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八章.サヨナラ
八章 サヨナラ⑰
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「みなみちゃんが?」
向き合っていたスイの感情が別空間に飛ばされたように、頭が真っ白になる。
「そう、距離ができたのはスイがコンペティションで優勝したからじゃないし、私がスイを嫌いになったからでもない。あなたがみなみさんと出会ったから」
「何だよそれ。勝手に決めるなよ」
「勝手じゃないわよ! スイはわかっていないだけ! 私はここ数か月、ずっと考えていた。ずっと向き合おうとしてた……でも、もう我慢できないの! スイに私は必要ない」
今日初めて、ユアが感情的になった。
スイは、否定したい気持ちが喉元まで迫っていたけど、言葉を発することがどうしてもできなかった。
「スイが勘違いしてるのはね、私と向き合おうとしていること。そうじゃないの、私が今のスイとはもう向き合えないのよ」
「どうして?」
「だってスイ、強くなったんだもん。お通夜の時にはっきりわかった。私が隣に居る必要はもうないんだって。そう思ったらね、向き合う意味がわからなくなったの」
ユアが、どうしてこんなにわかった気でいるのか、その根拠がスイには読めなかった。
スイはユアの前で、一度もそんな素振りを見せたつもりはない。
いつもサロンの話はしていたけど、みなみのことを詳しく話していたわけではない。
こないだのコンペティションの時、あの会場でみなみを庇うような発言をしてしまったけど、それがスイの強さを助長させるような行動だとは限らないし、みなみに求愛したわけでもない。
だとしたら、ユアの言う、お通夜の時だ……あの夜のことを思い出してみると、スイはみなみとベンチで話していたことを思い出した。
向き合っていたスイの感情が別空間に飛ばされたように、頭が真っ白になる。
「そう、距離ができたのはスイがコンペティションで優勝したからじゃないし、私がスイを嫌いになったからでもない。あなたがみなみさんと出会ったから」
「何だよそれ。勝手に決めるなよ」
「勝手じゃないわよ! スイはわかっていないだけ! 私はここ数か月、ずっと考えていた。ずっと向き合おうとしてた……でも、もう我慢できないの! スイに私は必要ない」
今日初めて、ユアが感情的になった。
スイは、否定したい気持ちが喉元まで迫っていたけど、言葉を発することがどうしてもできなかった。
「スイが勘違いしてるのはね、私と向き合おうとしていること。そうじゃないの、私が今のスイとはもう向き合えないのよ」
「どうして?」
「だってスイ、強くなったんだもん。お通夜の時にはっきりわかった。私が隣に居る必要はもうないんだって。そう思ったらね、向き合う意味がわからなくなったの」
ユアが、どうしてこんなにわかった気でいるのか、その根拠がスイには読めなかった。
スイはユアの前で、一度もそんな素振りを見せたつもりはない。
いつもサロンの話はしていたけど、みなみのことを詳しく話していたわけではない。
こないだのコンペティションの時、あの会場でみなみを庇うような発言をしてしまったけど、それがスイの強さを助長させるような行動だとは限らないし、みなみに求愛したわけでもない。
だとしたら、ユアの言う、お通夜の時だ……あの夜のことを思い出してみると、スイはみなみとベンチで話していたことを思い出した。
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