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世界を越えて大婚活!-神様相手に婚活します-№0

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「人生谷あり、山あり」なんて言葉が存在するほど大変な事はない。
なんて、言っている人は「苦労がないんだな」と思っている私がいる。
私、崎山葉月27歳が直面している事は「結婚」という巨大な問題に挫折しそうな状態なのである。
友達や同僚が恋人を作っていき結婚していく中、なぜか異性に接点を作ろうとすると避けられるという不運にあう私の心はギスギスになっていた。
「ふっふっふっ。こんな事今に始まった事じゃないんだけど・・・・でも、つらいーー!
何で恋愛ができないのーーーー!」
そう、「恋ができない」この状態は今に起きたことではない。
始めは幼稚園で仲が良かった男の子に「好き」と告げたとたんにその子が逃げ出したのがきっかけに「好意」を向けると男の誰もが無理とか友達以上にはなりたくない言われ続けていた。
子供の頃は勉強や習い事費やしていて気にしないようにしていたけれど、高校、大学、社会人を過ごす間に友達との話題は「恋愛」が大半になってかなり辛かった。
最近の事で見かねた同期の友達が合コンに誘ってくれて行ったけど男がやたらと避けているのが諸わかりで最悪だった。
その反動で仕事に没頭して憂さ晴らしをしているのだ。
貯蓄は貯めるに超したことないけど。
自宅のマンションでチューハイと野菜スティックを食べている部屋でTVをつまらなく見ていた。
「はーーあ。何でなんだろ。
私、普通に交流したりするのはできるのに「恋愛、結婚」になるとダメなんだろ」
ぼやきながらリモコンを操作して番組を回していった。
『ーさあ!出会いをお望みの皆さん!
婚活パーティー「世界婚活会」通称、「世界コン!!」お待たせしました!!』
TV画面から元気よくハキハキした声のナレーションにびっくりした葉月は目をパチクリした。
「え・・・?世界コン?何々・・・?」
婚活という言葉に反応してしまい、食い入るようにTVを見つめる。
『この婚活パーティーは視聴されている皆さんに素敵な出会いを設けるための企画であります。
中々良いご縁のない方,LGBTの問題を抱えていらっしゃる方など申し込みいただいても大丈夫です。
素晴らしい相手と必ず巡り会えるようスタッフ一同が誠意をもってご対応します。』
「素敵な出会い・・・・」
今までの事を考えると恋心というものをしないできたから望みを賭けてみるのもありかなと思ってきた葉月なのだった。
『申し込みはその場ですぐ出来ます。
皆様ぜひご検討の末申し込みをお待ちしております。』
不安があるとすれば上手くいかないで失敗するという事なのだが試してみようと思う葉月だった。
「・・・・申し込みしてみよう」
『はい!では、書類を送ります!
ご記入をお願いいたします!』
「え?」
目の前に淡い光の玉が現れてキレイな鈴の音を鳴らして弾けた。
すると、小さなスクロールの用紙と薄い黄色の羽ペンが机の上に置いてあった。
「これが・・・・?書類?」
スクロールを開いてみると見たことのない文字が書かれていたが一瞬で日本語に変わった。
ーこの書簡に名を刻みし者は部外者に多くを語ることをしないと盟約すると誓うものとする。
この行事に参する者は主催する者の「力」により守られるものとする。
これらを承諾することに名を記する。ー
「う~ん、主催する者の力ってなんだろう・・・
まあ、いいや」
慣れた手つきで名前を書いたいった。
すると書類が光って羽ペンと一つになり、右手首止まった。
そこには銀色の腕輪が嵌まっていた。
「きれー、羽の模様だ」
『さあ、これであなたも参加者です
パーティーの日時はその腕輪からお知らせします。
それまでごゆっくりお待ちください』
「あー、分かりました」
『それでは失礼いたします』
TVの画面がノイズだらけになったらニュース番組に戻った。
「うー眠くなってきた、もう寝よ」
電気のスイッチを消してベッドに入り、数秒で寝息が出ていた。

夏の季節になろうとしている朝日が強い光を部屋の中に照らされている中、スマホのアラームがうるさく鳴っていた。
「あー、少し頭痛い
何夢見てんだろ私
婚活パーティーに参加するなんて、ありえ・・・ない・・・よね」
スマホを持っている右手のつけ根には紛れもなく銀色の腕輪が着いていた。
「いやいや、夢じゃないからってつけっぱなしはダメでしょ
はずそ、はずそ・・・」
手の甲に向けて抜こうするも通らないほど小さめの腕輪だった。
「うえ・・・抜けない、あれ?つなぎ目がない」
ポロン!
「うわっ!」
腕輪から四角い光が飛び出して文字が書き出されていった。
『このリングは当パーティー参加者の身元証明と守護を示す物なので着脱不能とさせていただいてます。
ご不便ほどお許しください』
「うそっどーなちゃうの、私」
後悔先に立たず・・・その言葉が頭をよぎっていった。
0話・終
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