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テレビ

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夕方、渚とゆうはテレビドラマをゆうの部屋で観ていた。

「ゆう君、どう思う?」

「井口智也?」

「うん。」

憂鬱そうに渚は頷いた。

「誰でも、二面性はあると思うけどな、二重人格になってくると話は変わってくるよな。」

放課後、渚と誠は井口智也が所属してるサッカー部の練習をグランドで見ていた。

「印象は?」

「爽やかサッカー少年って感じ。」

テレビの光は渚を大人びさせて見せる。

ゆうは、透き通るような白い肌の渚の頬を指で触れて唇にキスした。

「俺は?」

「卓球小僧。」

渚は、震えていた。

それを抑えるようにゆうは、渚を抱きしめて窓の外の空に浮かぶ三日月を見つめていた。

気が付くと、渚はゆうのベッドで寝ていた。

「おい!また俺のベッドで寝てるのかよ?」

もしかして夢?

「ゆう君、わたしにキスした?」

「してないけど、寝ぼけてるな。」

そっか、妄想か‥。
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