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第三章

ランキング戦一週間前①

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「あー、今日からランキング戦準備期間なので午後からは課外活動とする。各自三人以上でパーティーを組んでおくように、では昼休みだ」
「ガルド先生~」

ガルド先生が教室に出る前にジルが質問をする。

「なんだ?」
「組んじゃダメな人っていますか?」
「学校内の人間なら誰でも良い」

ジルの意図が読めない質問にガルド先生は答えて教室を出た。

「ジル、今の質問の理由聞いていいか?」
「あぁ、俺達二人しかいねぇからもう一人ガルド先生を誘おうぜ!」
「先生ってありなのか…」
「さっき学校内の人間なら良いって言ったよな!」

俺はようやくさっきの質問の意図が読めた。
お前…天才かっ!

「その手があったか!!」
「おう!行くぜ!!」

俺達はそのあとたっぷり叱られました―――






職員室をようやく出ることが出来、廊下を歩きながら話す。

「くっそぉ~、まさか生徒限定だったとは・・・不覚である・・・」

まぁ大体予想はしてたけどな。

「ジルがガルド先生に向かって「先生が一番暇そうだからです!」とか言うからだろー」

そう、さっき説教の最中で「大体何で俺なんだ?」と言ったらジルがその言葉で返し余計怒られたのだ。

「わりぃわりぃ、でも、大体の生徒がもう決めちゃってるなぁ」

説教のとジルの言葉のせいで昼休みがだいぶ削られほとんどの生徒が決めていしまっている。
ランキング戦は全学年同時なのでほとんどの人が決めている。

「一年ではほとんど決まってるから二年の方に行くか……」

「そうだな……」

俺達はダルそうに歩いていった。何故なら二年生も同じではないかと思っているからだ。
入学してまもなく人間関係がまだ曖昧な一年生でもほとんど決めてしまっている。
その分、一年間共に勉強をしたであろう二年生だと余計早く決まってしまうだろう。
若干諦めながら二年のいる二階に着いた。

「いねぇかなー」

ジルが半分諦めかけた声で言うと、とても体が細くまるで女の子じゃないかと思われるほどの男子制服を着た二年生がいた。その生徒は体の細さから魔物なんて倒せないだろうと、誰にも相手にされない様子だった。

「…………なぁジル俺は目の前にちょうど良い可哀相なのを見つけたんだが」
「奇遇だなクロ、俺もだ」

俺達はその先輩の元に近付いた。

「はぁ、誰にも相手にされない…」
「あの~」
「ん?誰だい?一年生?」

その先輩は俺達が誘うと言った途端ピョンピョン飛びはねながら喜んでいた。
反応が小動物みたいだな…

「本当!やったー!嬉しいな~」
「じゃあ先輩、名前は?俺はクロ、闇属性です」
「あ、俺はジル、光属性です」

俺達が軽く挨拶をすると跳ねるのをやめて満面の笑みで握手しながら自己紹介してきた。

「僕はサファイア、風属性だよ!よろしくね!クロ!ジル!」
「あ、あぁよろしくお願いします……」
「え、えっとよろしくお願いしやす……」

サファイア先輩のテンションに押されて戸惑う俺達。
どれだけ他の人に相手にされなかったんだよ…
本気で同情したくなってきたぞ…

「じゃあ、先生に言いにいこっか!」

サファイア先輩が先導して歩いてる中、俺こそこそっと話していた。

「(きっと誰にも誘われずに悲しかったんだろな…)」
「(クロ。あの先輩切な過ぎるぜ!うぅ…)」

ジルも同じ事を考えていたようだ…
俺は少し気になる事がありサファイア先輩に聞いた。

「サファイア先輩、先輩ってその蒼い瞳でサファイアって名前付けられたんですか?」

サファイア先輩の容姿は、蒼い瞳に女の子並の顔立ち、いわゆる男の娘って奴だ。髪型はブロンド色で後ろは刈り上げて前髪下ろしている。
後ろの髪を刈り上げていなかったら性別が分からなかったかもしれない……

「……あぁ、そうだよ」

サファイア先輩は少し間を開け答えた。
蒼い瞳何て余りいないのだが……確か昔、カシエル家の傘下の貴族でそんな一族の話聞いたが……良く覚えていないので、とりあえず今は職員室にいこう―――



「ガルド先生!三人揃いました!」
「そうか、また俺が暇そうとか言ったらぶん殴ってた所だ」
「アッハッハー、ガルド先生冗談きついですよ~」

笑いながら話すジルに対してガルド先生は笑顔で言った。

「安心しろ、冗談じゃないから」

ジルの顔から笑顔が消えた……

「それで先生、この先輩とパーティー組みたいですが…」
「まぁ、生徒なら構わないぞ。名前は?」
「サファイアです!」
「サファイアな、わかった登録しておこう」

そして俺達は課外活動を迎える…
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