風紋(Sand Ripples)~あの頃だってそうだった~

宗像紫雲

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第十一章調査員派遣

第十一章第十二節(リットン調査団1)

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                 十二

 そうこうしているうちに二十日になって、待ちに待った政府の回訓が公表された。ここは東京朝日の朝刊が参考になるので、骨子を引用する。
 
 「一、五大綱要求中第五項が、(中略)そのままの形式において決議案中に記載すること困難であるならば、(中略)強いて今聯盟において解決を求める必要はない。
  一、調査員派遣は聯盟が民国、満州の現状を正確に認識する上に有効である。(中略)これを容認して差し支えない。
  一、(中略)日本は五項目要求を一応聯盟より撤回し、聯盟を九月三十日の状態に復帰させるべきである」

 ついに政府は、十月理事会であれほどこだわったはずの「五大綱協定」をきれいさっぱり取り下げた。
「これで話は前へ進む--」
 芳澤や沢田は言うまでもなく、新聞も大きな期待を寄せた。

 日本政府が「五大綱協定」を取り下げ「調査員受け入れ」も表明したから、残る問題は「撤兵」のみとなった。

 何度も繰り返すが、日本側が「調査員受け入れ」を表明したのは、あくまでヨーロッパの人々には想像のつかない、極東の大陸における混沌、無秩序ぶり、当事者不在の状況を現地で調査し、その後の理事会の参考に付したいとの思惑からであった。
 したがって調査は次の項目について、極力大陸全土にわたって行われることを条件に日本側が受け入れを“容認”したのである。

 「(イ)大陸各地における排外排貨運動の状況。
  (ロ)国民党政府には外国人の生命財産の安全を確保するに足るだけの当事者能力があるか、また、現にその安全は図られようとしているか。
  (ハ)国民党政府に外国との間の条約を履行する能力があるか、また、現に履行されつつあるのか」
 
 
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