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# 春
予期せぬエラー⑪
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オオヌキ出版を後にすると、感無量で言葉を発することはできないでいた。
三人で満足感に浸りながら歩いていると、突然戸部君の足が止まる。
一歩後ろにいる戸部君の方を見ると、何か言いたげにしているのが、あからさまに伝わった。
「どうしたの、戸部君?」
入来ちゃんが心配そうに歩み寄ると、俯いていた顔が急に前を向いた。
何かを心に決めた顔が、私の目の前まで近づいてくる。
「ナオちゃん、こないだはごめん!」
深々まで頭を下げる戸部君に、たじろいでしまう。
こんなオフィス街のど真ん中で、やめて欲しい。
すぐに頭を上げさせ、普通の姿勢に戻させる。
「ちょっと、やめてよ。もう気にしてないから」
「いや、俺余計なことまで言っちゃった。ダサいとかさ……あれは言葉の弾みなんだ。ナオちゃんがいつも弱気なことを言う度に、勿体なく感じて。もしリフレクソロジーに見切りをつけて、大学に行くとか言い出したらどうしようとか考えた」
なんてことまで考えているんだこの男は。
私がリフレクソロジストを諦めるわけがないだろうに。
熱の入った戸部君の言葉は、どこまでも素直だった。
「私が辞めるわけないでしょ? それに……今日は助けてくれてありがとう。戸部君が居たから、成功することができた。これからは自信を持って取り組むから、一緒に頑張ろうね」
三人で満足感に浸りながら歩いていると、突然戸部君の足が止まる。
一歩後ろにいる戸部君の方を見ると、何か言いたげにしているのが、あからさまに伝わった。
「どうしたの、戸部君?」
入来ちゃんが心配そうに歩み寄ると、俯いていた顔が急に前を向いた。
何かを心に決めた顔が、私の目の前まで近づいてくる。
「ナオちゃん、こないだはごめん!」
深々まで頭を下げる戸部君に、たじろいでしまう。
こんなオフィス街のど真ん中で、やめて欲しい。
すぐに頭を上げさせ、普通の姿勢に戻させる。
「ちょっと、やめてよ。もう気にしてないから」
「いや、俺余計なことまで言っちゃった。ダサいとかさ……あれは言葉の弾みなんだ。ナオちゃんがいつも弱気なことを言う度に、勿体なく感じて。もしリフレクソロジーに見切りをつけて、大学に行くとか言い出したらどうしようとか考えた」
なんてことまで考えているんだこの男は。
私がリフレクソロジストを諦めるわけがないだろうに。
熱の入った戸部君の言葉は、どこまでも素直だった。
「私が辞めるわけないでしょ? それに……今日は助けてくれてありがとう。戸部君が居たから、成功することができた。これからは自信を持って取り組むから、一緒に頑張ろうね」
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