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七章.サロン・ルポゼと涙雨
七章 サロン・ルポゼと涙雨④
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百人以上は入るであろう葬儀場に、多くの弔問客が集まっている。
涙を流しながら話し合っている人たちの中に、ポツンと一点を見つめたままのスイがいた。
話しかけようにも、第一声は何と言えばいいのか……みなみにはわからない。
空いている席に座り、周りを見渡してみると、ユアの姿もあった。
いつもはキリッとしているユアも、さすがに不安そうな顔をしている。
お通夜は定刻通りに進んでいき、一人一人がご冥福を祈り、別れを惜しんでいた。
みなみがお焼香をあげに前へ出ると、一番前の席に座っているスイと目が合う。
スイは、一瞬驚いた様子だったけど、すぐにさっきと同じ憔悴した表情に変わった。
あんなに苦しそうな顔は、江頭オーナーには見せたくない。みなみは、自分が来て正解だと思えた。
その後は食事とお酒がテーブルに並んでいる、通夜振る舞いに参加することとなる。
慣れない状況なだけに、みなみはせわしなく食べ進めてしまっていた。
「お隣、大丈夫?」
箸を口に当てたまま見上げてみると、そこにはユアが立っていた。
「帆足さん! どうぞどうぞ」
みなみの隣に座ったユアは、目元だけ笑ったまま、グラスに注がれたビールに口をつけた。
何とか会話をしなければという焦りがみなみの中に生まれたけど、何を話せばいいかわからない。
咄嗟にひねり出した内容は、この状況には全く関係のないことだった。
涙を流しながら話し合っている人たちの中に、ポツンと一点を見つめたままのスイがいた。
話しかけようにも、第一声は何と言えばいいのか……みなみにはわからない。
空いている席に座り、周りを見渡してみると、ユアの姿もあった。
いつもはキリッとしているユアも、さすがに不安そうな顔をしている。
お通夜は定刻通りに進んでいき、一人一人がご冥福を祈り、別れを惜しんでいた。
みなみがお焼香をあげに前へ出ると、一番前の席に座っているスイと目が合う。
スイは、一瞬驚いた様子だったけど、すぐにさっきと同じ憔悴した表情に変わった。
あんなに苦しそうな顔は、江頭オーナーには見せたくない。みなみは、自分が来て正解だと思えた。
その後は食事とお酒がテーブルに並んでいる、通夜振る舞いに参加することとなる。
慣れない状況なだけに、みなみはせわしなく食べ進めてしまっていた。
「お隣、大丈夫?」
箸を口に当てたまま見上げてみると、そこにはユアが立っていた。
「帆足さん! どうぞどうぞ」
みなみの隣に座ったユアは、目元だけ笑ったまま、グラスに注がれたビールに口をつけた。
何とか会話をしなければという焦りがみなみの中に生まれたけど、何を話せばいいかわからない。
咄嗟にひねり出した内容は、この状況には全く関係のないことだった。
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