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秋の巻
秋の巻3
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そんな日常が続く中、俺は総合格闘技の道場に通い出した。自転車でも往復1時間半はかかる場所でなかなか通うのがたいへんだったが、元々武道がやりたかったから、親が近くの格闘技ができる場所を探して、それでも一番近いところだった。とはいえ、当時は総合格闘技の存在を知らず、自分がしてるのが空手なのかボクシングなのか、なんだか色々やって、よくわからないなぁなんて思っていた。
結局、俺はそのあと高校へも通わなくなるから、実質3、4ヶ月の期間で、習っていたというよりは体験したに近い感じだった。
その短い期間で印象に残ったのは2つだった。
ひとつは初心者で経験者相手に中々勝てない自分に先生が柔道の技をおしえてくれたことがあった。そのおかげで練習の時に初めて相手を床に倒すことができた。とはいえ、勿論、初心者相手の練習で相手も加減をしてくれていたし、綺麗に投げられたわけではなかったけど、それでも経験のない自分が経験豊富な相手を床に倒せたのが技術に感動と面白さを感じた
2つめは一度だけ剣術を習う機会があったことだった。その道場の先生が柳生新陰流の師範資格を持っているようだった。それが偶然、長州藩士達が習っていたものと同じ流派で、大変興味が湧き、本当はこっちをしたかったけど、俺は結局いいだせずに一度きり、剣の振り方とかを教わっただけだった。それでも今まで体験できなかったことに感動して練習したりしていた。
そんな中、俺はアメリカに行く機会があった。俺は従弟の親、つまり叔父がアメリカ人で伯母家族はアメリカで暮らしていた。
普通の感覚なら楽しい旅行でおわっていたはずだが、俺はこんな楽しいことをしてる間にも苦しんでる人がいるとか思ったりしていた。イベントで日本人旅行者のおっさんに英語が通じないから現地のイベントスタッフが笑ってたのをみた。そういうノリというか、おっさんもそんな気にしない、言葉通じなくても楽しんでる感じで、スタッフ通じないよ困った困ったみたいな感じの軽いノリだったが、自分には大変屈辱的だった。一刻も早く英語が必要だと確信した。
叔父は会社の社長をしていて、外国人や日本人の社員をつかっているが日本人社員は幼い感じがするともいっていた。自分は中学で努力して勉強してる奴等をみていたから、あれだけしても世界では評価されないのか。井の中の蛙にすぎないのかと何だかバカらしく感じた。一刻も早く英語と世界の事情を知らなければと思った。
それが前述の死に方や知ることと行動を一致させなければ意味がないという考えと結びつき、日本は平和な国だから、世界の事情と価値観を学び、大義名分を作れる知識を身につけて、紛争地域や自由や民主主義に反する国でとか、どこで命を捨てるべきか場所を探そうとおもうようになった。
昔は現在でいう県が一つの国だった。昔の人達が、それを飛び出して、日本全体の為に動いたように、俺も日本を一つの県と思うことにしようと思った。
俺は急いでいた。日本に戻ると高校の先生に毎週金曜日は英会話の練習をしてくれと頼み込んだ。しかし、いつも誘うのは俺からで、先生から何もアクションされることはなかった。何も言わなければ、スルーされることもあった。毎週金曜日といっていたのに、やる気がないのかとおもった。俺の自己満足にすぎないのではないかと。勉強もこんなことをしても世界では認められはしないのだと思った。江戸時代には、一般的に藩の学校で儒学を習っていたが、世界ではもっと役に立つ、実学的なことが学ばれていた。それと同じに違いないとおもっていた。
結局こんなところにいる暇はないと、一刻も早く世界にいくことが肝要であり、日本にいては井の中の蛙だと、学校に通わなくなってしまった。
中学の頃と違って夜も遅いのに先生が家まで来てくれたり、担任でもない他の教科の先生達も声をかけてくれることもあった。苦手な科目の数学の先生も俺が好きな歴史と絡めて、先生が選んだ数学者の歴史の本を読んで来るように言われて、その読書感想文で数学の単位代わりにしてくれることもあった。古典の先生も出席科目の単位を本当は足りないのになんとか間に合わせるようにしてくれたりしていたのに俺は裏切ってしまって本当に申し訳ない気持ちになった。
(今思えば行くべきでなかった。何も知らないほうがよかった。そうすればそのなかで自信を持てたかもしれない疑いもわかなかったかもしれない。結果的にはその道を疑わずに進めばいろいろな道が開けていたという事実や制度に気づいたとき、あまりの滑稽さと情けなさに笑うほかなかった。ここまで知能(単純な成績とかだけでなく物事への思考や見識)に差があるのだから、仕方ないと思う面もある。本当に自分の場合は毒にしかならなかった)
