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五
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彼のことは、噂では知っていた。
そして、噂通りの人物だと、私は知った。
彼、ラシャドを一目見ただけで、視線が彼に釘付けになった。
その瞬間、頬が熱くなり、頭がぼうっとなったのを、今でも私は覚えている。急に発熱したんじゃないかってくらい、体が熱くなった。
そして、その高揚感が、いわゆる一目惚れなのだと気づいた。
陽光にあたってより輝いて見える、ラシャドの漆黒の髪は、きちんと手入れをしている女性のそれより美しく感じた。長さは襟足ほどであるが、おそらく長く伸ばしたとしても艶のあるきれいな髪のままだろうなということが窺える。
ラシャドの長身で均整の取れた体つきも、しなやかで優しい風貌も、私には全て好ましく思えた。
端整な顔立ちは、見惚れるほどきれいだ。だから視線を送り過ぎたのかもしれない。彼は、私の方を向いた。
彼の宝石のような緑の瞳が私を捉えた瞬間、惚れ惚れする笑みが美しい顔に浮かぶ。そして、どういうわけか、彼は真っすぐ私の元へ来てくれた。
正直、その際の初対面の記憶は朧気だ。会話も今ではろくに思い出せない。
ただ、確か彼に関する噂の中に、彼に会う前に、彼を好きになる前に絶対覚えておかなければならないことが、あったはずなのに。
彼も私を好ましく思ってくれていると確信した瞬間、もうその疑問は私の頭から霧散したことだけは、なんとなく覚えている。
* * *
ラシャドと親しくなって、私は日々幸せに感じた。今までの何気ない日常が、どこもかしこも満開の花が咲き誇ったかのように、色づいた。
彼とのデートはこの上なく楽しいもので、きっとかけがえのない思い出になることだろう。
彼が聞き上手の話し上手だから、引っ込み思案の私だったけれど、おしゃべりもとても弾んだ。沈黙でいても、お互いの想い合う雰囲気がとても心地よく、それすら幸せだった。
食事も買い物も、ただ歩いているだけでも、ラシャドが隣に、傍にいてくれるだけで、それだけで良かったのに。
いつだろう?
多分私が鈍すぎて、気づかなかっただけでそれはきっとずっと前のことだったのに違いない。
ラシャドが私より年下の女性と一緒に、同じ家で暮らしていると知ったのは。
そうだ。確か、噂では、彼の親戚関係の女性が彼の家で暮らしていると、前から言われていた。それには何か続きがあった気がする。
でも、思い出せない。思い出そうとすると、ずきりと頭が痛んだ。その鋭い痛みに耐えかね、記憶を辿るのを私は放棄する。
いつか、それが大きな過ちとなることも知らず、その時の私はその決断を下したのだ。
それ以降、私の中にどろりとした嫌な感情が渦巻いた。
嫉妬だ。彼と同じ家に暮らして住む、リージアという名の女性に対して、沸々と憎しみが込み上げてくる。
ラシャドが好いてくれているのは、私なのに。彼の一番は私なはずなのに。
どうして、あの子は親戚だからと、さも当然のように彼と同じ家で生活を共にできるのだろう?
それがとても羨ましくも、恨めしくて憎たらしかった。
ある日、ラシャドが彼女には一切恋愛感情を抱いていないし、彼女も同様だと諭すように伝えてくれた。加えて彼女は、彼の友人が恋人だと教えてくれる。
それでも、私の嫉妬と憎悪と不安は拭えない。いくらラシャドの心は彼女に向かないと分かっていても、追い払っても追い払っても、それらが私に付きまとって、支配してくる。
だから、ラシャドが彼女の話題をした話は、内心やめて欲しいと胸が張り裂ける思いで、ほとんど受け流して聞くようになった。
段々と、ラシャドといても、リージアの影が脳裏にちらつくようになった。それには苦々しく、とても苦しい思いを味合わされた。
そんな中、ラシャドを兄さんと呼んで慕う彼女の姿を見かけた際、心の中の私は苦汁を飲まされている気分だった。二人共、とても仲良く見えた。
