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第2章 球技を扱う冒険者編
第41話 晴れ時々山賊
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キングとウィンが休んでいると屈強な男たちに取り囲まれた。男たちはウィンがエルフだとしると下卑た笑みを浮かべ、舌なめずりをした。
一つ一つの動作がいかにも悪人っぽいが一応キングは尋ねた。
「お前たち一体何のようだ?」
「は、テメェみたいなおっさんにようなんかねぇんだよ」
「俺たちはこの山じゃ泣く子も黙る山賊として知られてんだ。俺らに目をつけられたのが運の尽きだと思うんだな」
「ふむ、風貌通りってことか」
「全く出るとは聞いていたけど、ちょっと休んでいただけで遭遇するなんてね」
ウィンがやれやれとため息をつき、頭を振った。ボールも、キュッキュッ、と上下に跳ねている。
「ま、とは言えだ。お前みたいなおっさんからなんて奪えるものもないだろうしな」
「そこのエルフを黙って差し出すならおっさんと、その奇妙なスライムを見逃してやってもいいぞ。どうする?」
すると山賊のリーダーっぽい男がキングに話を持ちかけた。彼らの目的はあくまでエルフだと、そういいたいのだろう。
「ふむ、なるほど。つまりウィンを差し出せば俺を見逃すということだな?」
「そういうこったな」
「おっさんにしては察しがいいじゃねぇか。どうだ? 悪い話じゃねぇだろ? 何せこっちは10人以上いるんだ。テメェじゃ逆立ちしたって勝てな――」
「だがシュートする!」
「「「「「ぐぼらぁああぁあああぁああ!」」」」」
リーダーはまだ喋り終えていなかったが、キングは問答無用でサッカーボールに変化したボールをシュートした。それによってあっというまに半数が吹っ飛び地面に叩きつけられて気絶した。
「何! リーダーが!」
「て、テメェ話を聞いていなかったのか!」
「何をだ?」
「だから、そのエルフを差し出せば見逃してやると言ってるだろうが!」
「ほうほう、つまりウィンと引き換えに俺を見逃すと?」
「そうだよ。だからとっとと!」
「だがタックルする!」
「「「「「ギャァアアァアアアア!」」」」」
今度はラグビーボールに変化したボールを脇に抱えて体当りした。相手の言い分など聞く気はなかった。そして山賊は全滅。全員仲良く意識を失っていた。
「相変わらず凄いわね」
「この連中が大したことなかっただけだと思うのだが……」
「この辺りのモンスターって結構強いほうよ。キングといると麻痺しそうだけど、そこを拠点にしている山賊なんだからそれなりの実力があると思うんだけど……」
しかし、結局キングの前では10秒も持たなかった。まさに手も足も出ず終わったのである。
「キュッキュッ~?」
「あぁ、確かにそうね。この連中どうしようか?」
ウィンはボールが訴えるのに合わせてキングに問いかけた。どうやらウィンもだんだんとボールの言っていることが理解できるようになってきたようである。
「このままというわけにはいかないか。確か近くの村には冒険者ギルドの出張所があったはずだ。そこにお願いするか」
「お願いって、まさかこいつらを連れて戻るの? それはそれで面倒だけど」
「大丈夫だトスする」
「トス?」
キングの提案にウィンが小首を傾げた。一体何をするつもりなのかといったところだが。
「本来ならボールを使うのだが、なんとかなるだろう」
そう言ってキングが山賊たちを次々と上に放り投げていった。そして落下してきたところで。
「そ~~~~れっ! トスッ!」
キングは両手を使って落ちてきた山賊を次々と打ち上げていった。これはバレーボールに於ける基本的な技術の一つで本来ならアタッカーにボールを送るために使われる。つまりそれだけ正確無比なトスが求められるのであり、つまるところ狙った場所に山賊を送るという意味ではピッタリな技だったのである。
「うむ、終わったな」
「凄いこと考えるのね……」
「キュ~♪」
半ば呆れたように呟くウィンと、労うようにキングの肩に乗り擦り寄るボールであった。とは言え、これで不届き者な山賊は冒険者に捕らえられることだろうと考え先を急ぐ2人なのであった。
一方、山から少し離れた位置にある村では――
「今日はいい天気だのう」
「ねぇ爺ちゃん。空から何か降ってくるよ?」
「はっはっは、こんな天気のいい日に雨が降ってきたとでもいうのか――」
――ヒュゥウゥウゥウウ、ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドゴンッドン!
