異世界球技無双~最強すぎる必殺シュートで伝説のドラゴンや魔王も全てふっ飛ばす!~

空地大乃

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第2章 球技を扱う冒険者編

第21話 ハスラーの本気

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「リバウンド!」
「ぐぼっ!」
「リバウンド!」
「げはっ!」
「リバウンド!」
「ごふぅう!」
「リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド! リバウンド!」
「ごふっ! ぶふっ! ぐふっ! げふっ! どふっ! ぐぼぁ! ぎぼぁ! げはぁ! ぎゃひっ! ぶぼらぁぁああぁああ!」

 キングはひたすら籠球が球技の一つ、リバウンドを当て続けた。キングの放った跳弾は縦横無尽に飛び、ハスラーの体は踊るように跳ね回った。

「キングさん凄い、でも、もうハスラーくんの体力はゼロよ! これ以上無理だわ。マスター!」
「待て、まだだ。まだ終わっちゃいない」

 一方的な試合展開にダーテがマラドナに呼びかけるも、彼はまだ止めようとしない。

 そしてダーテがキングとハスラーの試合に改めて目を向けると、ハスラーが槍を回転させ迫る跳弾を弾き返し始めたところだった。

「これで勝ったと思ったら大間違いだ!」
「なるほど、いやはや、やはりまだ余裕があったのだな」

 キングの発言にハスラーは奥歯を噛み締めた。皮肉と捉えたのかも知れない。

 だが、実際キングはそう思っていた。周囲の冒険者から見てもあまりに一方的な戦いだったが、肝心のキングはまた違った見方をしていた。

 ハスラーのレベルが見た目には自分より高いというのもあるだろう。そのためキングは彼がやられているのも演技としか思ってなかったのである。

 そもそもで言えば、今のリバウンドにしても全くキングは本気ではない。キングからすれば軽い牽制程度だったのである。

 だからこそ、ここからこそが本番と、そう考えていた。正直ハスラーは脚もフラフラだが油断させるための演技と思ってしまっている。

「余裕? はは、面白いねあんた。うん、まぁそうだね。確かにこんなの余裕だよ余裕」
「やはりな……今の防御も見事だった。俺もより気を引き締めねば」

 そう言って地面に球を打ち続ける。当然だがハスラーのは完全に強がりなのだが。

「どうやらあんた、もう勝負はついたと思ってるようだけどさ。僕だってそう簡単にやらせはしないからね」
「何? 勝負はもうついたと、そう言いたいのか。なるほど――それだけの自信があるというのだな!」

 お互いの会話は妙に噛み合っていなかった。

「あんたに見せてやるよ、免許皆伝ついでに会得した奥義を。死んでも、文句は言うなよ、はぁああぁあぁあ!」

 ハスラーが裂帛の気合いを発し、構えをとった。血管が浮かび上がり、ドクドクと波打つ。そして狼のように目つきを鋭くさせ。

「行くぞ! 四槍八槍!」

 地面を力強く蹴る。その瞬間目にも留まらぬ速さでハスラーが疾駆する。

「な、なんだハスラーが何人にも見える!」
「残像だ、あまりに速すぎて残像が見えているんだ」
「しかもあの残像、まるでキングを取り囲んでいるようだぜ」

 見物していた冒険者達が驚きの声を上げる。そして見ていた中の一人が。

「むぅ、あれは無尽流無槍術奥義四槍八槍!」
「知っているのかお前!」

 四槍八槍――無尽流における究極奥義の一つ。その速さから生まれる残像によって相手を取り囲み一斉に無限の如き槍の連打を放つ、回避不可とされる絶対攻撃。なお、四方八方という言葉がこの技から派生したものであることを知るものは少ない。

