犬と殺人と夜の散歩

あらら

文字の大きさ
上 下
43 / 129

調査

しおりを挟む
「何見てるんですか?」

「ん?高校生のアンケート。」

太郎は、仮眠室でゴロゴロしながら答えた。

「え?そんな資料手に入るんですか?」

梓は、ビックリしながらも興味深いと思った。

「少年課から上がってきたんだよ。いじめとかさ、不登校とか犯罪に繋がる可能性が高いんだよね。」

「でも、イコール犯罪で決めつけたら子供が可哀想ですよ。」

「まぁ、俺もそう思うんだけどつい最近起きた爆破事件に関わりがあるのが青少年の犯罪らしいんだよね。今の子供は、大人顔負けのネットワークで手に入る物を知ってるからね。」

「あの、連続爆破事件ですか?」

最近、駅のゴミ箱に爆発物を放り込んで朝のラッシュ時に爆破させる事件が多発していた。

「うん、ほらこれ見て。」

梓は、太郎の出した一枚の紙を覗き込んだ。

『ネットで、簡単に時限爆弾が買える。今は、規制がかかってるけど大量に買い占めた高校生がいるって噂を聞いた事がある。』

「この、高校生って特定出来たんですか?」

「うん…出来たんだけど一年前に交通事故で死んでるんだよね。もちろん爆発物も探したんだけど見付からなかったんだよね。」

「誰かに渡した?」

「うん…それをこれから調べる。」

「どうやって?」

「今回は、情報処理のエキスパートに頼んである。」

太郎は、珍しく眉間に皺を寄せて言った。
しおりを挟む

処理中です...