「ぬぉおおぉおお! なんじゃなんじゃなんじゃあぁああ!」
「じ、爺ちゃん空から小汚い男が!」
こうして村には無事山賊が送り届けられたのだった――
「テメェら! よくも仲間をやりやがったな! 絶対に許さねぇぞ!」
「はぁ、わらわらと何なのよもう……」
「ふむ、山賊はまだいたか」
「キュ~……」
ドワーフの工房へ向かう途中、またもや山賊に狙われた2人である。しかも今度は更に数が多い。50人はいることだろう。
「この俺こそが真の山賊団の頭! そして全勢力でお前らを囲んだ! もう逃げられんぞ。だがしかし! もしそのエルフを大人しく差し出すというなら!」
「だがアタックする!」
「キュ~!」
「な、まだ全部言ってねぇだろうが!」
しかし、問答無用でキングが飛んだ。脇にウィンを抱え、バレーボールに変化したボールも空中に舞う。
「凄い、まるで翼があるみたい――」
空中でウィンが感嘆の声を上げた。そう、キングが覚えた球技で最も空中戦が得意な球技、それが――排球!
「食らえ、これが爆烈球撃だ!」
鞭のように靭やかな腕の振り。打たれたボールは山賊どもの中心に吸い込まれるように飛んでいく。そして地面にバレーのボールが炸裂。刹那――大爆発が起こり山賊たちが吹っ飛んだ。
「そ、そん、な、ばか、な――」
顔を上げ、信じられないような顔で言い残した後、山賊の頭がパタッと倒れた。あれだけの爆発だが一応全員息はあるようだ。
「全く相手にならなかったわね……」
「ふむ、口ほどにもなかったということか。さて――片付けるか」
「キュ~」
そしてキングは再び山賊を次々とトスしていくのだった。
一方村では降ってきた山賊を冒険者が次々と運んでいった後であった。手配書の関係で山賊であることはすぐにわかったようだが、何故空から降ってきたかがわからず困惑していたのだが。
「やれやれ、やっと片付いたか。しかし、山賊が降ってくるとは変わったこともあるもんじゃわい」
「あ! 爺ちゃん、また、空から山賊が!」
一息つく爺さんであったが、孫らしき男の子が上を指差しまた叫んだ。空を見上げると、さっきより更に多くの山賊が次々と村に降ってくる。
「やれやれ、晴れのち山賊とはのう――珍しいこともあったもんじゃ」
「僕、冒険者を呼んでくる!」
そして一仕事終えたと思った冒険者がまた駆り出される事となった。後にこの村には山賊の雨が降ると噂されるようになるわけだが、それが一人の冒険者の所為によるものだとは誰ひとりとして思うことはなかったのだった――
一つ一つの動作がいかにも悪人っぽいが一応キングは尋ねた。
「お前たち一体何のようだ?」
「は、テメェみたいなおっさんにようなんかねぇんだよ」
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「ふむ、風貌通りってことか」
「全く出るとは聞いていたけど、ちょっと休んでいただけで遭遇するなんてね」
ウィンがやれやれとため息をつき、頭を振った。ボールも、キュッキュッ、と上下に跳ねている。
「ま、とは言えだ。お前みたいなおっさんからなんて奪えるものもないだろうしな」
「そこのエルフを黙って差し出すならおっさんと、その奇妙なスライムを見逃してやってもいいぞ。どうする?」
すると山賊のリーダーっぽい男がキングに話を持ちかけた。彼らの目的はあくまでエルフだと、そういいたいのだろう。
「ふむ、なるほど。つまりウィンを差し出せば俺を見逃すということだな?」
「そういうこったな」
「おっさんにしては察しがいいじゃねぇか。どうだ? 悪い話じゃねぇだろ? 何せこっちは10人以上いるんだ。テメェじゃ逆立ちしたって勝てな――」
「だがシュートする!」
「「「「「ぐぼらぁああぁあああぁああ!」」」」」
リーダーはまだ喋り終えていなかったが、キングは問答無用でサッカーボールに変化したボールをシュートした。それによってあっというまに半数が吹っ飛び地面に叩きつけられて気絶した。
「何! リーダーが!」
「て、テメェ話を聞いていなかったのか!」
「何をだ?」
「だから、そのエルフを差し出せば見逃してやると言ってるだろうが!」
「ほうほう、つまりウィンと引き換えに俺を見逃すと?」
「そうだよ。だからとっとと!」
「だがタックルする!」
「「「「「ギャァアアァアアアア!」」」」」
今度はラグビーボールに変化したボールを脇に抱えて体当りした。相手の言い分など聞く気はなかった。そして山賊は全滅。全員仲良く意識を失っていた。
「相変わらず凄いわね」
