チャラ男甲子園に行く

あらら

文字の大きさ
上 下
7 / 17

脳しんとう

しおりを挟む
バスケ部を後にした二人が目指したのは地下にあるボクシング部だった。

「今日は、何個部活回るの?」

ベンチに座って青い空を見つめて修吾は梨花子に聞いた。

季節は、春から夏へと準備万端である。

「今日は、バスケ部とボクシング部だけ。」

「じゃあ、さっそく行くか。」

地下の階段を下り湿っぽい空間を抜けて門を叩いた。

「はーい。」

中から女の子の声がした。

扉を開けたのは丸山詩織、修吾と同じクラスメイトだった。

「轟君、どうしたの?」

交渉は、梨花子に任せた。

「良いよ、軽くスパークリングでもしてく?」

詩織は、1人しか部員がいないボクシング部へと案内してくれた。

「気に入らねぇな。」

3年生の影山大勢は修吾と梨花子を見て吐き捨てるように言った。

重い準備運動をして大勢と修吾はスパークリングが始まった。

すでに修吾は、腕が上がらなかった。

それでも大勢のパンチを軽く避けていた。

しかし、それも続かず顎下に強烈なパンチを食らった。

修吾は、倒れた。

大勢が、手応えねぇーなと言ってリングを後にしようとした瞬間、修吾の右ストレートが大勢の顎をとらえた。

修吾は、脳しんとうを起こしていたが何とか一発返した。

大勢は、油断と慢心を悔いたが脳しんとうを起こして倒れた。

二人とも倒れてお互いのマネージャーに支えられて何とか立ち上がった。

「お前、甲子園行くんだろ?」

「はい。」

「頑張れよ。」

大勢は、詩織に支えてもらいながら修吾に言った。

修吾は、まだ頭がくらくらしていたが梨花子の肩を掴んで

「あ、ありがとうございました。」

と言った。

そのまま地下から地上へと梨花子に支えてもらって戻ってベンチに座った。

梨花子は、修吾を見てため息をついた。

「心配させないでよ。」

修吾は、梨花子を見て笑って気絶した。
しおりを挟む

処理中です...