侍と忍者の記憶を持ったまま転生した俺は、居合と忍法を組み合わせた全く新しいスキル『居合忍法』で無双し異世界で成り上がる!

空地大乃

文字の大きさ
68 / 125
第二章 サムジャともふもふ編

第67話 サムジャ、疑われる?

しおりを挟む
 領主代理のダミールと大神官のハデルがやってきて、俺の功績にイチャモンをつけてきた。

 ギルド長が心配していたとおりのことに見事になったな。ここまであからさまだと逆に感心する。

「それで、何の根拠があってうちに因縁つけて来たんだ?」

 オルサが改めて聞いた。俺は通り魔事件の犯人であるジャックを倒してギルドに引き渡した。死体だってギルドが保管している。
 
 その状況でそれでも違うというのなら、この二人には明確な根拠が必要だろう。

「それについては私からお話いたしましょう」
 
 すると大神官のハデルが前に出てきて話を始めた。

「実は私はダミール卿から相談を受けていましてね。冒険者ギルドに通り魔事件の依頼を出しているのだがやる気があるのかないのか、遅々として調査も進まず解決の兆しも見えない。教会の力で何とかならないのか、とね」

 ハデルがオルサに説明してくるが、オルサの顔は疑心に満ちていた。

「言っている意味がわからんな。うちの仕事が遅いという点は、取り敢えず置いておくとして、何で教会にそんな相談を持ちかける? 教会の仕事とまるで関係ねぇだろうが」
「おやおや、それは随分と狭い見解をお持ちですな。教会は困っている人の相談には乗るものですよ」

 胡散臭い笑みを浮かべ、ハデルが答える。
 相談、確かにそういう面もあるだろうが、それはあくまで教会内で片付く場合のみだろう。

 相談を受けたからと殺人も絡む事件に首を突っ込むなんていうのはオルサの言う通り教会の行う仕事ではない。

「それに今回の事件は十分教会に関係あると私は考えている」

 だが何だこのハデルの妙な自信は?

「よく言うぜ。大体さっきも言ったが犯人自体はもうここのいるシノの手で片付けられた。噂が出回って納得いってないらしいがそれが事実だ」
「その犯人は生け捕りにされたのですかな?」

 ハデルが問う。

「……死んだよ。だが文句を言われる筋合いでもないぜ。生死を問わずって話だったんだしな」
「馬鹿が。生死を問わずというのは最大限配慮してそれでも殺してしまった場合は致し方なしという意味だ。そこまでしたのか貴様らは!」

 オルサの説明にまたわけのわからない理屈でダミールが噛み付いていた。

「そんな話は聞いてねぇなぁ。すくなくとも本来の領主様の意図は違うと思うぜ?」
「今は私が領主だ!」
「ただの代理だろうが」
「今は代理でもいずれは私が領主になるのだ! 同じことだ!」

 いずれは? 確かに領主は今は体調が悪いと聞くが、何故こいつはそこまでいい切れるんだ?

 俺が思った疑問は、オルサも感じ取ったように思える。訝しげにダミールを見ているぞ。

「ダミール卿、ここは少し抑えて。所詮冒険者などという荒くれ者集団に配慮というものを求めるのが間違っているのですからな」
「あぁそうだな。俺らは荒っぽいから、今すぐ二人ばかし叩き出したくなるぐらいにな」
「パパ、そこはせめて抑えて」

 ルンも流石に力づくで叩き出すのは不味いと思っているんだろう。頬は引きつっているが。

「どちらにせよ死体にくちなし。おや? 倒したというそこの冒険者にとってはとても都合のいい状況ではありませんかな?」
「まるで最初からシノを疑って掛かってるような言い草だが、鑑定結果は既に出ている。それを見る限りジャックが犯人なのは間違いないんだよ。残念だったな」

 オルサが鼻を鳴らす。しかし、ジロリとハデルがオルサを見やり。

「何故鑑定結果が出たから間違いないと?」
「ふぅ。私から説明させていただきますが、先ず鑑定結果で出た天職、そしてスキル、それらが普通とはことなるものでした。ギルドにも守秘義務があるのでそこを詳しく話すわけにはいきませんが、鑑定で見たステータスだけでも犯人である可能性は高いと考えてます」

 はっきりと言わないのは闇の天職絡みだからなのかもしれない。俺が知っていたことにも驚いていたしな。

「なるほど。だがだとしたらこのギルドの能力は低いと言わざるをえませんな」
「どういう意味だ?」
「そうですね。たとえはこう考えてみては? そこの男が倒した相手は確かに何かしらの犯罪行為に及んでいたかも知れない。だからこそそこの男が犯人を仕立て上げるのに好都合だったと」
「は? 仕立て上げるだと? シノが? お前、本気で言っているのか?」

 呆れたようにオルサが問う。俺からしてもまさかそんな話を持ち出してくるとは思わなかった。

「根拠はあるのですよ。そう、貴方、天職はサムジャでしたね。だけど、妙だと思いませんか? サムジャなどという天職でこれだけの被害を出した犯人をあっさり倒せてしまうことが」
「だから嘘だと言いたいのか?」

 目つき鋭くオルサが更に質問を続ける。

「そこまではっきりとはいいませんが、ですが私は知っている。そこの男が持っている刀が呪われた妖刀の類であることを。つまり私が言いたいのは実際の犯人は自分でありながら、別の犯人を仕立て上げた真の犯人がいるということなのです」

 そう言ってハデルの指が俺に向けられた。

「そう、連続通り魔事件の真の犯人は冒険者シノお前だ!」

 ビシッと指を突きつけ、ハデルがわけのわからないことを言った。

「クゥ~ン……」

 パピィも怒りを通り越し呆れたといったような顔を見せている。

「はぁ、一体何を言い出すかと思えば」
「本当ね。流石に呆れてものも言えないわ」
「ほう? ならば一つ聞くが、シノが持っているその刀の入手ルートはわかっているのかね?」

 ハデルの話題が俺の刀に移った。シエロが答えあぐねている。俺に気を遣ってるのかも知れない。

「これはダンジョンで手に入れたものだ」

 だから俺から答えた。既に知ってる物も多いことだ。隠していても仕方ない。

「なるほど。だが、そんなものがそう簡単に手に入るとは思えない。私の予想では隠された通路の先にでもあったのでは?」
「まぁそうだな」
「やはりか」
「ほう、やはりというとハデル大神官よ。なにかわかったのか?」
「ん~ん~ん……そうですねぇ~」

 するとハデルが額を押さえながら妙な唸り声を上げた。

「いまので大体わかりました。貴方自ら墓穴をほりましたねぇ。ふふ、真実はいつも一つ。大神官の名にかけて貴方が犯人だと証明して見せましょう」
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...