「この連中が大したことなかっただけだと思うのだが……」
「この辺りのモンスターって結構強いほうよ。キングといると麻痺しそうだけど、そこを拠点にしている山賊なんだからそれなりの実力があると思うんだけど……」
しかし、結局キングの前では10秒も持たなかった。まさに手も足も出ず終わったのである。
「キュッキュッ~?」
「あぁ、確かにそうね。この連中どうしようか?」
ウィンはボールが訴えるのに合わせてキングに問いかけた。どうやらウィンもだんだんとボールの言っていることが理解できるようになってきたようである。
「このままというわけにはいかないか。確か近くの村には冒険者ギルドの出張所があったはずだ。そこにお願いするか」
「お願いって、まさかこいつらを連れて戻るの? それはそれで面倒だけど」
「大丈夫だトスする」
「トス?」
キングの提案にウィンが小首を傾げた。一体何をするつもりなのかといったところだが。
「本来ならボールを使うのだが、なんとかなるだろう」
そう言ってキングが山賊たちを次々と上に放り投げていった。そして落下してきたところで。
「そ~~~~れっ! トスッ!」
キングは両手を使って落ちてきた山賊を次々と打ち上げていった。これはバレーボールに於ける基本的な技術の一つで本来ならアタッカーにボールを送るために使われる。つまりそれだけ正確無比なトスが求められるのであり、つまるところ狙った場所に山賊を送るという意味ではピッタリな技だったのである。
「うむ、終わったな」
「凄いこと考えるのね……」
「キュ~♪」
半ば呆れたように呟くウィンと、労うようにキングの肩に乗り擦り寄るボールであった。とは言え、これで不届き者な山賊は冒険者に捕らえられることだろうと考え先を急ぐ2人なのであった。
一方、山から少し離れた位置にある村では――
「今日はいい天気だのう」
「ねぇ爺ちゃん。空から何か降ってくるよ?」
「はっはっは、こんな天気のいい日に雨が降ってきたとでもいうのか――」
――ヒュゥウゥウゥウウ、ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドゴンッドン!
「ぬぉおおぉおお! なんじゃなんじゃなんじゃあぁああ!」
「じ、爺ちゃん空から小汚い男が!」
こうして村には無事山賊が送り届けられたのだった――
「テメェら! よくも仲間をやりやがったな! 絶対に許さねぇぞ!」
「はぁ、わらわらと何なのよもう……」
「ふむ、山賊はまだいたか」
「キュ~……」
ドワーフの工房へ向かう途中、またもや山賊に狙われた2人である。しかも今度は更に数が多い。50人はいることだろう。
「この俺こそが真の山賊団の頭! そして全勢力でお前らを囲んだ! もう逃げられんぞ。だがしかし! もしそのエルフを大人しく差し出すというなら!」
「だがアタックする!」
「キュ~!」
「な、まだ全部言ってねぇだろうが!」
しかし、問答無用でキングが飛んだ。脇にウィンを抱え、バレーボールに変化したボールも空中に舞う。
「凄い、まるで翼があるみたい――」
空中でウィンが感嘆の声を上げた。そう、キングが覚えた球技で最も空中戦が得意な球技、それが――排球!
「食らえ、これが爆烈球撃だ!」
鞭のように靭やかな腕の振り。打たれたボールは山賊どもの中心に吸い込まれるように飛んでいく。そして地面にバレーのボールが炸裂。刹那――大爆発が起こり山賊たちが吹っ飛んだ。
「そ、そん、な、ばか、な――」
顔を上げ、信じられないような顔で言い残した後、山賊の頭がパタッと倒れた。あれだけの爆発だが一応全員息はあるようだ。
「全く相手にならなかったわね……」
「ふむ、口ほどにもなかったということか。さて――片付けるか」
「キュ~」
そしてキングは再び山賊を次々とトスしていくのだった。
一方村では降ってきた山賊を冒険者が次々と運んでいった後であった。手配書の関係で山賊であることはすぐにわかったようだが、何故空から降ってきたかがわからず困惑していたのだが。
「やれやれ、やっと片付いたか。しかし、山賊が降ってくるとは変わったこともあるもんじゃわい」
「あ! 爺ちゃん、また、空から山賊が!」
一息つく爺さんであったが、孫らしき男の子が上を指差しまた叫んだ。空を見上げると、さっきより更に多くの山賊が次々と村に降ってくる。
「やれやれ、晴れのち山賊とはのう――珍しいこともあったもんじゃ」
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