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決着
薬草を取りに
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魔王城へ戻ってきたデスティニオ・ブラッドロの腕には、抱えきれないほどの薬草があった。
長い葉を持つ草、白い小さな花をつけたもの、鼻を刺すような香りを放つ茎。
森で見つけたものを、手当たりしだいに摘んできたのだ。
城の廊下を歩くと、魔族たちが思わず足を止めた。
「……魔王様?」
「そんなに薬草を?」
「珍しいものを集めておられるな……」
ざわめきが広がる。
だがデスティニオは気にも留めず、まっすぐ自室へ向かった。
やがて研究室の扉を開ける。
しかし――
ベッドの上にいるはずの勇者の姿がなかった。
「……?」
デスティニオの視線が部屋をゆっくりと巡る。
そのとき、ベッドの下からかすかな気配がした。
魔王は静かに歩み寄る。
そして視線を落とした。
そこに、リオ・オルガレスがいた。
床に身を寄せるようにして、ベッドの下へ潜り込んでいる。
顔は青ざめ、呼吸は荒い。
魔王が一歩近づいた瞬間、
「来るなっ!」
鋭い声が飛んだ。
だがその声には、どこか焦りが混じっていた。
デスティニオは眉をひそめる。
「……また動いたのか」
静かに言いながら、しゃがみ込む。
そのときだった。
床が、びしょびしょに濡れていることに気づいた。
水ではない。
何かが広がっている。
デスティニオは不思議そうに首を傾げた。
「……なぜだ?」
リオに問いかける。
「何が起きた」
しかしリオは顔を背けたまま、何も言わない。
沈黙。
ただ呼吸だけが聞こえる。
魔王はしばらく考え込んだ。
やがて立ち上がり、本棚へ向かう。
分厚い辞書を取り出し、ページをめくる。
「……人間の身体……」
指で文字を追う。
しばらくして、ふと手が止まった。
「……排泄」
その説明を読む。
人間は食事をした後、体の中の不要なものを外へ出す。
そのための行為がある、と。
デスティニオは本から顔を上げた。
そしてベッドの下にいる勇者を見た。
「……なるほど」
小さく呟く。
魔族には、そうした習慣はなかった。
体の仕組みが違うのだ。
だから理解できなかった。
再びリオを見る。
勇者はまだ黙ったまま、目を伏せている。
デスティニオはしばらく考え、
やがて静かに言った。
「人間というのは……」
本を閉じる。
「ずいぶん手のかかる生き物だな」
部屋の中には、薬草の香りと静かな空気が漂っていた。
長い葉を持つ草、白い小さな花をつけたもの、鼻を刺すような香りを放つ茎。
森で見つけたものを、手当たりしだいに摘んできたのだ。
城の廊下を歩くと、魔族たちが思わず足を止めた。
「……魔王様?」
「そんなに薬草を?」
「珍しいものを集めておられるな……」
ざわめきが広がる。
だがデスティニオは気にも留めず、まっすぐ自室へ向かった。
やがて研究室の扉を開ける。
しかし――
ベッドの上にいるはずの勇者の姿がなかった。
「……?」
デスティニオの視線が部屋をゆっくりと巡る。
そのとき、ベッドの下からかすかな気配がした。
魔王は静かに歩み寄る。
そして視線を落とした。
そこに、リオ・オルガレスがいた。
床に身を寄せるようにして、ベッドの下へ潜り込んでいる。
顔は青ざめ、呼吸は荒い。
魔王が一歩近づいた瞬間、
「来るなっ!」
鋭い声が飛んだ。
だがその声には、どこか焦りが混じっていた。
デスティニオは眉をひそめる。
「……また動いたのか」
静かに言いながら、しゃがみ込む。
そのときだった。
床が、びしょびしょに濡れていることに気づいた。
水ではない。
何かが広がっている。
デスティニオは不思議そうに首を傾げた。
「……なぜだ?」
リオに問いかける。
「何が起きた」
しかしリオは顔を背けたまま、何も言わない。
沈黙。
ただ呼吸だけが聞こえる。
魔王はしばらく考え込んだ。
やがて立ち上がり、本棚へ向かう。
分厚い辞書を取り出し、ページをめくる。
「……人間の身体……」
指で文字を追う。
しばらくして、ふと手が止まった。
「……排泄」
その説明を読む。
人間は食事をした後、体の中の不要なものを外へ出す。
そのための行為がある、と。
デスティニオは本から顔を上げた。
そしてベッドの下にいる勇者を見た。
「……なるほど」
小さく呟く。
魔族には、そうした習慣はなかった。
体の仕組みが違うのだ。
だから理解できなかった。
再びリオを見る。
勇者はまだ黙ったまま、目を伏せている。
デスティニオはしばらく考え、
やがて静かに言った。
「人間というのは……」
本を閉じる。
「ずいぶん手のかかる生き物だな」
部屋の中には、薬草の香りと静かな空気が漂っていた。
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