです
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早瀬くんと雪さんの待ち合わせ場所は、もちろん旧部室棟だ。
変身部の部室じゃなくて、近くの空き教室。掃除をしていないからすごく汚れているし、ちょっとでも動けば埃が舞う。
早瀬くんと雪さんを二人で会わせるという約束だから、私と如月さんは教卓の下に隠れている。
だって、本当に二人きりにして、トラブルが起きちゃったら困るし。
それに……単純に、どんな感じになるのか気になる。
「も、もうすぐかな」
如月さんが小声で言った。二人で教卓の下に隠れているから、かなり狭い。
如月さんとこんなに近い距離にいるのは初めてだ。
「……たぶん」
目だけで会話する。お互い、緊張しているのが伝わってきた。
今日は、私も如月さんも変身していない。時間がなかったし、隠れる以上、派手な格好をするのは避けたかったから。
雪さんはもう、教室の真ん中で早瀬くんを待っている。時間になれば、早瀬くんもやってくるだろう。
◆
ガタッ、と扉が開く音がした。隙間からこっそり確認すると、早瀬くんが緊張した顔で教室に入ってきた。
「あ、あの!」
早瀬くんの声は震えている。それでも真っ直ぐに雪さんを見つめ、ゆっくりと雪さんに近づいていく。
「今日は、きてくれてありがとう。俺は、二年生で、早瀬葵っていうんだけど」
「……知ってる」
雪さんの声がいつもより高い。男だということがバレないように、警戒しているからだろう。
早瀬くんが一歩近づくと、その分雪さんは一歩後ろに下がる。
しかし早瀬くんがどんどん近づくせいで、雪さんは壁際に追い込まれてしまった。
「雪ちゃん!」
大声で早瀬くんが叫ぶ。びくっ、と雪さんが身体を震わせた。
「一目惚れしました。俺と付き合ってください!」
えっ!? いきなり告白!?
突然のことに驚いて目を見開く。全く同じ表情の如月さんと目が合った。
早瀬くんは耳まで真っ赤だ。冗談なんかじゃなく、これが本気の告白だってことは一目で分かる。
いやでも、それにしたって、いきなり告白する?
まずは友達として仲良く……とか、そういうんじゃないの?
「その、えっと……もし振られても、変身部のことを人にバラしたりはしないから。雪ちゃんが嫌がることは絶対にしない。約束する」
意外といい人なんだ……と如月さんが囁くような声で呟いた。
如月さん、早瀬くんのことどんな人だと思ってたんだろ。
「話したこともないのに? とか、顔だけ? とか思うかもしれないけど……本当に好きなんだ。雪ちゃんのこと、もっとたくさん知りたい」
雪さん、どう答えるんだろう?
振られても変身部の秘密をばらすつもりはない、という早瀬くんの言葉は、信じてもいい気がする。
そう安心したとたんに、二人の恋模様にどぎまぎしてきた。
だって、人が告白するところも、されるところも見たことないし。
「……ごめんなさい」
そう言って、雪さんは頭を丁寧に下げた。
まあ、やっぱりそうなるよね。女の子のふりをして付き合うのは無理、って言ってたし。
仕方ないけど……早瀬くん、ちょっと気の毒かも。
「ど、どうして?」
早瀬くんはかなり動揺している。いきなりの告白だったけれど、かなり自信があったのだろうか。
まあ、早瀬くんってモテるもんね。
「えっと……」
雪さんは黙ってしまった。
たぶん突然告白されるなんて思っていなかっただろうから、振る理由なんて用意していないのだろう。
「その、だから……タイプじゃないの! ごめんなさい!」
雪さんはそれだけ言うと、走って教室を出ていってしまった。これ以上、早瀬くんと二人きりで会話を続けることは無理だと判断したのだろう。
それに、変身部の秘密を守るっていう目的は、達成できそうだし。
「ううっ……!」
早瀬くんは両手で頭を抱え、地面に座り込んでしまった。しかも、すすり泣く声まで聞こえてくる。
うわ……どうしよう。
あんなにはっきり言わなくてもよかったのに、と如月さんの目が語っている。確かに、その気持ちも分かる。
だけど、どうせ断るなら、変に希望を持たれるより、はっきり断った方がいいのかも。
「なんで……雪ちゃん……」
好きな人に告白して、タイプじゃないからと振られたのだ。早瀬くんの心境を想像するだけで胸が痛い。
如月さんと目を合わせ、無言のまま頷き合う。早瀬くんが教室を出ていくまで、ここでおとなしくしていよう。
と、思っていたのだが。
「……ねえ、いるんでしょ」
早瀬くんは立ち上がると、いきなり私たちの目の前にやってきた。
嘘。ここに隠れてたの、バレてたの……!?