彼女の美人な顔も肉感的な体型も、私にはないものだ。ラシャドは彼女のような女性は好みではないと言っていたけれど、真実かどうか疑わしくなる。信じたいと思う一方、ラシャドも男なのだと語りかける自分もいた。
彼女とは何度か社交辞令的に話す機会もあったけれど、それもまた私の静かに湛えた怒りを刺激していく。ラシャドとは何の関係もないと飄々として、おまけに私とラシャドに仲良くして欲しいという、余裕のある態度が実に気にくわなかった。
そうしているうちに、彼女をラシャドから引き離さなければいけない。ラシャドの目を覚まさせて、彼女にはラシャドの家から出て行ってもらわなければという考えに至った。
その考えと思いが押し寄せてきて、どうしようもなくなり、それを実行すべく体が勝手に動いた。そうして、私は仕事終わりの彼女を捕まえて説得したのである。
* * *
「さよなら、元気でね」
リージアを説得しに行ってからの記憶は、ぼんやりしている。ただ、ラシャドが現れて、彼が私を家まで送り届けてくれて、そう悲しそうな笑顔で告げられたのだけは、頭にこびりついていた。
またおかしなくらい、もう彼女に対しては、何の感情を抱かなくなり、頭がややすっきりした気分すらする。
あれから、彼から何の連絡もない。一度も会うことも、見かけることもないまま、数日が過ぎた。
仕事を終えて、帰っている途中、近道をして喫茶店の脇道を歩いていた時だ。聞き慣れた声が耳に届く。
かつてひどく憎かったリージアの声と、愛しいラシャドの声である。
彼らは喫茶店のテラス席でお茶をしているようで、死角である喫茶店の横の脇道に佇む私は、そのまま聞き耳を立てることにした。
「ミカエラさんよ」
「ああ。彼女か。あの日あのまま真っ直ぐ家まで送り届けたさ。そして、『さよなら、元気でね』とお別れの言葉をしてきたけど?」
「・・・・・・相も変わらず曖昧ね。彼女、もしかしたら、縁を切る意味のお別れの言葉だと理解してないんじゃない? まあ、彼女あの日はおかしかったから、そうせざるを得なかったのか知れないけど」
淡々と述べるラシャドとは違い、彼女の声には、呆れと共に憐れみと同情も入り混じっていた。
私は、告げられた真実に、呆然となる。
私、あのとき、ラシャドから絶縁を告げられていた? 嘘、でしょう? だって、恋人のような関係だったけれど、私はまだラシャドの正式な恋人だと公言すらされていないのに。
心臓がドクドクと嫌な鼓動を告げる。胸がざわざわして、頭が混乱しそうだった。いや、もう既に困惑していた。
「もういっそ、ああいう女性とでも結婚すればいいんじゃないか?」
「そうねぇ。私ももう少ししたら実家を出るし、それでもいいかもしれないわね」
「それは無理な相談だな。だって、家族を悪くいう女性は無理だよ。おまけに俺の姉妹にあそこまでした子は初めてだしね。結婚すれば、今度はやれ不倫じゃないかと、被害妄想が実に怖い。いちいち火消しなんてするのはごめんかな」
彼女の恋人であり、ラシャドの友人であるワイアットという男性もいたらしい。そう思っていれば、またもやラシャドの言葉に鈍器で殴られたような衝撃を受ける。
リージアがあの家を出ることなど、かつてあれほど渇望していたのに、もうどうでもよく思えた。
それよりも、私と結婚することをはっきりと無理だとラシャドはいった。
更に、彼は今なんていった? リージアを家族であり、姉妹だとはっきり明言しなかっただろうか?
リージアはラシャドの妹? 実の、血が繋がった妹なの?
確かに二人は顔つきは全くもって酷似しているとは言えないけれど、黒い髪に緑色の瞳という特徴は同じだ。
そして、私はまるで魔法が解けたかのように、靄がかっていた記憶がぱあっと晴れた。何か引っかかるのに、思い出そうとする度にひどい頭痛を伴い、諦めていた事実。
それが、まさにそのことだったのだ。
ラシャドの噂、「彼の親戚関係の女性が彼の家で暮らしている」の続きは、「でもその女性は彼の真の姉妹である」ということだった。彼と対面する際は、必ずそれを念頭に置いて彼と向き合わねばならないというのが、周知の事実として広まっていた、はずなのに。
どうして、今まで忘れていたのだろう?
