9 / 54
Act.9
しおりを挟む
「……きて……」
少女の声が頭の中に響き渡る。
とりあえず記憶を整理しなくては……。
たしか……俺はアリアに解呪魔法を発動しながら、身体への負担を抑えるために回復魔法を使っていたのだが……。
禍々しい魔法陣に刻まれた呪いの力の強さと数の多さに、魔力が恐ろしく消費されてしまったのだったな。
アリアに刻まれていた呪いの魔法陣の解呪には成功したが、俺の魔力が底をついてしまい、身体が持たずに不覚にも倒れてしまった……。
身体の強化はもちろんの事だが、魔力も前世の頃のように増やさないといけないな。
記憶の整理をする中で、新しい課題が出てくるとはな。
そう考えていると、また少女の声が聞こえた。
「……起きて……サクヤ」
これは……アリアの声か。
その声に反応するかのように、俺の意識は徐々に覚醒してゆき、そのままゆっくりと瞼を開いた。
「……!!」
そして俺はある事に気づいてにすぐに瞼を閉じた。
「サクヤ……ねえ、どうしたの?」
アリアは俺を心配してそう尋ねるが、今の状況がどうしたのではないのだ。
俺の視界に映ったアリアは、解呪した時の格好のままだったのだ。
「どうしたのってのは、俺のセリフだ。アリア、とりあえず服を着てくれ」
俺は目を閉じたまま、冷静にアリアに伝えた。
「あっ……」
アリアが服を着るためにベッドから降りる音がした。
あっ……じゃないぞアリア。そういう状況は、俺には刺激が強過ぎるんだ。
「……サクヤ、もう大丈夫」
しばらくしてアリアがそう言ったので、俺は目を開けてアリアの方を向く。
いつものように上着を着て頬を紅く染めたアリアが、顔を少し俯き気味にして立っていた。
アリアの表情と対照的に、外はすっかり暗くなってしまったようだが、夜明けはまだ先なのかもしれない。
「そういえば、身体の具合はどうだ?」
俺はアリアにそう尋ねた。
解呪魔法を受けているので、身体に負担がかかっている筈なのだから。
それにアリアの事なのだから心配して当然だ。
「……不思議な感じがするの」
「不思議……? どういう事だ?」
「魔力が今までより湧いてくる感じがするの……」
アリアは不思議そうな表情をしながら、俺を見つめてそう言った。
「今まで呪いで封印されて、制限されていた魔力が徐々に身体に戻ってきているから……ではないか?」
「そうなの……?」
「おそらく、そうだろうな」
俺はアリアに思った事を伝えた。
そして、この結論が一番無難にも思えた。
「とにかく、サクヤ……本当にありがとう」
アリアはそう言って笑顔で俺を抱きしめたので、俺の周りにほのかに甘い匂いが漂った。
解呪に成功して良かったとは思っているが、まさか抱きしめられるとは思わなかった。
さすがに、このドキドキに慣れるほどの免疫は持ち合わせていない……。
「ア、アリア……?」
「もう少し……ね?」
そう言ってアリアは、抱きしめる力を少し強くした。
解呪前のアリアとは明らかに何かが違う。
俺はアリアに対する違和感を覚えずにはいられなかったので、アリアに聞いてみる事にした。
「アリア、何だか雰囲気変わった?」
「そうかな? んーー」
アリアは何が変わったのか自覚が無いようだが、これは気のせいでは無いだろう。
一体何が違うのだろうか……。
「サクヤのお陰……かな?」
「俺の……?」
気を失っている間に、俺は無意識に何かをしてしまったのだろうか。
それとも……。
俺は解呪魔法を使った時の事をもう一度思い出す。
魔力制限に魔法制限、多数の制限を解放していたよな。
……そうか! 感情制限か!!