やめるときまったあとだったのか、何故かしらないが、俺はいつもはクラスで一番遅くにやってきて一番早くにまっすぐ帰るのに、その時は放課後に俺が色々連れ回してしまった高校での数少ない友人と最後に図書室にいってお互い覚えたばかりのチェスをすることになった。それがその友人とは最後の高校での記憶になった。
結局、俺はそのあと高校へも通わなくなるから、実質3、4ヶ月の期間で、習っていたというよりは体験したに近い感じだった。
その短い期間で印象に残ったのは2つだった。
ひとつは初心者で経験者相手に中々勝てない自分に先生が柔道の技をおしえてくれたことがあった。そのおかげで練習の時に初めて相手を床に倒すことができた。とはいえ、勿論、初心者相手の練習で相手も加減をしてくれていたし、綺麗に投げられたわけではなかったけど、それでも経験のない自分が経験豊富な相手を床に倒せたのが技術に感動と面白さを感じた
2つめは一度だけ剣術を習う機会があったことだった。その道場の先生が柳生新陰流の師範資格を持っているようだった。それが偶然、長州藩士達が習っていたものと同じ流派で、大変興味が湧き、本当はこっちをしたかったけど、俺は結局いいだせずに一度きり、剣の振り方とかを教わっただけだった。それでも今まで体験できなかったことに感動して練習したりしていた。
そんな中、俺はアメリカに行く機会があった。俺は従弟の親、つまり叔父がアメリカ人で伯母家族はアメリカで暮らしていた。
普通の感覚なら楽しい旅行でおわっていたはずだが、俺はこんな楽しいことをしてる間にも苦しんでる人がいるとか思ったりしていた。イベントで日本人旅行者のおっさんに英語が通じないから現地のイベントスタッフが笑ってたのをみた。そういうノリというか、おっさんもそんな気にしない、言葉通じなくても楽しんでる感じで、スタッフ通じないよ困った困ったみたいな感じの軽いノリだったが、自分には大変屈辱的だった。一刻も早く英語が必要だと確信した。
叔父は会社の社長をしていて、外国人や日本人の社員をつかっているが日本人社員は幼い感じがするともいっていた。自分は中学で努力して勉強してる奴等をみていたから、あれだけしても世界では評価されないのか。井の中の蛙にすぎないのかと何だかバカらしく感じた。一刻も早く英語と世界の事情を知らなければと思った。
それが前述の死に方や知ることと行動を一致させなければ意味がないという考えと結びつき、日本は平和な国だから、世界の事情と価値観を学び、大義名分を作れる知識を身につけて、紛争地域や自由や民主主義に反する国でとか、どこで命を捨てるべきか場所を探そうとおもうようになった。
昔は現在でいう県が一つの国だった。昔の人達が、それを飛び出して、日本全体の為に動いたように、俺も日本を一つの県と思うことにしようと思った。
俺は急いでいた。日本に戻ると高校の先生に毎週金曜日は英会話の練習をしてくれと頼み込んだ。しかし、いつも誘うのは俺からで、先生から何もアクションされることはなかった。何も言わなければ、スルーされることもあった。毎週金曜日といっていたのに、やる気がないのかとおもった。俺の自己満足にすぎないのではないかと。勉強もこんなことをしても世界では認められはしないのだと思った。江戸時代には、一般的に藩の学校で儒学を習っていたが、世界ではもっと役に立つ、実学的なことが学ばれていた。それと同じに違いないとおもっていた。
結局こんなところにいる暇はないと、一刻も早く世界にいくことが肝要であり、日本にいては井の中の蛙だと、学校に通わなくなってしまった。
中学の頃と違って夜も遅いのに先生が家まで来てくれたり、担任でもない他の教科の先生達も声をかけてくれることもあった。苦手な科目の数学の先生も俺が好きな歴史と絡めて、先生が選んだ数学者の歴史の本を読んで来るように言われて、その読書感想文で数学の単位代わりにしてくれることもあった。古典の先生も出席科目の単位を本当は足りないのになんとか間に合わせるようにしてくれたりしていたのに俺は裏切ってしまって本当に申し訳ない気持ちになった。
(今思えば行くべきでなかった。何も知らないほうがよかった。そうすればそのなかで自信を持てたかもしれない疑いもわかなかったかもしれない。結果的にはその道を疑わずに進めばいろいろな道が開けていたという事実や制度に気づいたとき、あまりの滑稽さと情けなさに笑うほかなかった。ここまで知能(単純な成績とかだけでなく物事への思考や見識)に差があるのだから、仕方ないと思う面もある。本当に自分の場合は毒にしかならなかった)
やめるときまったあとだったのか、何故かしらないが、俺はいつもはクラスで一番遅くにやってきて一番早くにまっすぐ帰るのに、その時は放課後に俺が色々連れ回してしまった高校での数少ない友人と最後に図書室にいってお互い覚えたばかりのチェスをすることになった。それがその友人とは最後の高校での記憶になった。
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