続・思わぬ収穫? ~見聞録~

七月 優

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リアトリス見聞録

リアトリスは改めてもリアトリス

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 私事ですが、この度結婚しました。
 先日のユノンの月十三フレヤの日に、無事に結婚式を挙げた次第です。

 夫は、イグナシオ・フィジオースと言います。愛称はイオです。
 彼は、銀髪碧眼の、この世界では美形なイケメンです。ただ、愛想がなさすぎて、女性受けは悪いと小耳に挟みました。実年齢よりは年齢が上に見え、二十代前半でも罷り通るちょっぴり老け顔でもあります。
 長身・筋肉質なほどよいガタイ・大食漢・戦うと強い槍使いらしい・馬鹿力・ドラゴン&竜好き・肉も野菜も大好き・辛いものが苦手・そこそこの変態・意外にノリが良く、意外に笑いの沸点がやや低め ――― 等々。挙げたらきりがありませんが、そんな要素を持つ今年十七歳の見た目は人族の男性が私の夫です。

 そんな彼との出会いは、約一年前のマーズの月でした。
 私用で訪れていたライムの洞窟の最下層手前で、背中を大火傷して突っ伏して倒れている彼を発見し、一応介抱。そんな経緯を辿り、初めてイオと顔を見合わせました。
 そう、そこで目と目が合った際、どうやらイオは私にまさかの一目惚れを果たしたらしいです。
 正直、後からそれを知った私もまじかよとツッコミましたが、間違いないとのこと。世の中、青天の霹靂はあるものなんですね。
 それから、私は彼の猛アタックに気づかないまま新年になる前。紆余曲折あり過ぎながら、彼の好意に気づき、両想いに。
 その半年後、婚約期間を経て、先日めでたくゴールインしたわけなのです。

 遅くなりましたが、私の自己紹介を少々。
 今年十九歳の、小人族の血が入った人族。薄葡萄色の髪と瞳を持つ、身長約百四十センチほどの見た目やや子ども。
 前世地球の日本で生きていた記憶を持って、こちらの世界で生まれ変わりました。
 ・・・・・・なんていいますか、夫と比較すると平々凡々で、結婚向いてないよと己が一番知っているそんな駄目人間であります。

 そんな私の名前は、リアトリスと申します。家名はございません。
 私は一才に満たぬうちに孤児院に捨てられた、孤児なのです。家名なしは当然。名前も自分で付けました。
 ただ、結婚してもそれは変わらず仕舞いです。私は、リアトリスのままとなりました。

 前世であれば、驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
 しかしながら、ここは異世界でございます。結婚しても配偶者の家名などを名乗らない場合も、あるわけなのですよ。
 実は、夫の家名兼姓である『フィジオース』のお家柄と血筋が特殊でして。
 その特殊さ故に、その血が流れていないと、フィジオースとは名乗れない決まりだそうです。ですので、フィジオースの血が流れるイオと結婚しても、私自身にその血が流れているわけではございませんので、私は家名なしのリアトリスのままというわけなのです。
 その事情のため、寂しさなど複雑な感情はございません。きちんと説明を受けて、私の中で、すんなり納得できたことも要因でしょう。
 
 そんな理由を説明を長くするのは面倒だろうと、フィジオースの血を引く者が配偶者である先輩たちから、こんな自己紹介をすればいいと教わりました。

「夫はフィジオースの血筋の者です」

 それだけで、この世界のほとんどの方が私が結婚しても家名なしのままである理由を察するんだそうです。すごいですよね。それほどの認知度がある有名な血筋とか。
 また、その説明だけで常識と良識がある者ならば、下手なことはしてこないとのお墨付きなのですから、私はなんだかいろいろとすごい血筋の男性と結婚したのだなと思わざるを得ません。
 では、最後に私がこれから定番文句にするであろう自己紹介の一例を、ご紹介いたしましょう。

「はじめまして。私はリアトリスと申します。リースとお呼びください。夫の名はイグナシオ・フィジオースです。どうぞ、よろしくお願いいたします」
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