「ひっ!」
如月さんが悲鳴を上げ、私の腕をぎゅっと握った。
どう考えても私たちが悪い。二人きりで会わせると約束したのに、のぞき見をして、告白現場を見てしまったのだから。
どうしよう。怒った早瀬くんが、やっぱり変身部のことをばらすなんて言ったら。
「ねえ、二人とも」
すう、と早瀬くんが大きく息を意を吸い込んだ。
そして、叫ぶ。
「俺のこと、変身部に入れて!」
「「え!?」」
私と如月さんの声が重なった。
「俺を、雪ちゃん好みの男にして!!」
変身部の部室じゃなくて、近くの空き教室。掃除をしていないからすごく汚れているし、ちょっとでも動けば埃が舞う。
早瀬くんと雪さんを二人で会わせるという約束だから、私と如月さんは教卓の下に隠れている。
だって、本当に二人きりにして、トラブルが起きちゃったら困るし。
それに……単純に、どんな感じになるのか気になる。
「も、もうすぐかな」
如月さんが小声で言った。二人で教卓の下に隠れているから、かなり狭い。
如月さんとこんなに近い距離にいるのは初めてだ。
「……たぶん」
目だけで会話する。お互い、緊張しているのが伝わってきた。
今日は、私も如月さんも変身していない。時間がなかったし、隠れる以上、派手な格好をするのは避けたかったから。
雪さんはもう、教室の真ん中で早瀬くんを待っている。時間になれば、早瀬くんもやってくるだろう。
◆
ガタッ、と扉が開く音がした。隙間からこっそり確認すると、早瀬くんが緊張した顔で教室に入ってきた。
「あ、あの!」
早瀬くんの声は震えている。それでも真っ直ぐに雪さんを見つめ、ゆっくりと雪さんに近づいていく。
「今日は、きてくれてありがとう。俺は、二年生で、早瀬葵っていうんだけど」
「……知ってる」
雪さんの声がいつもより高い。男だということがバレないように、警戒しているからだろう。
早瀬くんが一歩近づくと、その分雪さんは一歩後ろに下がる。
しかし早瀬くんがどんどん近づくせいで、雪さんは壁際に追い込まれてしまった。
「雪ちゃん!」
大声で早瀬くんが叫ぶ。びくっ、と雪さんが身体を震わせた。
「一目惚れしました。俺と付き合ってください!」
えっ!? いきなり告白!?
突然のことに驚いて目を見開く。全く同じ表情の如月さんと目が合った。
早瀬くんは耳まで真っ赤だ。冗談なんかじゃなく、これが本気の告白だってことは一目で分かる。
いやでも、それにしたって、いきなり告白する?
まずは友達として仲良く……とか、そういうんじゃないの?
「その、えっと……もし振られても、変身部のことを人にバラしたりはしないから。雪ちゃんが嫌がることは絶対にしない。約束する」
意外といい人なんだ……と如月さんが囁くような声で呟いた。
如月さん、早瀬くんのことどんな人だと思ってたんだろ。
「話したこともないのに? とか、顔だけ? とか思うかもしれないけど……本当に好きなんだ。雪ちゃんのこと、もっとたくさん知りたい」
雪さん、どう答えるんだろう?
振られても変身部の秘密をばらすつもりはない、という早瀬くんの言葉は、信じてもいい気がする。
そう安心したとたんに、二人の恋模様にどぎまぎしてきた。
だって、人が告白するところも、されるところも見たことないし。
「……ごめんなさい」
そう言って、雪さんは頭を丁寧に下げた。
まあ、やっぱりそうなるよね。女の子のふりをして付き合うのは無理、って言ってたし。
仕方ないけど……早瀬くん、ちょっと気の毒かも。
「ど、どうして?」
早瀬くんはかなり動揺している。いきなりの告白だったけれど、かなり自信があったのだろうか。
まあ、早瀬くんってモテるもんね。
「えっと……」
雪さんは黙ってしまった。
たぶん突然告白されるなんて思っていなかっただろうから、振る理由なんて用意していないのだろう。
「その、だから……タイプじゃないの! ごめんなさい!」
雪さんはそれだけ言うと、走って教室を出ていってしまった。これ以上、早瀬くんと二人きりで会話を続けることは無理だと判断したのだろう。
それに、変身部の秘密を守るっていう目的は、達成できそうだし。
「ううっ……!」
早瀬くんは両手で頭を抱え、地面に座り込んでしまった。しかも、すすり泣く声まで聞こえてくる。
うわ……どうしよう。
あんなにはっきり言わなくてもよかったのに、と如月さんの目が語っている。確かに、その気持ちも分かる。
だけど、どうせ断るなら、変に希望を持たれるより、はっきり断った方がいいのかも。
「なんで……雪ちゃん……」
好きな人に告白して、タイプじゃないからと振られたのだ。早瀬くんの心境を想像するだけで胸が痛い。
如月さんと目を合わせ、無言のまま頷き合う。早瀬くんが教室を出ていくまで、ここでおとなしくしていよう。
と、思っていたのだが。
「……ねえ、いるんでしょ」
早瀬くんは立ち上がると、いきなり私たちの目の前にやってきた。
嘘。ここに隠れてたの、バレてたの……!?
「ひっ!」
如月さんが悲鳴を上げ、私の腕をぎゅっと握った。
どう考えても私たちが悪い。二人きりで会わせると約束したのに、のぞき見をして、告白現場を見てしまったのだから。
どうしよう。怒った早瀬くんが、やっぱり変身部のことをばらすなんて言ったら。
「ねえ、二人とも」
すう、と早瀬くんが大きく息を意を吸い込んだ。
そして、叫ぶ。
「俺のこと、変身部に入れて!」
「「え!?」」
私と如月さんの声が重なった。
「俺を、雪ちゃん好みの男にして!!」
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