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【放置】

三つ首の犬

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この双頭の犬の名前がわかったのはいいけど、なんだこれ。
なんか、半透明のプレート?みたいなの出てきた。
オルトロスを詳しく見ようと思ったら、いきなり出てきてめっちゃビックリしたわ。

てか、どういう原理で浮いてんだ。
あ、これ触れる!


【オルトロス】
・双頭の犬型の魔物
・黒い魔素を吸収するとケルベロスになる
・肉質は固い


おお、オルトロスってとこタッチしたら詳しい説明出てきた!
黒い魔素ってなんだ。てか、ケルベロスになんの?
オルトロスもケルベロスも地球の神話に出てこなかったっけ?
あ、やっぱり肉質は固いんだ。もう見た感じからして固そうだったからな。

次はケルベロス。


【ケルベロス】〈毒〉
・三つ首の犬型の魔物
・オルトロスが黒い魔素を吸収した姿
・肉質は固い


「おお、やっぱり頭3つあるんだ!」

やっぱり、名前も姿も聞いたことある感じだな。


「ん?なんか、〈毒〉ってのがついてんな。」

ただでさえ強そうな名前してんのに、毒持ちなの!?


ドスッ、ドスッ

うわぁ、嫌な予感……。
背後から近づいてきた足音に、恐る恐る振り返ると3つの顔がこちらを向いていた。


「……………。」


詰んだわ。

やばい、やばい、やばい!
とりあえず逃げる!考えるのはそれからだ!

全速力で森の中を走る悠仁。
後ろを確認すると、ドスドスと地響きをさせながら追いかけてくるケルベロス。

ていうか、いくらなんでもデカすぎだろ!!
オルトロスは大型犬くらいなのに、馬くらいデカいじゃん!

ん?なんか、ケルベロスの牙から紫色の液体垂れてない?

「あれに噛まれるとやばいのはわかる…。」


もうどれくらい走ってるかわからない。
足を前に出すのがしんどい。

「はぁ……、くっ、はぁ……。」

もう、ダメだ。

「はぁ…、ゲホッ、ゲホッ、はぁ…。」

湖のある開けた場所に出た瞬間、ついに足が一歩も動かなくなった。
後ろを見ると、大きな口を開けるケルベロス。

「ぐあぁぁぁぁ!!」

肩を噛まれたことはわかったが、あまりの痛みに耐えられず悠仁は気絶した。


「うるさいな。」

その声を聞いた瞬間、悠仁の肩を噛んでいたケルベロスが口を離し、勢いよく後ろに飛び退く。
そのまま逃げ出そうとするが、3つの水の塊がケルベロスの顔を包み、しばらくするとドスンと音を立ててケルベロスが倒れた。


「人間…の子ども?   ん?あぁ、噛まれたのか。」

湖の真ん中、水面に立つ男は、青い髪を耳にかけながら悠仁の方へ歩いていく。
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