砂漠のグラウンド

あらら

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黒板

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授業中の静けさは砂漠に吹く風に似ていると狂は言う。教師の持つチョークと黒板の擦れる音がたまに頭の中を狂わせておかしくなって叫び出して静寂を破りたい衝動にかられる。狂のように雫も十六歳という多感な感受性を持つ生き物として生まれ変わろうとした。

このクラスには過去にリーダー的番長がいた。みんなからはゴレムと呼ばれていた。体のデカイ男子生徒、武田強、今はその大きな体を小さくするようにかがみこんで黒板を見て一生懸命ノートを取っている。狂のせいだ。ゴレムは中学時代番長をしていて、こんなちっぽけな三十五人のクラスの頭になるなんて容易いと思っていたが、入学式の日に狂に鼻の骨をへし折られて今は物静かな勤勉な生徒になっている。

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