エロス、君を求めて

あらら

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他者

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ひろみは、階段を降りながら泣いた。

誰もいない放課後の教室で声を上げて泣いた。

健太郎、健太郎…。

ごめんね。

ごめんね。

うるせえ!

え?

ひろみかよ…。

中学生の時に同級生だった佐々木誠が剣道の服を着てぽかーんとしていた。

泣いてるの?

うるさい!あっち行け!

白田と何かあったんだろ?




そうだけどあんたに関係ない!

関係ある!

何が?

俺は!俺は!

俺は!何?

俺はお前の同級生だろ、関係あるだろ。

は?意味不明。

ひろみは、いつの間にか笑っていた。

男って意外と優しいんだ。

健太郎にはなかった優しさ誠は持ってるんだな。


ラーメン、ラーメン食べに行こう!

ひろみは、誠の腕を掴んで階段を降りて行った。

それを、生徒会長の石垣百合が静かに見ていた。

あの、白田健太郎と唯一繋がってた彼女が消えた。

百合は、不敵に笑った。
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