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九章.タビダチ
九章 タビダチ⑤
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力なく漏らしたみなみの声で、江頭オーナーが笑顔になる。
眉間に寄っていた皺も、すっきりとなくなった。
「井手みなみ、あなたならやれる。だってこんなに優しくて可愛いんだから。足りないのはね、勇気だけよ」
思い返すと、いつも江頭オーナーはみなみの味方をしてくれていた。
恋愛の時も、仕事の時も。
ずっと励ましてくれていたし、ずっと自信づけてくれていた。
ここで行動しなければ……一生後悔する。
力強い瞳を見せると、江頭オーナーは擦っていた手を離して『よしっ』と呟いた。
「ていうかオーナー、何でフルネームで呼ぶんですか」
「興奮したらつい言っちゃうのよね、それほど言いやすいフルネームなのよ」
引き締まった空気から、いつもの穏やかなサロンに戻る。
みなみは江頭オーナーから熱いエネルギーを感じると、ピンと背筋が伸びた。
その日は施術にも身が入り、売り上げもここ最近では一番いい数字を記録した。
帰り道は、スイにどう告白しようか考えるのに夢中で、疲れとかは一切気にならなかった。
「スイさん、一生大切にします」
「私が隣でずっと支えます」
「一緒に楽しい人生を歩みませんか」
駅から自宅までの道のりの中で、みなみは無意識に告白のセリフを口ずさんでいた。
すれ違う人の視線で我に返り、顔を赤らめながら早足で帰る。
早歩きをしながら、何の前触れもなく昨日のことを思い出した。
そういえば昨日、スイは別れた直後だったのに、どうしてあんなに平常心を保っていたのだろうか……。
今度はそのことを考えていたら、あっという間に家に着いてしまった。
眉間に寄っていた皺も、すっきりとなくなった。
「井手みなみ、あなたならやれる。だってこんなに優しくて可愛いんだから。足りないのはね、勇気だけよ」
思い返すと、いつも江頭オーナーはみなみの味方をしてくれていた。
恋愛の時も、仕事の時も。
ずっと励ましてくれていたし、ずっと自信づけてくれていた。
ここで行動しなければ……一生後悔する。
力強い瞳を見せると、江頭オーナーは擦っていた手を離して『よしっ』と呟いた。
「ていうかオーナー、何でフルネームで呼ぶんですか」
「興奮したらつい言っちゃうのよね、それほど言いやすいフルネームなのよ」
引き締まった空気から、いつもの穏やかなサロンに戻る。
みなみは江頭オーナーから熱いエネルギーを感じると、ピンと背筋が伸びた。
その日は施術にも身が入り、売り上げもここ最近では一番いい数字を記録した。
帰り道は、スイにどう告白しようか考えるのに夢中で、疲れとかは一切気にならなかった。
「スイさん、一生大切にします」
「私が隣でずっと支えます」
「一緒に楽しい人生を歩みませんか」
駅から自宅までの道のりの中で、みなみは無意識に告白のセリフを口ずさんでいた。
すれ違う人の視線で我に返り、顔を赤らめながら早足で帰る。
早歩きをしながら、何の前触れもなく昨日のことを思い出した。
そういえば昨日、スイは別れた直後だったのに、どうしてあんなに平常心を保っていたのだろうか……。
今度はそのことを考えていたら、あっという間に家に着いてしまった。
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