告げられた真相と、今しがた解けても解けきれない謎に、私は途方に暮れる。
「ミカエラも俺に乗馬を求めてきたしさ。みんな馬に騎乗して俺と遠乗りに出かけたいとか、なんなんだろうね? 俺は全くもって乗馬に興味など欠片もないのだけれど、すごい熱意と熱弁で説得してきて・・・・・・本当にあれは不思議でならない」
「・・・・・・白馬の王子様を求めてやまないんじゃない?」
「いやいや、馬は乗るよりも、賭け事をするのが一番だって。俺には特に」
茫然自失ながらも、彼らの会話が聞こえてきた。
そういえば、確かに私はラシャドに乗馬を望んだ。でも、今となってはなんでそんなことを望んだのか分からない。
リージアの言い分も分からなくはないが、私はそれでラシャドにお願いしたというわけでもなかったはずだ。確かにラシャドがそれを実行してくれれば、様にはなるだろう。格好いい姿が目に浮かぶ。だからって、今こうしている私ですら経験も興味もないくせに、何故そんなことをラシャドに頼んだのか、理解不能だ。
「みんな見た目は好みなんだけどな。最初はそうでもないのに、段々きつくなる我儘と性格が可愛く思えなくなっちゃうんだよね。いくら恋人や好きな相手でも、思いやりと気遣いがなくなれば、気持ちは冷めるよ。おまけに彼女たちの理想像を押し付けられるのが一番困った。俺にそれを求めるなら、彼女たちも同様に俺の理想像を演じてくれなければ公平でないのにね。俺だけ理想を演じるなんておかしすぎるよ」
「その台詞もう何回も聞いたわ」
ラシャドの言葉は、胸が抉られるかのようだった。まさに、私もその通りではなかったか?
最初は良かった。リージアのことなど歯牙にもかけず、ただラシャドを想っていた頃は、まだ大丈夫だったと思う。あの頃は確かにラシャドの好意も愛情も、私に真っすぐに向かっていた。
でも、リージアという存在を認識してから、私は彼が私を想ってくれていることを当然のように認識し、我儘も増えた。彼を思いやり気遣うよりも、彼から思いやられ気遣われることをひたすら望んだ。その頃のラシャドは、困ったように笑うことが多くなったことを、今ならきちんと思い起こせる。あの頃から、彼の私への想いは離れていっていたのだろう。
おまけに、リージアにもかつて偶然会ったときにいわれたじゃない。
『ラシャド兄さんは、自分の理想を押し付けるばかりの相手は苦手だっていってたわ。今までの恋人たちにそうされて、嫌気も差したし、気持ちが冷めてしまうんだとか。まあ、確かにそうよね。片方だけの意見を押し通そうとすればそうなるわ』
まだ、彼女とは辛うじて世間話できていた頃、そう教わっていたはずだ。おそらくは、私は今までの彼女たちの二の舞を演じるなと忠告し、私を応援してくれていたのだと、今なら分かる。
それなのに、私はなんてひどいことを彼女にしたのだろう。
「こういったやり取りを今まで数多くしてきたにも関わらず、ラシャドが好意を抱く相手がことごとくあのような呪いにかかるのはなんでなんだろうな? どこからどう考えても、似たような外見をしたきょうだいだと思えるだろうに」
「さあ? それはもう、呪いとしか言いようがないね」
ええ、呪いだわ。噂でもそんなことが飛び交っていたし、体験したからこそ、私もそれは間違っていないと断言できる。
「でも、兄さん。兄さんや私や姉さんたちがどうして、歴代の彼女たちに真正面から、私たちが血のつながった実のきょうだいだって説明してはいけなかったの? みんなそうした方が厄介で悪いことが起きるからと忠告したけど、本当か怪しいわ。だって、私はそれを実行したことがないもの。それにやっぱりきちんと説明すれば、誤解もすっぱり解けて、兄さんも今頃誰かと結婚できていたんじゃないかしら?」
リージアの意見に、私も同意する。あんな取り返しのつかないことをする前に、きっぱりはっきりと真実を告げて欲しかった。
後悔押し寄せる中、ラシャドは過去に私のような呪いがかかった女性たちに真実を告げてしまった後の、彼女たちの末路を語る。
「誤解は、解けたよ。今までの呪いが嘘のようにね」
「それは良かったじゃない?」
「俺も姉たちもそう思ったさ。それで万事解決すると。でもね、真相を知った彼女たちはそうでなかった。ひょっとすると明かす機会も悪かっただけなのかもしれないけど・・・・・・」
「え?」
「リージアは彼女たちの立場だったら、その真実を知って嬉しいと諸手をあげて喜ぶかい?」
「それは、私が彼女たちのような人物なら、そうするのではないのかしら。だって、障害はもうないのだもの。でも、私自身だったら・・・・・・」