 などという説明を得々と一人の冒険者がしている間に、ハスラーの回避不可能な刺突の雨がキングに降り注ぐ。

「いかん、あれを喰らってはキングなど一溜りも」
「そ、そんな!」

 マラドナの言葉にダーテが悲鳴にも満ちた声を上げた。このままではキングがやられる、誰もがそう思ったことであろう、だがしかし。

「ムンッムンッムンッムンッムンッ!」
「「「「「「なにぃいいぃいいいぃィ!?」」」」」」

 見ていた冒険者達が一様に驚きの声を上げた。何故ならキングはその場でくるくると回転するようにしながら持っていた球でハスラーの攻撃全てを受け止めてみせたからである。

「な、なんだとォ!」
「悪いな、地上において籠球のガードは完璧なのだ。これぞ異世界の球技仕込みの鉄壁のガーディアン防護球ボールディフェンス!」
 
 キングはハスラーの突きを尽くボールでガードしていく。本来のバスケとあまりにかけ離れたディフェンスに思えるが、しかし事実これはスラムでダンクを読むことで覚えたガード技である。

 そもそも漫画では主人公の過去の関係から、途中からストリートバスケに近い3on3の試合、しかも死のデスバスケというルール無用の闇試合に発展する比率のほうが多くなっていた。

 話の中では、相手チームが全員マシンガンを抜き主人公を撃ってくるという技を披露してきたことがあり、その際に主人公が編み出したガード技がこれなのだった。バスケットにはピボットという足運びがあり、軸足を決めて軽快に動き回るのが特徴だが、それを活かしガードにバスケットボールを利用することで全ての弾丸を弾き返すという離れ業にキングも読んでいて興奮したものであった。

 しかしこのガード技、実は意外と理にかなっている。なぜならバスケットボールは当然球体であり、この丸みを利用することで直撃を避け、相手の攻撃を反らすことが可能だからである。故に肝心のボール自身には全くダメージがない。

「ムンッ!」
「ぐはっ!」

 そしてキングはガードから一気に反撃に転じ、籠球でハスラーを思いっきり殴りつけた。キングにとって籠球は近接戦にも使える武器でもある。何故なら漫画でもそうだったからだ。

「くそ! まさか僕の奥義が破られるなんて!」
「良い技を見せてもらった。今のでわかったが君はその機動力を活かした戦い方が得意なようだね」
「……それが、どうだっていうのさ」
「なら、俺は全力でその機動力を奪わせてもらう。いくぞ! 土離震ドリブル!」
「なッ!?」

 するとキングは再び球で地面を突き始める。だが、それは今までと明らかに様子が違った。キングが地面を今までより速く、激しく、籠球球を地面に叩きつけることで、大地が震えたのだ。

「な、足元が揺れている!」
「これを、あいつがやってるのか!」
「地面をこんなに激しく揺さぶるなんて信じられない……」

 そうキングは地面を揺らしていた。そのバスケットにおける独特なボール操作によって。

「くっ、だけどこれぐらいならまだ!」
「ならば、双重土離震ダブルドリブル!」

 更に揺れが激しくなり、ハスラーの顔色が変わった。本来の意味とは全くことなるが、しかし漫画においても3on3のルールが全く無視された、1VS300人での試合が展開された時、主人公が見せたドリブルがこれなのである。

 例え数をどれだけ揃えようと動けなければ意味がない! そう言って地面を揺らし足を止め、得点を量産していった。それをヒントに取得した土離震ドリブル、そしてその上に更に土離震ドリブルを重ね揺れを激しくさせた双重土離震ダブルドリブル

 これらによってハスラーの脚が完全に止まった。キングの目がキラリと光る。

「これで決める! 天昇跳弾リバウンドアッパー!」

 キングがボールを放つと、動きが止まったハスラーの足元で跳弾し、そのまま勢いよく跳ね上がり、突き刺すようにハスラーの顎にヒットした。

「ぐはあぁあああぁああぁッ!」

 キングの一撃によってハスラーの体が大きく吹き飛び、天井近くまで達した後回転しながら地面に落下した。ハスラーは目を回しており、とても試合が続けられる状態ではない。

 それを認めたマラドナはやれやれと頭を振った後、諦めにも似た表情で口を開いた。

「どうやら勝負は決まったようだな……キングお前の勝ちだ」
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