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鍵っ子
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田村涼は、鍵っ子の典型的な小学六年生だった。
父親は、自営業。母親は、パチンコ依存症。
二人とも忙しく妹の沙知絵の面倒は涼が見ていた。
沙知絵は、典型的なお兄ちゃん子になった。
遊びも一緒。宿題も涼が見て教えていた。
中学生になり涼は高校受験で父親と衝突した。
工業高校を薦める父親に自営は継ぐ気はないと普通科の公立高校を受験すると告げた。
父親は、烈火の如く怒り狂って涼を殴りつけた。
母親は、煙草を吸って見てみぬふり。
沙知絵は、恐くて萎縮してしまっている。
涼は、初めて父親に殺意を感じて殴り返した。
そして、そのまま家を飛び出した。
優等生な涼に殴られたショックなのか父親の目は虚ろだった。
こんな家に生まれて来たくなかった。
歩道橋を歩いているとクラスの不良グループに遭遇した。
「よう!学級委員どうしたよ?塾の帰りか?」
「違う。父親殴って家を飛び出して来たところ…。」
「マジかよ?田村が?」
「あんな親消えれば良いのに。」
「何か知らねーけど、むしゃくしゃしてんならこの鍵やるよ。」
「鍵?」
「さっき、変なおっさんに渡されたんだよ。まぁ、自棄になるなよ。」
涼の手のひらの上に置かれた鍵はただの鍵だった。
行く宛も無く、涼は自宅に帰るしかなかった。
自宅の鍵にさっきもらった鍵を試しに使ってみた。
鍵は、鍵穴に吸い込まれるように入り扉を開けると眩しい光景に目を奪われた。
「涼ちゃん、お帰りなさい。」
母さん?いや、全然違う女の人だ。
「どうしたの?夕食出来てるわよ。」
見知らぬ女の人に男の人、そして小さな男の子がテーブルに座っていた。
家族一緒の食事に、一緒に思い切り遊べる弟。
テレビドラマみたいだ。
毎晩、冷凍食品を沙知絵と薄暗い畳の上で食べてたのがずいぶん昔に感じられた。
父さんは、笑い。母さんも笑って弟は食べられないニンジンをコッソリ涼にお願いしてくる。
弟と二段ベッドで枕叩きをしながら涼は眠りに落ちた。
起きると沙知絵が隣で眠っていた。
父親に殴られて口の中を切った痛みを感じた。
夢か…しかし、涼の手のひらには鍵が存在していた。
学校に行っても涼は上の空だった。
「よう!田村、鍵は試してみたか?」
「ああ、鍵穴に合わなかったから捨てたよ。」
「そっか、やっぱりあのおっさん詐欺師だな。」
「だな。昨日はありがとう。」
「バカ野郎、優等生が不良にお礼すんな。」
涼の肩を軽く叩いて笑った。北村輝。
幼なじみだったが、両親が離婚してから変わってしまった。
根が優しい奴なんだよな…。
父親は、自営業。母親は、パチンコ依存症。
二人とも忙しく妹の沙知絵の面倒は涼が見ていた。
沙知絵は、典型的なお兄ちゃん子になった。
遊びも一緒。宿題も涼が見て教えていた。
中学生になり涼は高校受験で父親と衝突した。
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父親は、烈火の如く怒り狂って涼を殴りつけた。
母親は、煙草を吸って見てみぬふり。
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そして、そのまま家を飛び出した。
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「鍵?」
「さっき、変なおっさんに渡されたんだよ。まぁ、自棄になるなよ。」
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行く宛も無く、涼は自宅に帰るしかなかった。
自宅の鍵にさっきもらった鍵を試しに使ってみた。
鍵は、鍵穴に吸い込まれるように入り扉を開けると眩しい光景に目を奪われた。
「涼ちゃん、お帰りなさい。」
母さん?いや、全然違う女の人だ。
「どうしたの?夕食出来てるわよ。」
見知らぬ女の人に男の人、そして小さな男の子がテーブルに座っていた。
家族一緒の食事に、一緒に思い切り遊べる弟。
テレビドラマみたいだ。
毎晩、冷凍食品を沙知絵と薄暗い畳の上で食べてたのがずいぶん昔に感じられた。
父さんは、笑い。母さんも笑って弟は食べられないニンジンをコッソリ涼にお願いしてくる。
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起きると沙知絵が隣で眠っていた。
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学校に行っても涼は上の空だった。
「よう!田村、鍵は試してみたか?」
「ああ、鍵穴に合わなかったから捨てたよ。」
「そっか、やっぱりあのおっさん詐欺師だな。」
「だな。昨日はありがとう。」
「バカ野郎、優等生が不良にお礼すんな。」
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