「うん、全て訳の分からない呪いのせいだったとしても、正常に戻ってしまえば、とても恥ずかしいと思うよね。呪いのせいで熱に浮かされていた状況ならともかく、なんてことをやらかしたんだと後悔ばかりが押し寄せてくる。おまけに、嫉妬して恋敵だと勘違いしていたのが、俺の姉妹だと判明するのも、追い打ちをかけるんだろう。どれだけ俺と想い合っていても、恥辱と後悔は彼女たちには耐えられなかったらしい。呪いが解けると、きっと常識が心を弱くするのかな? 真実を明かされた彼女たちは、涙ながらに謝って、俺の元を去って行ったよ。俺や家族がいくら許しても、彼女たちはそれを良しとはしてくれなかった」
ラシャドの声色からは、ようやく悲しみと後悔が窺えた。彼だって人間だ。彼だって別れが辛いわけではないのだと、気づくことが出来た。
時と場合によっては、私の先輩たちの誰かなら、諸手をあげて喜べたのかもしれない。
でも、おそらく私は、どの機会であっても手遅れだった気がする。
リージアの名が耳に入るか、今まで彼の愛人のような存在だと囃し立てられた女性の話になった途端、嫉妬と憎悪に飲まれる運命だったのだろうから。悲しいくらい、そうなったに違いないと断言できる。
なんて嫌な運命。なんて残酷な呪いなのだろう。
このせいで今まで何人もの女性が傷つき、彼を彼の家族をも傷つけてきたのか。
零すまいとしていた涙が、ようやく頬を伝って流れた。
「そうして真実を知った彼女の一人は、失恋もあってか精神的に参ってしまってね。職を辞して、遠くへ引っ越してしまった。もしくは、そんな風に誑かしてと、彼女の家族が家に怒鳴り込んできたこともあった。一番辛かったのは、命を断とうとされたことかな」
「そうだったの。・・・・・・それで、彼女たちのその後は知っているの? みんな無事なのかしら? 家に怒鳴り込んできた件も解決したの?」
「ああ。先に、家に怒鳴り込んできた件だけれど、事情を説明すれば彼らも納得してくれたさ。家族も彼女の異変は感じ取っていないわけがなかっただろうからね。彼女も呪いのせいで姉たちに非礼はあったし、おあいこになった。また、彼女たちは全員無事だ。こっそりと調べてもらった結果、紆余曲折あったようだけど、彼女たちは全員今は家庭を築いて幸せに暮らしているそうだ。もう俺のことなど、すっかり頭にないんじゃないかな?」
「どうかしら?」
「でも、俺はもうそう願うしか出来ないよ」
ラシャド・・・・・・。
多分、みんなあなたを完全に忘れはしないわ。私には分かる。
「そういうこともあって、俺は家族と彼女のためもあり、リージアには絶対に彼女に面と向かって俺との関係性を明かさないで欲しいとお願いしてたわけだ」
静かに涙を流す中、私はラシャドに守られていたのだと、大切にしてもらっていたのだと、実感した。
「ねえ、それ以外の場合の、今まで兄さんに想いを寄せて縁がなくなった彼女たち。不思議なくらい、兄さんが距離を置いて自然消滅するのが正解なのは知っているけれど、彼女たちも後々誤解が解ける可能性はあるわよね?」
「うん、勿論そうだろうね」
「その場合は、今まで何事もなかったってことは、彼女たちは姉さんに真実を明かされた女性たちのようにはならなかった、もしくはならないと思っていいのかしら?」
「いいと、思うよ。実際俺の耳に入って来る情報からも、これといって問題はない。だからこそ、リージアのその考えの証明になってるんじゃないかな?」
「そう。でも、その情報本当なの?」
そうね。きっとそれを私も証明するのだから、本当になるのね。
兄妹の会話を耳にしながら、苦笑を漏らす。
どこで何を間違えたと考えたところで、きりがない。
もう私とラシャドの繋がりは完全に断たれた。この切れた縁は、二度と修復できることはない。それは私とラシャドが一番よく分かっている。
いくら呪いのせいだとしても、それに抗えず自業自得を導いた、私の愚かさが招いた結果には、変わらない。どんな言い訳をしても、ラシャドも私もそれを呪いのせいだと全てを割り切り、許すことはきっとできない。
幸せで互いを想い合っていたことも、嘘じゃない。確かに私と彼の幸せだった時間は存在した。その幸せな思い出を、多分私も今まで彼を好きだった女性陣も忘れることはないはずだ。
こんな別れをするくらいなら、もっと彼を好きだと伝えたかった。彼を慈しみ、大切にしたかった。
ラシャド、ほんの短い期間でもいいから、きちんとあなたの恋人に、私はなりたかった。
「いろいろありすぎたけど、兄さんの幸せを願ってるわ。今後どうなるかはともかく、呪いなど打ち勝って平然としていられる素敵な女性が現れるのを、楽しみにしてる」
「リージア、俺もずっと前からそれを待ち望んでいる」
ラシャド、私もあなたの幸せを願うわ。
だから、私は踵を返し、違う道で歩いて帰る。絶対に振り返ることはしない。
とめどなく溢れては落ちる涙。今は思う存分泣こう。それくらいしたって、いいでしょう?
