2人の男に狙われてます

おもち

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煙草

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浴室から出ると、ダイニングテーブルには彼の手料理が並べられていた。

「え、これ君が作ったの...?」

「他に誰が作るんです?」

ふぅ、とため息を吐きながら椅子に座り、食べましょうと口にする。

おずおずと椅子に座り2人でいただきますをした。

「魚にしてしまいましたが、お嫌いではなかったですか?」

「うん、大好きだよ」

「そんな、照れます」

お前に言ってんじゃねぇんだ。

彼が作った料理は全て美味しくて、久しぶりに誰かと食卓を囲むのが嬉しかった。
誰かとご飯食べるってこんなに楽しかったっけ。
あまりにも久しぶり過ぎて、この幸福感を完全に忘れていたことが悲しい。

食べ終えた後は、ご飯を作ってくれたお礼に私が食器を洗った。

彼はテーブルに置かれたテレビゲームを起動し、煙草を咥える。

「若王子くん、ソシャゲ以外のゲームもするんだね。そう言うイメージ無かったよ」

「そうですか?やり始めるとハマっちゃって、おかげでここ3日間の睡眠は6時間位です」

て、ことは1日2時間しかて寝ないのか。


「この前買った酒が余ってるので、今日飲んじゃいましょう」

食器を洗い終えた私に、冷蔵庫からお酒を持ってくるよう指示した彼は、眼鏡をかけてゲームをやり始めた。

冷蔵庫を拝見させてもらうと、ちゃんと数種類のおかずが作り置きされてある。
しかもきっちり分けられていて男性が使っている冷蔵庫とは到底思えない。

あまりジロジロ見るのも悪いので、お酒とケーキの箱を取り出し、彼が座るソファーに腰掛けた。

なんのゲームなんだろう。
画面を見ててもゲームに疎い私には、さっぱりわからない。
画面の配色からホラーゲームっぽい感じはするが...。

山盛りになった煙草の吸殻を見ては、ずっとこんな感じで煙草を咥えながらゲームをしていたんだろうな、とぼんやり思った。

缶チューハイをグイッと飲み、ケーキの箱を開ける。

「いつもチョコレート持ち歩いてるし、若王子くんは甘い物好きだよね?」

「ええ」

「なんのケーキが好きか分からなくて4つも買ってきちゃった、好きなのから食べていいよ」

「...」

コントローラーをテーブルに置き、咥えていた煙草を灰皿に擦り付けると彼がぐっと身体を近付けてくる。

シャンプーの匂いと、煙草の匂いが混ざった背徳の香り。

普段見なれない眼鏡姿の彼に、妙にドキドキした。

「っ...」

「...僕のために悩んでくれたんですね」

口角を緩やかに上げ、触れるだけのキスをされる。


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