もし今抱きついているのが本来のアリアだとすれば、感情に制限がかけられていた時と違って、大胆になって抱きつく事があっても納得がいく。
それに、前より表情も固くないような、自然に見える気がした。
「アリアは積極的なんだな……?」
「えっ?」
俺がそう言うと、アリアは抱きついたのが恥ずかしくなったのか、顔を赤くしてすぐに離れた。
「そういえばアリアはいつ目が覚めたんだ?」
「んー……。サクヤが起きる三〇分くらい前だったような……」
アリアは口元に指を当ててそう言った。
「そうか……。アリア、起こしてくれてありがとう」
「どういたしまして」
俺が起こしてくれた事にお礼を言うと、アリアはそう言って微笑んだのだった。
「そういえば、外はかなり暗くなったみたいだが、どのくらい気を失っていたのだろうか?」
アリアも分からないといった表情をして、首を傾げた。
俺は試験の合格発表の日を寝過ごしてしまったのではないか……という悪い予感が胸をよぎった。
「とりあえず部屋を出て調べるのが一番だな」
「私も行く……」
俺とアリアは、今が実践試験の日からどのくらい経ったのかを確認するため、一緒に部屋を出る事にした。
向かう先は俺が泊まっている宿屋だ。
そこの店主に聞けば分かる事があるはずだ。
「きゃっ……」
月明かりだけが頼りの暗い中を歩いているので、アリアが躓いてしまい、俺の腕に抱きつくような格好になった。
「大丈夫か?」
「うん……ちょっとびっくりしちゃった」
「そのまま俺の腕につかまっててもいいぞ」
俺はアリアにそう言った。
アリアが転んで怪我をしてもいけないからな。
「……ありがとうサクヤ」
アリアはそう言って、腕を抱きしめる力をさらに強めた。
俺の腕にアリアが抱きついたまま、しばらく歩いていると、目的地の宿屋に到着した。
「いらっしゃい……って坊主!?」
店主は俺に視線を向けた瞬間、驚きながら腕に抱きついたままのアリアと俺を交互に見始めた。
「すまんな坊主。ウチは壁が薄い……だから諦めてくれ」
店主が壁に手を当てて申し訳なさそうに言う。
待て待て、何が言いたいのだ。
「……どういう事でしょう?」
アリアが俺に耳打ちして聞いてくる。
「さて、俺にも分からん」
俺はアリアに、そう返すしかなかった。
軽く咳払いをして、話の流れを変えようか……。
「何を勘違いしているのか知らないですけど、一つ聞いてもいいですか?」
「あ、ああ……いいぞ」
店主が何を聞かれるかと身構える。
「俺が部屋の前で店主と試験の話をしたのは、昨日の晩の事だったか?」
「そうだな……実践試験の話をしたのは昨日の晩だ。それがどうかしたのかい?」
「それが知りたかったのだ。感謝する」
先程の悪い予感が外れたので、俺は安心した。
とりあえず宿を使うことがなかったのだが、部屋代をお礼替わりに店主に渡した。
「サクヤ……戻ろ?」
アリアは耳元で呟く。
知りたい事も知る事がてきたのでそうするか。
「わかった。では失礼する」
俺とアリアは店主に一礼して宿を出て、一緒に歩き始めた。
試験の合格発表は、この夜が明けてからだ。
俺もアリアも合格できていればいいのだが……。
少女の声が頭の中に響き渡る。
とりあえず記憶を整理しなくては……。
たしか……俺はアリアに解呪魔法を発動しながら、身体への負担を抑えるために回復魔法を使っていたのだが……。
禍々しい魔法陣に刻まれた呪いの力の強さと数の多さに、魔力が恐ろしく消費されてしまったのだったな。
アリアに刻まれていた呪いの魔法陣の解呪には成功したが、俺の魔力が底をついてしまい、身体が持たずに不覚にも倒れてしまった……。
身体の強化はもちろんの事だが、魔力も前世の頃のように増やさないといけないな。
記憶の整理をする中で、新しい課題が出てくるとはな。
そう考えていると、また少女の声が聞こえた。
「……起きて……サクヤ」
これは……アリアの声か。
その声に反応するかのように、俺の意識は徐々に覚醒してゆき、そのままゆっくりと瞼を開いた。
「……!!」
そして俺はある事に気づいてにすぐに瞼を閉じた。
「サクヤ……ねえ、どうしたの?」
アリアは俺を心配してそう尋ねるが、今の状況がどうしたのではないのだ。
俺の視界に映ったアリアは、解呪した時の格好のままだったのだ。
「どうしたのってのは、俺のセリフだ。アリア、とりあえず服を着てくれ」
俺は目を閉じたまま、冷静にアリアに伝えた。
「あっ……」
アリアが服を着るためにベッドから降りる音がした。
あっ……じゃないぞアリア。そういう状況は、俺には刺激が強過ぎるんだ。
「……サクヤ、もう大丈夫」
しばらくしてアリアがそう言ったので、俺は目を開けてアリアの方を向く。
いつものように上着を着て頬を紅く染めたアリアが、顔を少し俯き気味にして立っていた。
アリアの表情と対照的に、外はすっかり暗くなってしまったようだが、夜明けはまだ先なのかもしれない。
「そういえば、身体の具合はどうだ?」
俺はアリアにそう尋ねた。
解呪魔法を受けているので、身体に負担がかかっている筈なのだから。
それにアリアの事なのだから心配して当然だ。
「……不思議な感じがするの」
「不思議……? どういう事だ?」
「魔力が今までより湧いてくる感じがするの……」
アリアは不思議そうな表情をしながら、俺を見つめてそう言った。
「今まで呪いで封印されて、制限されていた魔力が徐々に身体に戻ってきているから……ではないか?」
「そうなの……?」
「おそらく、そうだろうな」
俺はアリアに思った事を伝えた。
そして、この結論が一番無難にも思えた。
「とにかく、サクヤ……本当にありがとう」
アリアはそう言って笑顔で俺を抱きしめたので、俺の周りにほのかに甘い匂いが漂った。
解呪に成功して良かったとは思っているが、まさか抱きしめられるとは思わなかった。
さすがに、このドキドキに慣れるほどの免疫は持ち合わせていない……。
「ア、アリア……?」
「もう少し……ね?」
そう言ってアリアは、抱きしめる力を少し強くした。
解呪前のアリアとは明らかに何かが違う。
俺はアリアに対する違和感を覚えずにはいられなかったので、アリアに聞いてみる事にした。
「アリア、何だか雰囲気変わった?」
「そうかな? んーー」
アリアは何が変わったのか自覚が無いようだが、これは気のせいでは無いだろう。
一体何が違うのだろうか……。
「サクヤのお陰……かな?」
「俺の……?」
気を失っている間に、俺は無意識に何かをしてしまったのだろうか。
それとも……。
俺は解呪魔法を使った時の事をもう一度思い出す。
魔力制限に魔法制限、多数の制限を解放していたよな。
……そうか! 感情制限か!!