「さようなら、愛しかった人」
そして、噂通りの人物だと、私は知った。
彼、ラシャドを一目見ただけで、視線が彼に釘付けになった。
その瞬間、頬が熱くなり、頭がぼうっとなったのを、今でも私は覚えている。急に発熱したんじゃないかってくらい、体が熱くなった。
そして、その高揚感が、いわゆる一目惚れなのだと気づいた。
陽光にあたってより輝いて見える、ラシャドの漆黒の髪は、きちんと手入れをしている女性のそれより美しく感じた。長さは襟足ほどであるが、おそらく長く伸ばしたとしても艶のあるきれいな髪のままだろうなということが窺える。
ラシャドの長身で均整の取れた体つきも、しなやかで優しい風貌も、私には全て好ましく思えた。
端整な顔立ちは、見惚れるほどきれいだ。だから視線を送り過ぎたのかもしれない。彼は、私の方を向いた。
彼の宝石のような緑の瞳が私を捉えた瞬間、惚れ惚れする笑みが美しい顔に浮かぶ。そして、どういうわけか、彼は真っすぐ私の元へ来てくれた。
正直、その際の初対面の記憶は朧気だ。会話も今ではろくに思い出せない。
ただ、確か彼に関する噂の中に、彼に会う前に、彼を好きになる前に絶対覚えておかなければならないことが、あったはずなのに。
彼も私を好ましく思ってくれていると確信した瞬間、もうその疑問は私の頭から霧散したことだけは、なんとなく覚えている。
* * *
ラシャドと親しくなって、私は日々幸せに感じた。今までの何気ない日常が、どこもかしこも満開の花が咲き誇ったかのように、色づいた。
彼とのデートはこの上なく楽しいもので、きっとかけがえのない思い出になることだろう。
彼が聞き上手の話し上手だから、引っ込み思案の私だったけれど、おしゃべりもとても弾んだ。沈黙でいても、お互いの想い合う雰囲気がとても心地よく、それすら幸せだった。
食事も買い物も、ただ歩いているだけでも、ラシャドが隣に、傍にいてくれるだけで、それだけで良かったのに。
いつだろう?
多分私が鈍すぎて、気づかなかっただけでそれはきっとずっと前のことだったのに違いない。
ラシャドが私より年下の女性と一緒に、同じ家で暮らしていると知ったのは。
そうだ。確か、噂では、彼の親戚関係の女性が彼の家で暮らしていると、前から言われていた。それには何か続きがあった気がする。
でも、思い出せない。思い出そうとすると、ずきりと頭が痛んだ。その鋭い痛みに耐えかね、記憶を辿るのを私は放棄する。
いつか、それが大きな過ちとなることも知らず、その時の私はその決断を下したのだ。
それ以降、私の中にどろりとした嫌な感情が渦巻いた。
嫉妬だ。彼と同じ家に暮らして住む、リージアという名の女性に対して、沸々と憎しみが込み上げてくる。
ラシャドが好いてくれているのは、私なのに。彼の一番は私なはずなのに。
どうして、あの子は親戚だからと、さも当然のように彼と同じ家で生活を共にできるのだろう?
それがとても羨ましくも、恨めしくて憎たらしかった。
ある日、ラシャドが彼女には一切恋愛感情を抱いていないし、彼女も同様だと諭すように伝えてくれた。加えて彼女は、彼の友人が恋人だと教えてくれる。
それでも、私の嫉妬と憎悪と不安は拭えない。いくらラシャドの心は彼女に向かないと分かっていても、追い払っても追い払っても、それらが私に付きまとって、支配してくる。
だから、ラシャドが彼女の話題をした話は、内心やめて欲しいと胸が張り裂ける思いで、ほとんど受け流して聞くようになった。
段々と、ラシャドといても、リージアの影が脳裏にちらつくようになった。それには苦々しく、とても苦しい思いを味合わされた。
そんな中、ラシャドを兄さんと呼んで慕う彼女の姿を見かけた際、心の中の私は苦汁を飲まされている気分だった。二人共、とても仲良く見えた。
彼女の美人な顔も肉感的な体型も、私にはないものだ。ラシャドは彼女のような女性は好みではないと言っていたけれど、真実かどうか疑わしくなる。信じたいと思う一方、ラシャドも男なのだと語りかける自分もいた。
