Vegetables

Vegetablesー１－

７日目 日曜日 ６

　少し早足で車まで戻ると、倉庫の主が戸締りをしていた。

「どこ行ってたんだ？」

「ススキを見に」

「まだ早いだろうよ」

「いつごろですかね？」

「十五夜お月さんのころだよ」

　そう会話して俺たちは車に乗り込んで市内への道を戻った。

「なぁ、そもそもああいう話って最初にあるもんじゃないのか？」

「ああ？」

「普通はいきなり襲わないだろが！　納得いかねぇ」

　いきなりキスされたことを思い出して無性に腹が立った。

「女の格好なんかしてるからだろ。しかもいい顔で愛想振りまいてくるし、これはＯＫだと思うだろが」

「好きでやってたわけじゃねぇよ……」

　なんか一気に力が抜けた。そういえば明日は母さんが病院に行く日だ。母さんが復帰したら「うちにいる間は付き合え」っていう取引はどうなるんだろう。まぁ、今さら蒸しかえしにくいし、いっか。

「あ、帰りに「Ｄマート」と「オーヤマ」に寄って」

　買い出しを忘れるところだった。一週間分の食材を買い込んで帰る。あ、律は車で待っていてもらった。さすがに並んでスーパーとか恥ずかしすぎるだろう？

　長すぎる一週間がやっと終わった。