もし今抱きついているのが本来のアリアだとすれば、感情に制限がかけられていた時と違って、大胆になって抱きつく事があっても納得がいく。
それに、前より表情も固くないような、自然に見える気がした。
「アリアは積極的なんだな……?」
「えっ?」
俺がそう言うと、アリアは抱きついたのが恥ずかしくなったのか、顔を赤くしてすぐに離れた。
「そういえばアリアはいつ目が覚めたんだ?」
「んー……。サクヤが起きる三〇分くらい前だったような……」
アリアは口元に指を当ててそう言った。
「そうか……。アリア、起こしてくれてありがとう」
「どういたしまして」
俺が起こしてくれた事にお礼を言うと、アリアはそう言って微笑んだのだった。
「そういえば、外はかなり暗くなったみたいだが、どのくらい気を失っていたのだろうか?」
アリアも分からないといった表情をして、首を傾げた。
俺は試験の合格発表の日を寝過ごしてしまったのではないか……という悪い予感が胸をよぎった。
「とりあえず部屋を出て調べるのが一番だな」
「私も行く……」
俺とアリアは、今が実践試験の日からどのくらい経ったのかを確認するため、一緒に部屋を出る事にした。
向かう先は俺が泊まっている宿屋だ。
そこの店主に聞けば分かる事があるはずだ。
「きゃっ……」
月明かりだけが頼りの暗い中を歩いているので、アリアが躓いてしまい、俺の腕に抱きつくような格好になった。
「大丈夫か?」
「うん……ちょっとびっくりしちゃった」
「そのまま俺の腕につかまっててもいいぞ」
俺はアリアにそう言った。
アリアが転んで怪我をしてもいけないからな。
「……ありがとうサクヤ」
アリアはそう言って、腕を抱きしめる力をさらに強めた。
俺の腕にアリアが抱きついたまま、しばらく歩いていると、目的地の宿屋に到着した。
「いらっしゃい……って坊主!?」
店主は俺に視線を向けた瞬間、驚きながら腕に抱きついたままのアリアと俺を交互に見始めた。
「すまんな坊主。ウチは壁が薄い……だから諦めてくれ」
店主が壁に手を当てて申し訳なさそうに言う。
待て待て、何が言いたいのだ。
「……どういう事でしょう?」
アリアが俺に耳打ちして聞いてくる。
「さて、俺にも分からん」
俺はアリアに、そう返すしかなかった。
軽く咳払いをして、話の流れを変えようか……。
「何を勘違いしているのか知らないですけど、一つ聞いてもいいですか?」
「あ、ああ……いいぞ」
店主が何を聞かれるかと身構える。
「俺が部屋の前で店主と試験の話をしたのは、昨日の晩の事だったか?」
「そうだな……実践試験の話をしたのは昨日の晩だ。それがどうかしたのかい?」
「それが知りたかったのだ。感謝する」
先程の悪い予感が外れたので、俺は安心した。
とりあえず宿を使うことがなかったのだが、部屋代をお礼替わりに店主に渡した。
「サクヤ……戻ろ?」
アリアは耳元で呟く。
知りたい事も知る事がてきたのでそうするか。
「わかった。では失礼する」
俺とアリアは店主に一礼して宿を出て、一緒に歩き始めた。
試験の合格発表は、この夜が明けてからだ。
俺もアリアも合格できていればいいのだが……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる