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一章.サロン・ルポゼでハミングを

一章 サロン・ルポゼでハミングを①

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ーーここは東京。

 青山通りを一本奥に入ったところに佇む小さなサロン。
 狭い路地の中で、英国風のデザインをした外観は周囲から少し浮いている。
 サロン内には、リクライニングチェアが一台だけだ。

"カランコロン"

「ずいぶんわかりづらい場所にあるのね」

 扉についているドア鈴が受付に響く。
 本日一人目のお客様が開口一番に放った言葉は、新規のお客様の決まり文句だった。

「ご来店ありがとうございます。わかりづらくて申し訳ありません」

「ここがリフレクソロジーサロンね。名前は……ルポゼだっけ?」

「はい、間違いありません」

 受付カウンターを素早く飛び出し、スッと頭を下げる男。
 名前は首藤 水(しゅとう すい)。サロン・ルポゼのエースセラピストだ。周囲からは、スイさんや、スイ君等と呼ばれている。
 年齢は二十七歳で、セラピストとしては比較的若い方に分類され、茶髪のサラサラヘアーと愛嬌のある笑顔が特徴的だ。
 だけど普段は、クールで陰のありそうな顔つきをしていて、そう思っていざ話してみると、意外と表情が柔らかく、笑うとえくぼを覗かせる。
 そのギャップに、クラッとくる女性のお客様が後を絶たない。

「当店は初めてのご利用ですね?」

「ええ、そうなの」

「では最初にご説明からさせていただきます」

 そう言ってスイはお店の説明、施術の説明を始めた。
 内容はこうだ……。
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