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鍵屋
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信一は、妻を送り出してまた鍵を使おうとすると
「金子信一様。」
と作業着姿の男が声を掛けて来た。
「はい?」
「失礼、わたし、鍵屋の畠山詭弁と申します。」
畠山に、信一は名刺を渡されてきょとんとした。
「どうですか?夢鍵の方は?」
「夢鍵?」
「またまた失礼しました。サービス期間中は、夢鍵の話は秘密にしてご使用頂いておりまして。」
「じゃあ、この鍵はあなたが?」
「はい。失礼ながら信一様が御就寝の間に手に鍵を置かせて頂きました。不法侵入は覚悟の上でございます。」
「はぁ…。」
「夢鍵のサービス期間は二日間までです。今日からお使いしたいと思うのでしたら御料金が発生いたします。」
「料金?」
「はい。一回百万円頂いています。」
「百万円?」
信一は、詐欺だと思い鍵を畠山に返した。
「本当に良いのですか?」
「良いも何も高すぎる。」
「金子様。良くお考え下さい。この夢鍵で過去を変え未来も変えられるのですよ。現在の生活に不満はありませんか?」
「…。」
毎日、妻と犬としか顔を合わせずひっそり暮らしている。
不満はない…でも…何かを壊したくなる衝動に駆られる事はある。
「分かりました。百万円払います。」
信一は、誘惑に負けた。と言うより鍵の見せてくれる世界が魅力的すぎた。
「では、ここにサインをお願いします。」
畠山が出した書類にサインをして夢鍵をもらった。
「では、わたしはこれで。」
畠山は、ニッコリ笑って去って行った。
信一は、夢鍵を使って扉を開けた。
そこには泣いている奈津美の姿があった。
「ごめんなさい。しんちゃん。」
泣きながら信一を奈津美は抱きしめてくる。
これは何だ?どの時期だ?寒い冬!
「ごめん、俺も悪かった。もう良いよ。」
信一は、何があったのか思い出した。
「しんちゃん、本当にごめんなさい。」
信一は、奈津美を強く抱きしめた。
俺が許せば未来は変わる。
「奈津美、何か食べよう。」
「うん。」
「お節にお雑煮も飽きたから、しんちゃんの好きなものにするよ。」
「良いよ。奈津美のお父さんお母さんからもらったお節にお雑煮を食べよう。」
「ありがとう…。」
二人で正月番組を見て笑って過ごした。
本当はこうしたかった。こうなるはずだった。
信一は、涙が目から溢れた。
それを、奈津美が優しく拭ってくれた。
信一は、大きなベッドの上にいた。
犬はいない。
未来が変わった。
自分もネクタイにスーツ姿だった。
俺はサラリーマンを続けているんだ。
しかし、帰って来たのは奈津美ではなく妻だった。
「あら、今日は早いのね。」
「ああ、仕事は?」
「仕事?ずっとわたしは専業主婦じゃない。からかってるの?」
妻は、笑いながら台所に消えた。
どういう事だ?
確かにあの、冬、俺は自分を変えた。
百八十度違う選択をしたのに…。
奈津美はいない。
家は、アパートではなく一戸建てになっていた。
薬を探してもなかった。
俺の病気は治ったのか?
鍵屋だ!鍵屋に聞くしかない。
信一は、朝まで眠れなかった。
朝御飯を食べて仕事を行くふりをして家の外で鍵屋を待っていた。
「いやー、立派な家になりましたね。」
鍵屋は、ノロノロと現れた。
「金子信一様。」
と作業着姿の男が声を掛けて来た。
「はい?」
「失礼、わたし、鍵屋の畠山詭弁と申します。」
畠山に、信一は名刺を渡されてきょとんとした。
「どうですか?夢鍵の方は?」
「夢鍵?」
「またまた失礼しました。サービス期間中は、夢鍵の話は秘密にしてご使用頂いておりまして。」
「じゃあ、この鍵はあなたが?」
「はい。失礼ながら信一様が御就寝の間に手に鍵を置かせて頂きました。不法侵入は覚悟の上でございます。」
「はぁ…。」
「夢鍵のサービス期間は二日間までです。今日からお使いしたいと思うのでしたら御料金が発生いたします。」
「料金?」
「はい。一回百万円頂いています。」
「百万円?」
信一は、詐欺だと思い鍵を畠山に返した。
「本当に良いのですか?」
「良いも何も高すぎる。」
「金子様。良くお考え下さい。この夢鍵で過去を変え未来も変えられるのですよ。現在の生活に不満はありませんか?」
「…。」
毎日、妻と犬としか顔を合わせずひっそり暮らしている。
不満はない…でも…何かを壊したくなる衝動に駆られる事はある。
「分かりました。百万円払います。」
信一は、誘惑に負けた。と言うより鍵の見せてくれる世界が魅力的すぎた。
「では、ここにサインをお願いします。」
畠山が出した書類にサインをして夢鍵をもらった。
「では、わたしはこれで。」
畠山は、ニッコリ笑って去って行った。
信一は、夢鍵を使って扉を開けた。
そこには泣いている奈津美の姿があった。
「ごめんなさい。しんちゃん。」
泣きながら信一を奈津美は抱きしめてくる。
これは何だ?どの時期だ?寒い冬!
「ごめん、俺も悪かった。もう良いよ。」
信一は、何があったのか思い出した。
「しんちゃん、本当にごめんなさい。」
信一は、奈津美を強く抱きしめた。
俺が許せば未来は変わる。
「奈津美、何か食べよう。」
「うん。」
「お節にお雑煮も飽きたから、しんちゃんの好きなものにするよ。」
「良いよ。奈津美のお父さんお母さんからもらったお節にお雑煮を食べよう。」
「ありがとう…。」
二人で正月番組を見て笑って過ごした。
本当はこうしたかった。こうなるはずだった。
信一は、涙が目から溢れた。
それを、奈津美が優しく拭ってくれた。
信一は、大きなベッドの上にいた。
犬はいない。
未来が変わった。
自分もネクタイにスーツ姿だった。
俺はサラリーマンを続けているんだ。
しかし、帰って来たのは奈津美ではなく妻だった。
「あら、今日は早いのね。」
「ああ、仕事は?」
「仕事?ずっとわたしは専業主婦じゃない。からかってるの?」
妻は、笑いながら台所に消えた。
どういう事だ?
確かにあの、冬、俺は自分を変えた。
百八十度違う選択をしたのに…。
奈津美はいない。
家は、アパートではなく一戸建てになっていた。
薬を探してもなかった。
俺の病気は治ったのか?
鍵屋だ!鍵屋に聞くしかない。
信一は、朝まで眠れなかった。
朝御飯を食べて仕事を行くふりをして家の外で鍵屋を待っていた。
「いやー、立派な家になりましたね。」
鍵屋は、ノロノロと現れた。
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