彼女とは何度か社交辞令的に話す機会もあったけれど、それもまた私の静かに湛えた怒りを刺激していく。ラシャドとは何の関係もないと飄々として、おまけに私とラシャドに仲良くして欲しいという、余裕のある態度が実に気にくわなかった。
そうしているうちに、彼女をラシャドから引き離さなければいけない。ラシャドの目を覚まさせて、彼女にはラシャドの家から出て行ってもらわなければという考えに至った。
その考えと思いが押し寄せてきて、どうしようもなくなり、それを実行すべく体が勝手に動いた。そうして、私は仕事終わりの彼女を捕まえて説得したのである。
* * *
「さよなら、元気でね」
リージアを説得しに行ってからの記憶は、ぼんやりしている。ただ、ラシャドが現れて、彼が私を家まで送り届けてくれて、そう悲しそうな笑顔で告げられたのだけは、頭にこびりついていた。
またおかしなくらい、もう彼女に対しては、何の感情を抱かなくなり、頭がややすっきりした気分すらする。
あれから、彼から何の連絡もない。一度も会うことも、見かけることもないまま、数日が過ぎた。
仕事を終えて、帰っている途中、近道をして喫茶店の脇道を歩いていた時だ。聞き慣れた声が耳に届く。
かつてひどく憎かったリージアの声と、愛しいラシャドの声である。
彼らは喫茶店のテラス席でお茶をしているようで、死角である喫茶店の横の脇道に佇む私は、そのまま聞き耳を立てることにした。
「ミカエラさんよ」
「ああ。彼女か。あの日あのまま真っ直ぐ家まで送り届けたさ。そして、『さよなら、元気でね』とお別れの言葉をしてきたけど?」
「・・・・・・相も変わらず曖昧ね。彼女、もしかしたら、縁を切る意味のお別れの言葉だと理解してないんじゃない? まあ、彼女あの日はおかしかったから、そうせざるを得なかったのか知れないけど」
淡々と述べるラシャドとは違い、彼女の声には、呆れと共に憐れみと同情も入り混じっていた。
私は、告げられた真実に、呆然となる。
私、あのとき、ラシャドから絶縁を告げられていた? 嘘、でしょう? だって、恋人のような関係だったけれど、私はまだラシャドの正式な恋人だと公言すらされていないのに。
心臓がドクドクと嫌な鼓動を告げる。胸がざわざわして、頭が混乱しそうだった。いや、もう既に困惑していた。
「もういっそ、ああいう女性とでも結婚すればいいんじゃないか?」
「そうねぇ。私ももう少ししたら実家を出るし、それでもいいかもしれないわね」
「それは無理な相談だな。だって、家族を悪くいう女性は無理だよ。おまけに俺の姉妹にあそこまでした子は初めてだしね。結婚すれば、今度はやれ不倫じゃないかと、被害妄想が実に怖い。いちいち火消しなんてするのはごめんかな」
彼女の恋人であり、ラシャドの友人であるワイアットという男性もいたらしい。そう思っていれば、またもやラシャドの言葉に鈍器で殴られたような衝撃を受ける。
リージアがあの家を出ることなど、かつてあれほど渇望していたのに、もうどうでもよく思えた。
それよりも、私と結婚することをはっきりと無理だとラシャドはいった。
更に、彼は今なんていった? リージアを家族であり、姉妹だとはっきり明言しなかっただろうか?
リージアはラシャドの妹? 実の、血が繋がった妹なの?
確かに二人は顔つきは全くもって酷似しているとは言えないけれど、黒い髪に緑色の瞳という特徴は同じだ。
そして、私はまるで魔法が解けたかのように、靄がかっていた記憶がぱあっと晴れた。何か引っかかるのに、思い出そうとする度にひどい頭痛を伴い、諦めていた事実。
それが、まさにそのことだったのだ。
ラシャドの噂、「彼の親戚関係の女性が彼の家で暮らしている」の続きは、「でもその女性は彼の真の姉妹である」ということだった。彼と対面する際は、必ずそれを念頭に置いて彼と向き合わねばならないというのが、周知の事実として広まっていた、はずなのに。
どうして、今まで忘れていたのだろう?
