105 / 173
# 秋
文化祭⑤
しおりを挟む
「そうこう言ってる間に着いたよ」
戸部君が笑いながら指をさすと、大賑わいしているキャンパスが目の前に広がっていた。
キャンパス前の広場では、縁日や模擬店やらで大盛り上がりをしている。
「じゃあ、まずは腹ごしらえからだね」
空腹状態なことをすでに把握している戸部君が、美味しそうな香りを飛ばしている模擬店コーナーまで引っ張ってくれる。
から揚げやホットドッグ、定番の焼きそばやお好み焼きまで、大好物なメニューが並んで目が回ってしまう。
「じゃあナオちゃんはここで待ってて。俺が何か買ってくるから」
「え、一緒に行こうよ」
「せっかくだしゲームしようよ。ナオちゃんの好物なものを買って来れたら、俺の勝ちね」
「何それ? 戸部君が負けたらどうなるのよ」
「うーん、じゃあ負けたら今日の分は全部払うよ。俺が勝ったら……ま、何でも言うことを聞いてくれるってことで」
「何それ!? 負けの罰の方が重くない?」
「決まりね! じゃあ行ってくる!」
「ちょ、ちょっと!」
にこやかな顔で、人が混雑している模擬店コーナーに消えていった。
勝手なゲームを作り出して、私を楽しませてくれようとしているのは伝わるけど、一人になるのは心細い。
だけどこのゲーム、よく考えたら完全に私次第のゲームになっている。
たとえ好物な食べ物を買ってきたとしても、私が違うと言えばそれが答えだ。
相変わらず抜けている戸部君が、いじらしく思えてきた。
戸部君が笑いながら指をさすと、大賑わいしているキャンパスが目の前に広がっていた。
キャンパス前の広場では、縁日や模擬店やらで大盛り上がりをしている。
「じゃあ、まずは腹ごしらえからだね」
空腹状態なことをすでに把握している戸部君が、美味しそうな香りを飛ばしている模擬店コーナーまで引っ張ってくれる。
から揚げやホットドッグ、定番の焼きそばやお好み焼きまで、大好物なメニューが並んで目が回ってしまう。
「じゃあナオちゃんはここで待ってて。俺が何か買ってくるから」
「え、一緒に行こうよ」
「せっかくだしゲームしようよ。ナオちゃんの好物なものを買って来れたら、俺の勝ちね」
「何それ? 戸部君が負けたらどうなるのよ」
「うーん、じゃあ負けたら今日の分は全部払うよ。俺が勝ったら……ま、何でも言うことを聞いてくれるってことで」
「何それ!? 負けの罰の方が重くない?」
「決まりね! じゃあ行ってくる!」
「ちょ、ちょっと!」
にこやかな顔で、人が混雑している模擬店コーナーに消えていった。
勝手なゲームを作り出して、私を楽しませてくれようとしているのは伝わるけど、一人になるのは心細い。
だけどこのゲーム、よく考えたら完全に私次第のゲームになっている。
たとえ好物な食べ物を買ってきたとしても、私が違うと言えばそれが答えだ。
相変わらず抜けている戸部君が、いじらしく思えてきた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる