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# 夏

スターマイン⑤

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 今日参加する花火大会は、都内でも一、二番を争う規模のもの。
 逆にその方が、群衆に紛れ易いはず。
 ということは、みんなとはぐれやすくもなるということだ。
 そこを利用することで、今日のミッションを成功させる。
 上手に離脱して、二人きりを楽しんでもらおう。

「あ、ナオちゃんこっちだよ!」

 花火大会の会場がある駅に着くと、すでに入来ちゃんと戸部君が浴衣姿で待っていた。

「お待たせ! うわ、二人とも浴衣が似合うね」

 入来ちゃんは清潔感のあるクリーム色の浴衣で、いつもの眼鏡姿ではなくコンタクトにしている。
 普段とギャップがあって、女の私でも惚れてしまいそうだ。

「ナオちゃんも、似合ってるよ」

 戸部君はそう言ってくれているけど、明らかにお世辞だと言うことがわかる。
 入来ちゃんに比べても、私の浴衣はシンプルで特徴のないものだから。
 でも、私が周りにどう思われようが関係ない。
 今日はそういう意図で来ていないわけだし。

 一方の戸部君はというと、シックな黒色の浴衣で、スラっとしたスタイルによく似合っている。

 二人が並んで歩いているのを見ると、色合いがちょうど良くて、何だか羨ましく感じた。
 私も……もう一度だけで良いから、ユウキと並んで歩けたらな。

 ていうか、もうすでにこの二人良い感じか? 
 いや、まだいつもと変わらない雰囲気だな。
 そうか、最初に私を誘ったのは、入来ちゃんと花火大会に行く口実だったのかもしれない。
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