apocalypsis

さくら

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errare humanum est

tres

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 おそらく、今現在の天弥は本来の方である確立が高いと、嫌でも考えざるを得ない。再会してからの天弥は、少しでも多く接触を求めるかのように、離れているときはメールや電話をしてきていたのだ。なのに、今現在は会えない状況であるというのに、昨夜のメールを最後に何一つ連絡が入らないのである。
 突然、何かを思いついたような表情をした後、苛立たしげに手にした煙草を灰皿へと押し付けた。
「あのバカ……」
 思わず、口から言葉が漏れる。そしてすぐに、馬鹿は自分だと思い直した。明かに、再会後の天弥の様子はおかしかった。だが、問い詰める勇気も無く、先延ばしにしていたのだ。
 間違いなく、天弥は真実を知った。そして、自身が別の存在だと知ったはずだ。いつ、入れ替わるかわからないというリスクはあるが、そのまま他人の身体を乗っ取り続けることは性格的に出来なかったのだろう。
 気持ちを落ち着けるために、再び煙草を取り出し咥えた。すぐに火を点け深く煙を吸い込み肺を満たす。ゆっくりと吐き出される紫煙を見つめ、どちらだと思案する。天弥が取ると思われる行動は二つあり、困難さを考えると一つに絞れるような気もするが、困難な方を選んでいる可能性が高く、容易に判断がつかなかった。もし、困難な方を選ばれていたら、術が無い。そちらを選んでいないことを祈るばかりだった。

 授業開始を告げる鐘の音と共に、斎は教室のドアをくぐる。普段なら生徒たちは教師の入室に気が付きすぐに静けさが室内を支配するのだが、今回は違っていた。複数人でかたまっている生徒たちや、個人で席に座り携帯を手にする生徒など多様な様子に少し困惑する。聞こえてくる会話に耳を傾けると、どこかで大規模な火災が起きているようだった。内容が気にかかるが、立場としてそれを容認することは出来ない。
「授業を始めるぞ」
 生徒たちに声をかけ、教科書や資料を机の上に置く。幾人かの生徒たちが斎を見た。
「先生! 南極ですっごい火事だって!」
 興奮したように生徒たちが次々と現在、起こっていることについて口にした。
「そうか。それは、授業の後に確認してくれ」
 南極には各国の基地があり、そこが火災にでもあったのかと思いながら、生徒たちに授業開始を促す。渋々と生徒たちが自分の席へ戻り、携帯を鞄の中へとしまう。
 授業を進めながらも、落ち着きの無い生徒たちの様子に、南極で起きているという大火災に少し興味を惹かれた。しかし、すぐに浮かんだ関心を脱ぎ払う。今は、それよりも大切なことがあるのだ。
 生徒たちの落ち着きの無さを何度か注意をしながら授業を終え、教室を後にする。教科室に戻る最中も、廊下で携帯を見ながら騒ぐ生徒たちを多数、横目で確認をした。
「ねぇ、今、人が映ってなかった?」
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