告げられた真相と、今しがた解けても解けきれない謎に、私は途方に暮れる。
「ミカエラも俺に乗馬を求めてきたしさ。みんな馬に騎乗して俺と遠乗りに出かけたいとか、なんなんだろうね? 俺は全くもって乗馬に興味など欠片もないのだけれど、すごい熱意と熱弁で説得してきて・・・・・・本当にあれは不思議でならない」
「・・・・・・白馬の王子様を求めてやまないんじゃない?」
「いやいや、馬は乗るよりも、賭け事をするのが一番だって。俺には特に」
茫然自失ながらも、彼らの会話が聞こえてきた。
そういえば、確かに私はラシャドに乗馬を望んだ。でも、今となってはなんでそんなことを望んだのか分からない。
リージアの言い分も分からなくはないが、私はそれでラシャドにお願いしたというわけでもなかったはずだ。確かにラシャドがそれを実行してくれれば、様にはなるだろう。格好いい姿が目に浮かぶ。だからって、今こうしている私ですら経験も興味もないくせに、何故そんなことをラシャドに頼んだのか、理解不能だ。
「みんな見た目は好みなんだけどな。最初はそうでもないのに、段々きつくなる我儘と性格が可愛く思えなくなっちゃうんだよね。いくら恋人や好きな相手でも、思いやりと気遣いがなくなれば、気持ちは冷めるよ。おまけに彼女たちの理想像を押し付けられるのが一番困った。俺にそれを求めるなら、彼女たちも同様に俺の理想像を演じてくれなければ公平でないのにね。俺だけ理想を演じるなんておかしすぎるよ」
「その台詞もう何回も聞いたわ」
ラシャドの言葉は、胸が抉られるかのようだった。まさに、私もその通りではなかったか?
最初は良かった。リージアのことなど歯牙にもかけず、ただラシャドを想っていた頃は、まだ大丈夫だったと思う。あの頃は確かにラシャドの好意も愛情も、私に真っすぐに向かっていた。
でも、リージアという存在を認識してから、私は彼が私を想ってくれていることを当然のように認識し、我儘も増えた。彼を思いやり気遣うよりも、彼から思いやられ気遣われることをひたすら望んだ。その頃のラシャドは、困ったように笑うことが多くなったことを、今ならきちんと思い起こせる。あの頃から、彼の私への想いは離れていっていたのだろう。
おまけに、リージアにもかつて偶然会ったときにいわれたじゃない。
『ラシャド兄さんは、自分の理想を押し付けるばかりの相手は苦手だっていってたわ。今までの恋人たちにそうされて、嫌気も差したし、気持ちが冷めてしまうんだとか。まあ、確かにそうよね。片方だけの意見を押し通そうとすればそうなるわ』
まだ、彼女とは辛うじて世間話できていた頃、そう教わっていたはずだ。おそらくは、私は今までの彼女たちの二の舞を演じるなと忠告し、私を応援してくれていたのだと、今なら分かる。
それなのに、私はなんてひどいことを彼女にしたのだろう。
「こういったやり取りを今まで数多くしてきたにも関わらず、ラシャドが好意を抱く相手がことごとくあのような呪いにかかるのはなんでなんだろうな? どこからどう考えても、似たような外見をしたきょうだいだと思えるだろうに」
「さあ? それはもう、呪いとしか言いようがないね」
ええ、呪いだわ。噂でもそんなことが飛び交っていたし、体験したからこそ、私もそれは間違っていないと断言できる。
「でも、兄さん。兄さんや私や姉さんたちがどうして、歴代の彼女たちに真正面から、私たちが血のつながった実のきょうだいだって説明してはいけなかったの? みんなそうした方が厄介で悪いことが起きるからと忠告したけど、本当か怪しいわ。だって、私はそれを実行したことがないもの。それにやっぱりきちんと説明すれば、誤解もすっぱり解けて、兄さんも今頃誰かと結婚できていたんじゃないかしら?」
リージアの意見に、私も同意する。あんな取り返しのつかないことをする前に、きっぱりはっきりと真実を告げて欲しかった。
後悔押し寄せる中、ラシャドは過去に私のような呪いがかかった女性たちに真実を告げてしまった後の、彼女たちの末路を語る。
「誤解は、解けたよ。今までの呪いが嘘のようにね」
「それは良かったじゃない?」
「俺も姉たちもそう思ったさ。それで万事解決すると。でもね、真相を知った彼女たちはそうでなかった。ひょっとすると明かす機会も悪かっただけなのかもしれないけど・・・・・・」
「え?」
「リージアは彼女たちの立場だったら、その真実を知って嬉しいと諸手をあげて喜ぶかい?」
「それは、私が彼女たちのような人物なら、そうするのではないのかしら。だって、障害はもうないのだもの。でも、私自身だったら・・・・・・」
