apocalypsis

さくら

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alea jacta est

undecim

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 サイラスの提案に、今度は天弥が考え込む。仕組みが分からずに使用していることから、容易に返事が出来なかった。
「分かった。タクシーで行こう」
 現実的な案を斎が提供する。
「それでもええけど……先生やったら賛成すると思ったんやけどな……」
「なぜだ?」
「こういうの好きやろ?」
 斎の好奇心を見透かしたようだった。
「安全ならな」
 天弥はよく分からずに使っているようだった。本人一人だけなら危険は無いのかもしれないが、不安があるものはあまり使わせたくなかったのだ。
「ほな、タクシーで行くとして、何時の約束なんや?」
「15時だ」
 サイラスが時計を見る。
「まだ余裕あるんやけど、早めに移動した方がええかも?」
 時間帯や曜日によっては車が混雑することがあるため、早めの移動を提案する。
「そうだな……。早く到着するようなら連絡をするか……」
 サイラスの提案に、運転者である斎は賛同した。確かに、渋滞は運転する者にとっては大きな悩みである。
「ほな、行こか?」
 サイラスは天弥を見る、未だ幸せそうに菓子を食べていた。

 タクシーが一軒の家の前で停まる。多少、混むことはあったが、渋滞は無く予定よりも早く着いてしまった。天弥とサイラスは、支払いをしている斎をよそに、早々とタクシーから降り目の前の家を見つめる。特に特徴の無い平凡な家で、サイラスは拍子抜けする。数学者の家なら、SFに出てくるような風変わりなものだと想像していたのだ。だが、まだサイラスは期待を抱いていた。屋内のインテリアはかなり普通とは違うのではないかと想像する。
 支払いが終わった斎も車から降りてきた。
「先生、ここなん?」
「そうだ」
「なんか普通の家なんやな……」
 豪華な御殿でも想像していたのだろうかとサイラスを見た。
「中は? もちろん中はちゃうやろ?」
 期待を込めた声音でサイラスは目前の家を指差した。
「普通だと思うが……」
「そうなん? ダリの絵みたいな家具とか、家中の壁に数式が書いてあるんかと思ったわ……」
 一体、数学者にどんなイメージを持っているのかと、サイラスを見ながらため息を吐いた。ガックリと肩を落とすサイラスを横目に、斎は門をくぐりインターフォンを押した。すぐに、来客の確認が来る。
「御神本です」
 インターフォンの接続がガチャリと切れた。少しして、玄関のドアが開く。
「すみません……突然……」
 斎がドアから顔を出した胡桃沢に軽く頭を下げた。続けて天弥も軽く頭を下げる。二人の様子を見て、サイラスも慌てて頭を下げた。
「いっらっしゃい。別に今日は予定が無かったから構わんよ」
 答えながら、胡桃沢は天弥を見た。次に、サイラスへ視線を向ける。
「そっちの金髪の子は?」
 頭をあげた斎が、同じくサイラスへ視線を向けた。サイラスも頭をあげる。
「あ、生徒です。それでその……」
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