犬と殺人と夜の散歩

あらら

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「おーい、太郎、爆弾魔は特定出来たか?」

春男が仮眠室に入って来た。

「まだまだ。今、沼田君にネットを弄ってもらってるところ。」

「お前なぁ、命懸けで俺が被験者になったんだからデータは無駄にすんなよ。」

春男は、如何わしそうに洋平の背中を睨んでいる。

「あずあずは、どう思うよ?今回の事件。」

「うーん、駅のゴミ箱爆破しても利益無いですし、愉快犯ですかね。」

「まぁ、それも可能性として残して良いけど、俺は爆発物自体が邪魔で捨ててんじゃあねーかと思うんだよな。」

「お、春男ちゃんにしては鋭いね。正解かもよ。」

「まぁよ、俺も今までとは違うぜ。」

「現場検証で、半ベソかいてたくせに。」

「うるせー!俺の下半身の粘りがなかったら車に突っ込んでたんだっての!」

「良かったね、補欠でも捕手してて。」

「出来ました!」

太郎が、春男を返り討ちにして畳の上で寝技をかけてる時に洋平が嬉しそうに声を上げた。

「さすが!春男ちゃんギブアップ?」

「バカ野郎!さっきからタップしてるだろ!死ぬ!ギブギブ。」

太郎は、春男を放り投げてパソコンの画面を覗き込んだ。

梓も覗き込んだ。

「ほぉ、良いね。後は、」

「食い付いて来るのを待つだけですね。」

太郎は、洋平の髪の毛をガシガシしながら笑っている。

足を引きずって春男がパソコンの画面を睨んだ。

「おい!これじゃあ、誰でも注文出来るじゃねーかよ!」

「嫌だな、春男ちゃん。ちゃんとパスワードかけてるよ。それを入力出来る人間は、沼田君の友人と関係がある人間かもしれない。後は、待つだけだね。ありゃあ、もう引っ掛かって来たね。」
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