「うん、全て訳の分からない呪いのせいだったとしても、正常に戻ってしまえば、とても恥ずかしいと思うよね。呪いのせいで熱に浮かされていた状況ならともかく、なんてことをやらかしたんだと後悔ばかりが押し寄せてくる。おまけに、嫉妬して恋敵だと勘違いしていたのが、俺の姉妹だと判明するのも、追い打ちをかけるんだろう。どれだけ俺と想い合っていても、恥辱と後悔は彼女たちには耐えられなかったらしい。呪いが解けると、きっと常識が心を弱くするのかな? 真実を明かされた彼女たちは、涙ながらに謝って、俺の元を去って行ったよ。俺や家族がいくら許しても、彼女たちはそれを良しとはしてくれなかった」
ラシャドの声色からは、ようやく悲しみと後悔が窺えた。彼だって人間だ。彼だって別れが辛いわけではないのだと、気づくことが出来た。
時と場合によっては、私の先輩たちの誰かなら、諸手をあげて喜べたのかもしれない。
でも、おそらく私は、どの機会であっても手遅れだった気がする。
リージアの名が耳に入るか、今まで彼の愛人のような存在だと囃し立てられた女性の話になった途端、嫉妬と憎悪に飲まれる運命だったのだろうから。悲しいくらい、そうなったに違いないと断言できる。
なんて嫌な運命。なんて残酷な呪いなのだろう。
このせいで今まで何人もの女性が傷つき、彼を彼の家族をも傷つけてきたのか。
零すまいとしていた涙が、ようやく頬を伝って流れた。
「そうして真実を知った彼女の一人は、失恋もあってか精神的に参ってしまってね。職を辞して、遠くへ引っ越してしまった。もしくは、そんな風に誑かしてと、彼女の家族が家に怒鳴り込んできたこともあった。一番辛かったのは、命を断とうとされたことかな」
「そうだったの。・・・・・・それで、彼女たちのその後は知っているの? みんな無事なのかしら? 家に怒鳴り込んできた件も解決したの?」
「ああ。先に、家に怒鳴り込んできた件だけれど、事情を説明すれば彼らも納得してくれたさ。家族も彼女の異変は感じ取っていないわけがなかっただろうからね。彼女も呪いのせいで姉たちに非礼はあったし、おあいこになった。また、彼女たちは全員無事だ。こっそりと調べてもらった結果、紆余曲折あったようだけど、彼女たちは全員今は家庭を築いて幸せに暮らしているそうだ。もう俺のことなど、すっかり頭にないんじゃないかな?」
「どうかしら?」
「でも、俺はもうそう願うしか出来ないよ」
ラシャド・・・・・・。
多分、みんなあなたを完全に忘れはしないわ。私には分かる。
「そういうこともあって、俺は家族と彼女のためもあり、リージアには絶対に彼女に面と向かって俺との関係性を明かさないで欲しいとお願いしてたわけだ」
静かに涙を流す中、私はラシャドに守られていたのだと、大切にしてもらっていたのだと、実感した。
「ねえ、それ以外の場合の、今まで兄さんに想いを寄せて縁がなくなった彼女たち。不思議なくらい、兄さんが距離を置いて自然消滅するのが正解なのは知っているけれど、彼女たちも後々誤解が解ける可能性はあるわよね?」
「うん、勿論そうだろうね」
「その場合は、今まで何事もなかったってことは、彼女たちは姉さんに真実を明かされた女性たちのようにはならなかった、もしくはならないと思っていいのかしら?」
「いいと、思うよ。実際俺の耳に入って来る情報からも、これといって問題はない。だからこそ、リージアのその考えの証明になってるんじゃないかな?」
「そう。でも、その情報本当なの?」
そうね。きっとそれを私も証明するのだから、本当になるのね。
兄妹の会話を耳にしながら、苦笑を漏らす。
どこで何を間違えたと考えたところで、きりがない。
もう私とラシャドの繋がりは完全に断たれた。この切れた縁は、二度と修復できることはない。それは私とラシャドが一番よく分かっている。
いくら呪いのせいだとしても、それに抗えず自業自得を導いた、私の愚かさが招いた結果には、変わらない。どんな言い訳をしても、ラシャドも私もそれを呪いのせいだと全てを割り切り、許すことはきっとできない。
幸せで互いを想い合っていたことも、嘘じゃない。確かに私と彼の幸せだった時間は存在した。その幸せな思い出を、多分私も今まで彼を好きだった女性陣も忘れることはないはずだ。
こんな別れをするくらいなら、もっと彼を好きだと伝えたかった。彼を慈しみ、大切にしたかった。
ラシャド、ほんの短い期間でもいいから、きちんとあなたの恋人に、私はなりたかった。
「いろいろありすぎたけど、兄さんの幸せを願ってるわ。今後どうなるかはともかく、呪いなど打ち勝って平然としていられる素敵な女性が現れるのを、楽しみにしてる」
「リージア、俺もずっと前からそれを待ち望んでいる」
ラシャド、私もあなたの幸せを願うわ。
だから、私は踵を返し、違う道で歩いて帰る。絶対に振り返ることはしない。
とめどなく溢れては落ちる涙。今は思う存分泣こう。それくらいしたって、いいでしょう?
「さようなら、愛しかった人」
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