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# 春

きっとそれは恋だと思う②

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「それでは、これにて終了とします。皆さん良くできていました。今日の感触を忘れないようにしてください」

 先生の締めの一言と共に、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
 最後の授業が終わったら、放課後にチームの三人で残って自主練をする。
 これが、ここ最近のお決まりになってきた。
 最初は戸部君の課題レポートのために足を貸すだけだったけど、自分も積極的に施術をしないと、プロにはなれない気がしたから。

「じゃあ、今日もお願い!」

 戸部君がいつもと同じように、私たちに向かって一礼をする。
 昨日は入来ちゃんが足を貸す番だったから、今日は私だ。
 ベッドの上で仰向けになると、足を戸部君の方に向けてあげる。

「ナオちゃん、足冷たいね」

「そう? 冷え性なのかな、私」

 戸部君の温かい手が、優しく私の冷たい足を包み込む。
 その温かさで、安らぎの世界へと導いてくれるみたいだ。
 思わず目を瞑っていると、何やら入来ちゃんと確認事をしている。

「今日習った反射区って、土踏まずのところだから、胃腸系だよね?」

「そうだよ。戸部君の指使い、見させてもらうね」

 今日の授業で習った反射区は、胃腸系。
 土踏まずのところが胃腸と反射しており、その確認を入来ちゃんとしているみたいだ。
 
 滑らかに動く戸部君の指が、私の土踏まずを刺激する。
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