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七章.サロン・ルポゼと涙雨
七章 サロン・ルポゼと涙雨⑯
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体は弱っているはずなのに、文字には力がこもっている。
スイがどれだけ愛されていたか……この手紙に表されていた。
みなみは、店の前でしゃがみ込んでいるスイのもとへ、急いで向かった。
「スイさん!」
構うことなく濡れているスイを呼んでみるも、体育座りのまま顔を伏せていて動かない。
もう一回呼ぶと、そのままの体勢で静かに話し始めた。
「何でもっと施術してあげなかったんだろう」
こもった声と雨音が相まって、僅かにしか聞こえない。
それに反して、みなみは大きな声で返答する。
「スイさんはずっと施術してたじゃないですか!」
「もっとだよ、もっとしてあげたかったよ」
「スイさん! 思い出してください! お母様は生前何て言ってたんでしたっけ!?」
その言葉が届いたのか、スイはむくっと顔を上げた。
そして、思い出したように答える。
「あなたの好きなことをやりなさい」
「はい。スイさんの好きなこと、それはリフレクソロジーなはず。そしてここはサロン。好きな場所の前で、そんな悲しい姿はお母様も望んでないと思います」
「そうだね……」
またしても何のフィルターも通さず、みなみは思ったことをそのまま言ってしまった。
いつも反省するのに、どうして直らないのだろうか。
スイの気持ちも考えずに、づけづけと発言してしまって……唐突に襲われる自己嫌悪が、悔し涙として表れた。
涙を隠すのに必死になっていると、後ろから温かい体が、みなみを抱きしめた。
「スイ……さん?」
「ごめん、しばらくこのままで居させて」
何が起こっているか、飲み込めないまま小一時間が過ぎた。
みなみの耳元では、スイの鼻水を啜る音が鳴っている。
みなみが頭部付近で感じている冷たさは、涙か雨かハッキリとはわからなかった。
スイがどれだけ愛されていたか……この手紙に表されていた。
みなみは、店の前でしゃがみ込んでいるスイのもとへ、急いで向かった。
「スイさん!」
構うことなく濡れているスイを呼んでみるも、体育座りのまま顔を伏せていて動かない。
もう一回呼ぶと、そのままの体勢で静かに話し始めた。
「何でもっと施術してあげなかったんだろう」
こもった声と雨音が相まって、僅かにしか聞こえない。
それに反して、みなみは大きな声で返答する。
「スイさんはずっと施術してたじゃないですか!」
「もっとだよ、もっとしてあげたかったよ」
「スイさん! 思い出してください! お母様は生前何て言ってたんでしたっけ!?」
その言葉が届いたのか、スイはむくっと顔を上げた。
そして、思い出したように答える。
「あなたの好きなことをやりなさい」
「はい。スイさんの好きなこと、それはリフレクソロジーなはず。そしてここはサロン。好きな場所の前で、そんな悲しい姿はお母様も望んでないと思います」
「そうだね……」
またしても何のフィルターも通さず、みなみは思ったことをそのまま言ってしまった。
いつも反省するのに、どうして直らないのだろうか。
スイの気持ちも考えずに、づけづけと発言してしまって……唐突に襲われる自己嫌悪が、悔し涙として表れた。
涙を隠すのに必死になっていると、後ろから温かい体が、みなみを抱きしめた。
「スイ……さん?」
「ごめん、しばらくこのままで居させて」
何が起こっているか、飲み込めないまま小一時間が過ぎた。
みなみの耳元では、スイの鼻水を啜る音が鳴っている。
みなみが頭部付近で感じている冷たさは、涙か雨かハッキリとはわからなかった。
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