恋の神様

あらら

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出逢い

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檸檬は、久しぶりに中学の同窓会に出た。

みんな、結婚して幸せそう。

「渡辺さん?」

とイケメンが声をかけてきた。

誰か思い出せない。

「瀬戸将太。俺、地味だったから忘れたよね?」

「思い出した。」

将太とは、連絡先を交換して帰った。

自室に閉じこもると運命?運命?運命?

とテレビに向かって檸檬は連呼した。

瀬戸君カッコいいな~。

「やかましい娘じゃな。」

と言って恋の神様はテレビの画面から出て来た。

「運命ですよね?瀬戸君!」

「そうじゃな、しかし、檸檬、気をつける事じゃな、騙されないように。」

「騙す?瀬戸君が?」

神様は、深いため息をついて

「渡辺財閥という家柄を忘れんようにな。金目当てかもしれない。」

と言った。

「瀬戸君は、そんな人じゃない!」

「ほら、すぐに人を信じる。東大出身とは思えんな。少しは猜疑心を持つんじゃな。」


「東大とか財閥なんて関係ないもん!」

「そうか。じゃあな。上手くいくようにわしに祈っていろ。」

神様は、テレビの中に戻ってしまった。

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「ああ、言い忘れた。檸檬、自分から連絡タブーじゃあぞ。」

神様はテレビの中から言った。

「何で?」

「良いか、忠告したぞい。連絡を待つんじゃあ。」

スマホを持って今にも連絡しようと檸檬はしていた。

檸檬は、ジリジリする気持ちを抑えて瀬戸将太の連絡を待った。

会社でも家でも…。

1週間して将太から連絡が来た。

将太ー【水族館と映画どっちが好き?】

檸檬ー【水族館かな~。】

檸檬は、返信するのを一時間我慢した。

暇だと思われたくない。軽いと思われたくない。

将太ー【じゃあ、白イルカ見に行こうか?】

檸檬ー【彼女と行けば。】

ここで軽いジャブを与える。

将太ー【彼女いないよ。渡辺さんはいるの?】

ラッキーチャンス!

檸檬ー【1カ月前に別れたからフリーだよ。】

嘘もなんとやらだ。

将太ー【そうなんだ、じゃあ行くの辞めようか?】

ちょっとちょっと!

檸檬ー【大丈夫だよ。もう吹っ切れたし。】

将太ー【そっか、じゃあ週末の土曜日はどう?】

檸檬ー【OK。】

「檸檬、お主にしては良きメール内容じゃった!」

神様が、テレビから出て来て言った。

恋の駆け引きって難しいと檸檬は痛感した。
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