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# 夏

スターマイン⑦

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 今日の本来の目的は、入来ちゃんと戸部君を急接近させることで、私の思い出を増やすことではない。
 自らの欲のためではなく、二人のために行動しないと。
 ここは空腹状態をグッと我慢して、私はこの場で待機しよう。
 なだれ出る唾液を引っ込めて、思いついたように発言する。

「あ、みんなで行っちゃうとこの場所取られちゃうから、二人で好きなの買って来なよ」

 よし、極めて自然に言うことができた。
 これくらい自然なら戸部君も勘づかないだろう。
 涼しい顔をしながら、二人を見送ろうとする。

「そっか、じゃあナオちゃんの好きなものも買ってきてあげるよ。焼きそば? お好み焼き? それともじゃがバターとか?」

 戸部君のチョイスしたメニューは、私が目をつけていたものばかり。即座に答えることができずに、考え込んでしまう。

「えーと、そうだなー、じゃあ焼きそば! いや、お好み焼きも良いな。でも、じゃがバターなんてこういうとこじゃないと食べないからな……」

 楽しそうに迷っていると、その様子を見て不憫に思ったのか、苦笑いしながら入来ちゃんがフォローをしてくれた。

「ナオちゃん行ってきなよ、私待ってるから」

 入来ちゃんに気を使わせてしまった自分が恥ずかしい。
 それだけは違うという思いが溢れ出て、首をブルブル横に振りながら全力で否定する。

「いや、大丈夫! じゃあ焼きそばでお願い! お金は後で返すからね!」
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